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塩田千春展のプレス内覧会にて

2019年6月20日から森美術館ではじまった「塩田千春展」のプレス発表会に行ってきました。


ご本人も参加されたその記者発表の席上、驚いたことがありました。

本展の開催が決まった翌日、がんの再発が告げられたそうです。
喜びに溢れていたその翌日、死と隣り合わせの生活がはじまるという過酷な状況。
タイトルや作品にも隠さずその葛藤が表現され、感慨深く鑑賞する体験に恵まれました。

こちら側から感じた塩田千春さんご本人は非常にお元気でしたが、ご病気に触れる場面ではしばし言葉が出ない時間が過ぎ、記者の集まる部屋に静寂の時が流れました。
その時、塩田さんの隣に座っていたキュレーターの片岡真実さん(森美術館副館長)の優しい声が印象的でした。

「出来映えは?」

・・・と上手く話を変える助け船をサラッと繰り出してきたのです。
病気の中で進められた2人の仕事を知る由もありませんが、2人のパートナーの関係性がこちらがまで優しく届き、「これは良い展覧会になるな」と感じた瞬間でした。
※実際には個展準備の過程において、片岡さんからのダメ出しが幾度か繰り返された模様ですが・・・。


片岡真実さん、凄いなぁ。
個展の内容は非常に素晴らしいものでした。
「魂がふるえる」って言うサブタイトルに込められたメッセージそのままに、塩田さんの魂と自分のそれが共鳴したように感じました。

そうそう、森美術館は展覧会開催時に図録を販売していない希有な美術館なんですよね。美術展の図録は「資料」として存在する意味を多く含んでいて、森美術館はインストールした展示風景を図録に入れるので、極めてキチンとした美術館なんです。なので、森美術館の図録は「買い」なのです。意外に知られていないので、この場でメモしておきます。ちなみに、日本語もそうですが、かならず英訳の文章や資料が含まれているのもその考え方です。


帰りはラーメン店阿夫利でゆず醤油ラーメン1080円。
ラーメンに1000円以上払うことに心理的な抵抗を大きく感じる性格です。美味しかったけど。


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