文徒インフォメーション Vol.56

Index------------------------------------------------------
1)【Book】前田速夫「谷川健一と谷川雁」の危機感にうなずく
2)【Company】日販2021年度決算は減収減益
3)【Advertising】米アップル、広告事業が急伸中
4)【Digital】講談社が「来世は他人がいい」CM音声無断使用に警告
5)【Magazine】「週刊文春」ひとり気を吐く細田議長告発
6)【Marketing】サイバーエージェント、テレビ朝日、凸版印刷らが取り組むメタバース
7)【Comic】「ベルセルク」再開決定!「ONE PIECE」最終章へ
8)【TV, Radio, Movie, Music & More】NHK受信料値下げ・未払い罰金法改正はなぜ報じられない
9)【Journalism】長崎市性暴力、ニュース女子、上島竜平、兆→億誤植
10)【Person】70歳・坂本龍一自伝の聞き手は鈴木正文
11)【Bookstore】京急梅屋敷駅の「葉々社」に注目
12)【人 事】オレンジページ、講談社、光文社
----------------------------------------2022.6.6-6.10 Shuppanjin

1)【Book】前田速夫「谷川健一と谷川雁」の危機感にうなずく

◎「NHK NEWS WEB」は6月3日付で「ウクライナ 絵本作家夫婦の作品 翻訳され日本で出版へ」を公開している。
《この絵本、「戦争が町にやってくる」は、2014年に起きたロシアによるクリミアへの侵攻をきっかけに夫婦の絵本作家、ロマナ・ロマニーシンさんとアンドリー・レシヴさんがウクライナで刊行しました。》
《そして今回、ロシアがウクライナに侵攻したことを受けて、出版社のブロンズ新社が、「平和を考える絵本」として刊行することになりました。》
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20220603/k10013655171000.html
https://www.bronze.co.jp/books/9784893097095/

◎毎日新聞は6月3日付で栗原俊雄の「記者の目 作家・早乙女勝元さんの遺産 戦争の実相、掘り起こす」を掲載している。
《07年には東京大空襲の被害者たちが東京地裁に提訴。早乙女さんが原告側証人として法廷に立った。
空襲の後、大本営は「都内各所に火災を生じたるも宮内省主馬寮(馬を扱う部署)は2時35分その他は8時ごろまでに鎮火せり」と発表した。早乙女さんは法廷でこのことに触れ「100万人を超える罹災者とおよそ10万人の東京都民の命は『その他』の3文字でしかありませんでした。戦中の民間人は民草と呼ばれて、雑草並みでしかなかった」と述べた。
さらに「残念ながら、大本営発表の『その他』は戦後に引き継がれました」とも話し、「国民主権の憲法下にあるまじき不条理であります。法の下の平等の実現を願っております」とした。》
https://mainichi.jp/articles/20220603/ddm/005/070/005000c
早乙女の「キューバに吹く風」(草の根出版会)は興味深く読んだ。

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デイリー・メールマガジン「文徒」はマスコミ・広告業界の契約法人にクローズドで配信されている。2013年より月〜金のデイリーで発行し続けており、2021年6月で通巻2000号を数えた。出版業界人の間ではスピーチのネタとして用いられることが多く、あまりにも多くの出版人が本誌を引用するせいで「業界全体が〝イマイ社長〟になっちゃったね」などと噂されることも。

マスコミ・広告業界の契約法人に配信されているクローズドなデイリーメールマガジン「文徒」をオープン化する試み。配信されるメールのうち、出版・…

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