菌たちの超高度な戦略。
オトコが浮気をする。
彼女の下唇にキスをする。
ついでに菊紋にも触れたりする。
そこにいる菌たちは瞬時にオトコに乗り移る。
口の周りや口の中。
先住菌がいるので定住は簡単ではないだろう。
でも、中には先住菌と戦わずに融和するものもいる。
こうして、オトコに移住した菌たちの最終目的地は。。。
オトコが家に帰る。
何気ない顔で妻とキスを交わす。
ここでも菌はすかさず妻の顔や口内へ素早く移動する。
夜、ベッドに入ってオトコが妻の下唇にキスをする。
すかさず、彼女の菌が妻の下唇へと移動する。
これぞ菌たちの繁栄の方法だ。
人間にとっては不快かもしれない。
しかし、受け入れる菌側にもメリットがあるかもしれない。
遠くからやってきた生命力の強い菌。
多様性が生命力を強化する。
菌にとっては生存のための知恵であり、戦略である。
それが結果的に宿主である人間にも好影響を与える。
つまり、あなたの菌やコロニーが強くなれば、
あなたも強くなるのだ。
でも、想像するとあまり気持ちのいいものではない。
もちろん、妻が浮気しても同じ移住が起こる。
それに、妻の菌も彼女に移住していることだってある。
こんなことは日常的に行われているのだろう。
わかりやすく浮気で説明したが、手が触れがだけで菌は移る。
あの人が触れたつり革に触れただけであの人の菌が移る。
でも私たち人間はそういう菌たちに生かされている。
他人の菌に触れたくないなら無菌室に住み着くしかない。
自分にとって有害な菌と戦ってくれる菌だっている。
免疫システムだってある。
そもそも、口内が体内だと思っているのは人間だけだろう。
胃だって、腸だってホントは体外だ。
犬猫を見ているとつくづくそう思う。
彼らは、砂がついていようがゴミがついていようが、
食べられそうなものには速攻で飛びつく。
犬なんか噛まずに丸呑みだ。
これで味がわかるのか、というぐらい素早い。
とりあえず口に入るものは入れといて、あとは腸内で選別。
不要なもは糞として排泄すればいい。
そんな本能丸出しがよくわかる。
動物の腸には本来そういう選別の能力がある。
人間は腸まで体内だと思っているから、清潔なものしか食べない。
だから、抵抗力が弱くなって、余計に清潔なものしか食べられなくなる。
挙げ句の果てが、アレルギー。
なにも、汚れたものでも気にせず食べろ、ということではない。
人間は過剰に清潔過ぎるのではないか。
なんでも滅菌、防菌、と少しオーバーな気がする。
犬を飼っている家庭の子供はアレルギーの確率が低い、
なんて研究結果を耳にしたことがある。
でも、犬は人間のような清潔意識は全く持っていない。
だから、平気でお尻の穴は舐めるし、生殖器も舐める。
おまけに、体調がすぐれなければ食糞で調整しようとする。
どうも、これ自分の糞に限らないらしい。
健康な他者の糞を食することにより、
調子の悪い自分の腸内細菌を再構築しようという本能らしい。
そんな舌でベロベロやられてごらん。
犬の口内にいた菌は簡単に人間の顔に乗り移る。
いくら清潔にしていようが、一寸の隙を見つけて菌は繁殖する。
それで人間に問題が起きた、という話は聞いたことがない。
やはり菌の世界は人間が想像もできないぐらい巧妙にできているのだ。
そもそも菌ワールドに浮気なんて概念はないのだ!
[仮説No.0006]
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