認知症の叔母が鬼電してくるのでAndroidタブレットとGoogleSlidesで解決した話

同居している認知症の叔母から 「3日帰ってないじゃない!早く帰って来なさい!」 と頻繁に電話がかかってくるようになった理由とそれを解決した話をします。似た状況の人が認知症のご家族との関係を改善するきっかけになればいいなと思います。

叔母との同居が始まる

事情により急に引越ししなければいけなくなって、次に住む場所を探していました。5年ほど前、叔母の家に半年ほど間借りさせてもらっていたので、それを思い出して間借りしながら転居先を探そうと思い、叔母の家に住ませてもらおうと考えました。

転居日を決めて電話で叔母に快諾してもらったのですが、いざ当日引っ越してみると

「え!今日だったの?聞いてないわよ?」

とチグハグな感じ。別の家で暮らしているイトコに確認したところ、叔母が認知症を発症していることが判明しました。

「まぁどうにかなるでしょー、うまく行かないことがあっても私にできることをやって良い関係がつくれたらいいな」

と、あのときの私はポジティブにかんがえてました。私がご飯を作ると美味しく食べてくれて、私も幸せを感じていました。


認知症の症状

叔母はとにかく私に無限に話しかけてきました。「叔母さんってこんなに話す人だったっけ?」と思いながらも、寂しかったのだろうとおもい最初はずっと目を合わせて話を聞いていました。症状の一つで何度も同じ話を繰り返しますが、許容範囲です。私も頑張って話を聞いているふりを続けていました。

数週間経つと、いつも同じ話を同じ流れで同じオチにして話すので、私はやる気なく「あぁそうなの、ふぅん」くらいのリアクションしかできなくなってきました。1日10回同じ話をすることもあるので、私のリアクションも雑になっていきます。

すると「こんな話興味ないよね」と叔母が悲しい顔をするようになりました。私は急いで「そんなことないよ!楽しいよ教えて」と耳を傾けるようにするのですが、叔母が私に向ける感情は悪い方向へと変わっていきました。

見たり聞いたり体験したこと自体は忘れても、その時に感じた「嬉しい、嫌だ」という感情は残像のように残ることがある
引用: マンガでわかる 認知症の9大法則と1原則

そして叔母は私を疑うようになっていきました。

認知症の症状のひとつで、自分の記憶がないことを納得することができないので自己防衛するため人を疑うようになることがあります。私に「鍋敷きが1つなくなってるけど返しておいてちょうだい」などいうようになりました。もちろん鍋敷きなど使ったことはなく、全く知りません。そこではじめて危機感を感じました。

認知症の人は、自分にとって不利なことは認めたがらない傾向があります。認知症になったことで不安を覚え、その事実を認めたくないという自己防衛本能でしょう。
引用: マンガでわかる 認知症の9大法則と1原則

夜の鬼電が始まる

顔をあわせると「これ返してちょうだい」「これがないけどどこやったの」と言われることが増え私の不満が高まって来たので、私は単純に叔母と接触している時間を減らしました。すると叔母から頻繁に電話がかかってくるようになりました。

「3日も帰ってないけどなにがあったの!?心配してるので早く帰って来なさい!」

というもの。
叔母は怒っています。最初にこの電話がかかって来たときはかなり驚きました。なぜなら今朝「いってきます」と挨拶をしているからです。

鬼電は連日続きました。3日ほどかかってこなくなっても数日後にかかって来たり、イレギュラーにかけてくるようになりました。昼からかかってくることもあり、困っていました。

なぜ鬼電がかかってくる?

以前1度だけ22時に友人とご飯を食べるために外出をしたことがあります。その時叔母は「こんな時間に外出するなんて!」ととても驚いていました。叔母の中で強烈な印象だったので、ずっとその記憶だけが強烈に残り続けるようになってしまい、それから「22時に出かけたきり3日帰っていないんじゃないか」という気持ちになってしまうようになりました。記憶がない以上、感情が強いものが優先的に短期記憶のように扱われるようです。※叔母の場合です

叔母には私が3日前に22時に外出した記憶がいつも残っていて、毎日その不安と戦うようになるので連日鬼電するようになったのです。

伝言板を作る

叔母に対して今日の予定を伝える伝言板があればいいのではないか?と思い、まずは物理の張り紙で導入しました。が、それは私が毎日書き換える必要があり運用が難しいです。
なのでHUAWEIのAndroidタブレットを導入しました。

叔母が一日中見ている大型テレビの下に置きました

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Google slidesアプリを使って外出先から表示内容を変更しています
プレゼンモードにすると書き換わらなくなってしまうので、タブレットでは編集モードのまま表示しています。

外出先で、スマホから内容を書き換えています。

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こうすることで叔母に私の状態を見せることで伝えることができます。

運用結果

鬼電の頻度は、1/10程度になりました。

「今日は23時に帰る」などと書いておくと問題なく認識してもらえます。ただそれでも少なからず鬼電が発生してしまうのはなぜかというと、叔母が電気代節約のためAndroid端末のコンセントを抜いてしまう時があり、そのときは当然充電が切れて表示されなくなってしまいます。コンセントを抜いたあと接続し直しても復帰できない旨を伝えるのですが、そのことを覚えておいてもらうことはできません。紙に書いておいても抜いてしまうので困っています...。

今回の鬼電問題はほぼほぼ解決はできたものの、彼女の症状は急速に悪化しているように見えます

認知症の人は、認知症になっていない人と比べて老化の進行が早いという統計があります
引用: マンガでわかる 認知症の9大法則と1原則

私にできることを考える

ふんわりと同居を始めたものの、今は関係性が悪い状態が続いています。近くにいればいるほど私は認知症の症状を真っ向から受け、叔母も私を見てストレスを感じてしまいます。

今後は徒歩5分の場所に住んで、週に1度訪問して話し相手になったり音楽を一緒に聴く、そういう友達のようになれたらいいなと思います。
そしてそれをなるべく記録に残し、叔母が他界した際に「彼女は幸せだった」と家族や私が納得できるようにすることが、私にできる精一杯なのではないかと思いました。

今後は課題を解決することではなく、彼女と彼女の周りが幸せを感じられることに注力しようと思います。


これから取り組むこと

ということでまた引っ越しました!
引っ越すことで、私と叔母のちょうど良い関係が作れれば良いなと思います。
今完全に引っ越し貧乏になってるので新生活を応援いただければ幸いです...!!!!😭

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