【アートの価格戦略】シルク作品1万円の衝撃〜とある海外アーティスト作品の場合



先日、リカルド・ゴンザレスの展覧会に伺いました。
リカルド・ゴンザレスさんと言えば、海外でも著名なアーティストで、Instagramのフォロワーも17万5000人ほどもいる状況です(2019年7月記事執筆時)

活動しているアメリカでは作品の人気は高く、価格もかなり割高です。
記号にも模様にも見えるマーカーの軌跡は、文字として描かれており、イメージとしても作品を楽しむ事ができます。

こちらの作品は、日本市場に限って特別な料金設定をしているそうです。

アーティスト側の意向で決められた作品の金額は、オリジナル作品で現地の1/3ほどの価格設定とのお話し。

同じく制作されたシルクスクリーン作品に関しても、海外では販売されないルールにより日本だけの限定販売という形式が取られ、海外ファンからの問い合わせに関してもお断りしている状況なんだそうです。
しかも、エディション30限定の作品で設定された価格が「1万円(税抜)」。激安すぎますよね。

アートの値段は、キャリアや人気による需給のバランスが大きく価格形成に関係してくるわけですが、ファンを増やすために価格設定を低くするという戦略があります。

作品を所有するコレクターが増えることは、ファンを増やしていくことに繋がっていきますので、今回の戦略は、リカルド・ゴンザレスさんが日本市場で認知を拡大していくことに本気であると言うことが伺えます。

コレクターは作品を所有することで、その作家への理解が格段に進み、活動を常に意識し、

美大を卒業して間もない若手作家が、個展やグループ展で自らの作品を高値設定しているのを目にする事が多くあります。

現在のアーティストは、オンラインオフライン問わず、直接コレクターへアプローチすることが可能であり、自らプロモーションしていく能力が必要とされるのです。




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