演技の練習するとき、パントマイム厳禁、の提案。

 はっきりとした出典は忘れてしまいましたが、ハリウッドの演技講師の著作の中でとっても印象的な描写がありました。演技を学びに来ている人達は、大きなリュックで小道具を運んで参加している、当たり前に、というような事でした。

 演技の練習をする時、小道具の存在を軽くみていませんか。

 おにぎり一つあれば足るレッスンでも、持ってきた人はいませんでした。(ちょうどお昼ご飯の前にもかかわらず)指示がなければ持ってきませんか? 小道具を持ってない事を「当たり前」としてパントマイムするのはやめませんか。

 想像してください。自分で空想するの何もない空間、作りこまれたセットの中、どちらが自分の演技のアイデアを出す助けになると思いますか。その場にいるからこそアイデアが湧く事はたくさんありそうですよね。実際そうです。

 もちろん、セットは作れません。でも、小道具は準備できませんか。お金を使え、とは言っていません。どうしてもなければ、もちろん、代替品でもいいのです。自分が信じこめる助けになればいいのです。同じような手触り、同じような大きさなど、それは個人によります。少しでも演技する自分を助けよう、としてあげてください。
 
 プロとしての経験が少ないお二人と演技練習の場がありました。「大学の講義前」という設定で、何も使おうとしないので、自身の持ち物のバッグを使ってみてください、とお願いしました。驚くほど演技が自然になり、またそこ(小道具)から明らかに新しいアイデアが沸いているようでした。

 少々でもお金を稼いでいる役者の人達については、少なくともその場にあるものはこちらが何も言わなくとも自ら全部駆使しようとします。結構大きなものでも平気で動かそうとします。え、背の高い棚、それ動かすの、そのアンプは相当重そう、なんて思わされます。駅の改札、コンビニのレジ、の設定の時でした。もちろん、自身がやりやすくなるための労力です。
 ちなみにそこまでなんとかしようとできるのなら、ちょっと家から小さいものは持ってきてくれ、と私は思ってます。

 また、小道具が特に書き込まれてない設定でも何か使えるものはないかいちいち真剣に考えるクセをつけてください。プロでも日常のシーンで何もする事がないのは難しいはずです。
 ネットフリックスで見られる『コミンスキーメソッド』では超ベテランの役者達が、頻繁に飲んだり食ったりしています。日本のドラマではあまり見ない「程度」です。話しながらスナックを口にいれたり、お茶を飲んだり。飲食が不自然な時以外は飲食している印象です笑。「小道具」という視点でドラマを眺めてみてください。自分の演技に生かせるものがあるはずです。そして実際、実験して、自分を発見してください。(それ見せてほし)

 もし、今自身が参加している場で、自分だけ小道具を持っているのが「一人だけ気合い入っているみたいで恥ずかしい」のならば、自分がほんとうにいい役者になりたいのか疑ってください。「大荷物は徒歩が大変。遠いから面倒、重い、準備の時間がない」もそうです。「講師が特に何も言ってないから不安」ならば講師に問い合わせてください。それで却下する講師の人は、その理由はよくわからないので、教えて下さい。
 なんやかんや理由を探して持っていかない選択をしてしまうなら、まずはやってみて効果を実感する事に努めて下さい。効果を実感してもなお、選択が変わらないのなら、他に楽しい事を見つけよう。

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