『ダンダーン』を遊ぼう!


ダンダーン(Forgetful Fish)を遊ぼう!

 2023年の1月、突如日本のMTGコミュニティで拡散され知られることとなったダンダーン(Forgetful Fish)。通常とは異なるデッキ構築と少しのルール変更によって、全く新しいMTGのミニゲームが楽しめるようになりました。
 このNoteでは、新しい遊びであるダンダーンを紹介するとともに、私の構成したデッキリストとカード選定理由、ちょっとした戦術をご紹介します。

ダンダーンの基本ルール

 ダンダーンの追加、変更されるルールは以下の通りです。
 ・80枚で構成されたデッキ1つで遊びます
  今回私が作ったカード群は後程デッキリストにて紹介します
  (その他のデッキサンプルはreddit などで探してね)
 ・ゲームではデッキ、墓地ともに2人のプレイヤーで共有します
 ・開始ハンドの土地が少なすぎる(0枚、1枚)場合、相手に見せて
  フリーマリガンができます(何度でも)
 ・開始ハンドの土地が多すぎる(6枚、7枚)場合、相手に見せて
  フリーマリガンができます(何度でも)
 ・2人が同時にカードを引くとき、アクティブプレイヤーから交互に
  カードを引きます(ライブラリーアウトに関連します)
 ・呪文を唱えたプレイヤーが、その呪文の「オーナー」であり「コント
  ローラーになります」(バウンス呪文に関連します)
 ・先攻プレイヤーは最初のドローステップをスキップします

 勝敗ルールは以下の通りです。
 この2つは状況起因処理を挟まず、常にチェックしてください。
 ・ライフが0になったプレイヤーが負け
 ・ライブラリーからカードが引けなかったプレイヤーが負け

ダンダーンの追加ルール

 ゲームをスムーズにするために以下のルールを追加しました。
 ・マリガンを行う際は、その手札を無作為にデッキの一番下に戻し、
  上から7枚を引く(シャッフルをしないことによる時間短縮)
 ・他色にはバリエーションルールを設定(今後の記事にてフォロー)

 このダンダーンは明確に先攻有利なため、以下のバリエーションルールを採用しています。
 ・先攻2ターン目は《ダンダーン》を唱えることができません
  先攻2ターン目では後攻に土地が1枚しかなく、《記憶の欠落》等による
 妨害ができません。その状態で投入される《ダンダーン》は非常に強力で
 あり、後攻側は常に対応ばかり迫られるゲーム展開になってしまいます。
 そのような「後手不利に固定化された」ゲーム進行が発生しないよう、
 先攻プレイヤーにはこのルールが適用されます。

ダンダーンのデッキリスト

 それでは、さっそくですがダンダーンのデッキリストを見てみましょう。デッキは80枚で構成されますが、特殊フォーマットなので一部カードは4枚制限を超えて入れられています。
 入れるカードや枚数に対しては以下のようなガイドラインが設定されています。バリエーションデッキではそれをいかに守るか、破るかも重要な要素となっています。そのあたりは今後の記事にご期待ください。

基本となるカード制限

 ・必須:プレイヤーのライフを直接変動させるカード群を使わない
   ダンダーンによる戦闘で5回ダメージを与えて勝つルールの根幹が
  歪んでしまうので、プレイヤーに直接ダメージが入る、ライフを回復
  させるカードは入れられません。

 ・必須:クリーチャーのパワーを変動させるカード群を使わない
 ・必須:ライフを4の倍数から逸脱させるカード群を使わない
   クリーチャーのパワーを変動させると、戦闘によってプレイヤーが
  喪失するライフが4の倍数から外れてしまいます。ライフをサイコロ1個
  でカウントしたい(5回殴られたらアウト)ので、そういったカードは
  入れられません。トランプル等のダメージ量を変える能力も同様です。

 ・推奨:ライブラリー修復できるカードを入れる
 ・推奨:墓地追放するカードを入れない
   このデッキでは《先細りの収益》が担っています。ライブラリー
  アウトによる勝敗をある程度防ぐため、ライブラリーを修復できる
  カードを入れることが推奨されます。

 ・推奨:クリーチャー除去はほどほどの枚数に留める
   ライブラリーアウトではなく、クリーチャーを用いた攻撃によって
  プレイヤーが勝利することが理想なので、盤面が真っさらになるような
  除去や多すぎる除去呪文はゲームを淡白にします。疑似除去や回避能力
  を持つカードをデッキに加えてやることで、プレイヤーが攻撃しやすい
  状況を作ります。この辺りの調整がデッキの完成度に直結します。

 ・推奨:できる限り戦場に残らないインスタントとソーサリーを使う
   エンチャントやアーティファクト、プレインズウォーカーを使う方が
  様々な能力が絡み合う展開を作れそうですが、ダンダーンが持つ盤面の
  明快さを失ってしまいます。インスタントやソーサリーのみを用いる
  ことで、誰が見てもわかりやすい盤面を作ることができます。

デッキに入れる枚数制限

 ・基本となるクリーチャー(1種類):10枚
  このデッキでは《ダンダーン》がその枠を担います。
  条件:軽コスト、パワー4、デメリット付きクリーチャー
     プレイヤーへのダメージを4点ずつ刻むことができるもの
     デッキに入るクリーチャーはこれ1種類のみ

・不確定カウンター(1種類):8枚
  このデッキでは《記憶の欠落》がその枠を担います。
  条件:不確定カウンターで相手とのインタラクションが強いカード
     バリエーションデッキではデッキの根幹となるカード

 ・枚数あることが重要なカード(1種類):4枚
  このデッキでは《蓄積した知識》がその枠を担います。
  条件:デッキに面白いギミックを与えうるカード
     バリエーションデッキではデッキをサポートするカード

 ・その他のカード(13種類):各2枚で26枚
  残りのカードはここに入ります。

 ・土地カード:合計32枚
  ダンダーンでは32枚ですが、バリエーションデッキでは必要とするマナ
 量が異なるため枚数を増やすなどの調整が必要です。

『ダンダーン』のデッキリスト

クリーチャー: 10
10 《ダンダーン》

インスタント: 32
8 《記憶の欠落》
4 《蓄積した知識》
2 《渦まく知識》
2 《海賊の魔除け》
2 《思考掃き》
2 《幻視の魔除け》
2 《変態》
2 《予報》
2 《時間の把握》
2 《水晶のしぶき》
2 《掃き飛ばし》
2 《命令の光》

ソーサリー:6
2 《復習》
2 《幻惑の旋律》
2 《先細りの収益》

土地: 32
18 《島》
2 《周到の砂漠》
2 《孤立した砂州》
2 《離れ島》
2 《外科区画》
2 《天才の記念像》
2 《ハリマーの深み》
2 《神秘の聖域》

カードを詳しく見てみよう

10枚 《ダンダーン》

『ゲーム名』にして原初

 このデッキ名であり、このゲーム名であるカード、《ダンダーン》。パワー・タフネスが4/1であり、通称「生息条件:島」と呼ばれる2つのデメリットを保有しています。このクリーチャーを5回通すと勝ちですが、脆弱なタフネスと致命的なデメリットによって度々除去されるようにデッキが作られています。

8枚 《記憶の欠落》

基本ギミックをおぼえよう

 不確定カウンター枠は、打ち消すとライブラリーの一番上に戻してしまう《記憶の欠落》です。ですがこのゲーム、ライブラリーを共有していますので、相手ターンに打ち消した呪文は自分のドローステップに引き込めることに注目してください。終盤、通せないカードに対して数多の《記憶の欠落》が積み上げられることもよく見る光景となっています。

4枚 《蓄積した知識》

何枚目か、で戦術は変わる

 このデッキの4枚枠は《蓄積した知識》です。墓地にある同名のカード枚数によって効果が変化するこのカード、序盤と終盤ではその強さに雲泥の差があります。序盤は各種積み込み呪文で相手に押し付けたり、終盤はこれを基に《記憶の欠落》合戦が勃発したりもします。

2枚 《渦まく知識》

2枚戻す、ということは……

 レガシー最強のドロースペルもこのダンダーンでは健在です。3枚引いて2枚戻すカードの効果は不要カードをデッキに戻すだけでなく、相手にカードを押し付けることもできる最強のライブラリー操作に変化しています。

2枚 《海賊の魔除け》

実はゲームを決めるキーカード

 3種類の効果を持つ『魔除け』シリーズの1枚。「島渡り」「+2/-1」「手札破壊」のどのモードも機能しています。そのうち注目すべきは「島渡り」能力付与。ダンダーンでは島をプレイせずに勝つことはほぼ不可能なので、能力付与されたダンダーンはブロックできません。呪文でダンダーンを捌けなければ4ダメージ確定、この効果を持つカードは他にありません。

2枚 《思考掃き》

Topが固定されたなら……

 軽量ドローサポートとして《思考掃き》が採用されています。2枚切削する効果は、対戦相手に積み込まれたライブラリーを掘削するのに役立ちます。早めに使用して手札を回すのか、積み込み行為を予期して手札に残すのか、どちらにするかでセンスが問われます。

2枚 《幻視の魔除け》

一発逆転!

 ダンダーンが採用した2枚目の『魔除け』。「4枚切削」「戦場の基本土地タイプを書き換える」能力を使用します。特に3番目の能力は強烈で、戦場にある土地の島タイプを全て別の基本土地タイプに書き換えてしまいます。『生息条件:島』を持つ《ダンダーン》が全て、干上がった『山』の上で死んでしまうのはよく見る光景です。

2枚 《変態》

打ちどきに注意

 効果が分かりにくいカードNo.1です。主に、対戦相手の《ダンダーン》をライブラリーの一番上に置き、パーマネント・カード(土地か《ダンダーン》)を1枚手札から出させる効果となります。戦場に出ている《ダンダーン》を奪うことのできる数少ないカードの1つとなっています。

2枚 《予報》

未来を見通せる方、朗報です

 こちらもレガシーで見かけるドロースペルの1枚です。カード名を指定してから1枚切削し、当たれば2枚、外れても1枚カードが引けます。ライブラリーの一番上にカードを置く機会が非常に多いこのゲーム、何も言わなくても使い方はわかりますね?

2枚 《時間の把握》

ハンド、上、下

 ライブラリーの上から3枚を3か所に置き直すカード。このゲームにおいてライブラリーの一番上を操作できるカードが非常に強いことはご理解いただけていると思います。相手のターンエンドに撃って2枚確保するのもよし、自分のターンに撃って相手のドローを固定するもよし。

2枚 《水晶のしぶき》

土地書き換えモードで

 キャントリップ付きの書き換えカード。普段はあまり使わない文章変更効果です。このデッキでは土地タイプを書き換えるモードを使うことになります。《ダンダーン》の「生息条件:島」を書き換え、除去をしながらキャントリップするこのカードが弱いはずがありません。

2枚 《掃き飛ばし》

使い道は2通り

 対象クリーチャーの状態によってバウンス先が変更になるトリッキーなカードです。基本の使い方は相手の《ダンダーン》を除けてダメージを通したり、狙われた自分の《ダンダーン》を回収したりするものですが、相手が攻撃してきたときのみライブラリーの一番上に戻せる強力なモードが使用できます。

2枚 《命令の光》

このカードは常に意識しよう

 今は赤のお家芸である「クリーチャーのコントロールを一時的に奪って何かする」効果も、昔は青の得意分野でした。2体以上の《ダンダーン》をコントロールして攻撃した場合、この呪文を使われてしまうと自身のクリーチャー1体を奪われてブロックに回されてしまいます。要注意。

2枚 《復習》

可能性は無限大

 墓地に落ちたカードを回収できるカードです。《ダンダーン》と土地は拾えませんが、その他の呪文ならどれでも回収が可能で、この瞬間一番使いたいカードが使えるというワイルドカードでもあります。後述の《先細りの収穫》を回収し、ゲームを継続するために使われることがよくあります。

2枚 《幻惑の旋律》

X=2で使います

 クリーチャーのコントロールを永続的に奪うカード。このデッキではクリーチャーは《ダンダーン》しかいないため、X=2の4マナで使うことになります。相手とのクリーチャー枚数差を2枚つけられるカードなので、通ればゲームの天秤が大きく傾くことになります。オーナーは変わっていないのでバウンスを撃たれると相手の手札に戻ることに注意してください。

2枚 《先細りの収益》

手札と墓地をリセット!

 ライブラリー修復と手札カード回復の効果を持つカードで調整版タイムツイスター。消耗した手札を回復できるため、手札のカードを全展開した後に撃つのが最適です。効果にカード10枚追放とあるので、複数回撃ったロングゲームではライブラリーアウト負けに注意しましょう。《記憶の欠落》で相手に拾われたら目も当てられないので撃つタイミングには要注意。

18枚 《島》

お好きなイラストでどうぞ

 《ダンダーン》の生息条件になっている《島》です。たまに魔除けの効果で《山》とかにされます。稀に後述の「基本でない土地」だけでプレイが進行する場合がありますが、その際は《ダンダーン》が維持できないこと、そのプレイヤーに《ダンダーン》が攻撃できないことに注意してください。

2枚 《周到の砂漠》
2枚 《孤立した砂州》
2枚 《離れ島》

サイクリング三兄弟

 サイクリングランドは6枚全投入されています。序盤はマナベース構築に、後半はサイクリングで呪文を探しにいくことができます。

2 《外科区画》
2 《天才の記念像》

ドロー兄弟

 サクってドローができる2種類のカードです。序盤はマナベース構築に使用し、後半はサクってドローを促進します。《天才の記念像》は2枚もドローできるので、リソース勝負の終盤戦では非常に頼りになります。

2 《ハリマーの深み》

初手最強の土地

 プレイするだけでライブラリーの上から3枚を積み込める強力な土地カードです。通常、自分のメインフェイズに《ハリマーの深み》をプレイするので、1番目と3番目に相手に引かせたいカード、2番目に自分の引きたいカードを配置するのがセオリーです。

2 《神秘の聖域》

何を吊り上げようか?

 島を3枚コントロールしていればアンタップで置かれ、追加の効果も発生します。自分のメインフェイズにこれをプレイすると、相手が次にドローするカードを積み込むことになります。積み込んだカードを引き込みたいなら、前述のサイクリング土地や、各種ドロースペルとの組み合わせになるでしょう。

ダンダーンの戦術とテクニック

 ここまで、ゲームのルールと各種カード群の説明をしてきました。ここからはゲームの戦略について軽く触れていきます。

序盤:土地のプレイが命

 序盤は手持ちにある《ダンダーン》を牽制で出したり、呪文によるドロー妨害などを行いながらの進行となります。この序盤で重要なのは、中盤以降の手数を決定する土地の枚数です。《ダンダーン》や呪文カード欲しさにサイクリング土地やドロー土地を使用してしまいがちですが、ぐっと堪えて土地のプレイを続けましょう。

中盤:(1回目の《先細りの収益》以降)手札枚数に注意

 デッキをある程度消耗したところで、1回目の《先細りの収益》が通ることになると思います。10枚追放された後に残るデッキは、ゲーム開始時のデッキと異なり土地カードが少なく有効なカードを引き込みやすくなっています。ドロースペルをうまく活用し、終盤に有効なカードを残すようにプレイを進めます。呪文を消耗しないように《ダンダーン》は《ダンダーン》との相打ちを狙っていきます。

終盤:《先細りの収益》で逆転されないように

 《先細りの収益》の2回目が唱えられる頃には、デッキ内の土地はほとんど出尽くしていると思います。ライフも減少し《ダンダーン》を通すと負けの状況も発生しているでしょう。負けに直結する複数枚の《ダンダーン》や《海賊の魔除け》による島渡り、相手の手札が大回復する《先細りの収益》はマストカウンターになっていきます。

ライブラリーの一番上を常に意識する

 ライブラリーの一番上にどのカードが積まれて、それを誰が引くのかはとても重要です。相手に連続でライブラリーを操作されると、次第に不要なカードで手札がいっぱいになります。ライブラリーの一番上を操作するカードは積極的に使い、相手にライブラリー操作カードがいかないようにプレイをするのが理想です。

手札を減らしすぎると逆転が難しい

 《ダンダーン》で5回殴ったら勝ち、というルールから大雑把なゲーム展開になると考えがちですが、このゲームは細かいリソースの取り合いになることが多いです。1:1以上での交換を意識して相手より多くの手札を抱えることでゲームを有利に進めることができるでしょう。

相手の《ダンダーン》を呪文で捌き、1体で攻める

 相手の《ダンダーン》と自分の《ダンダーン》がにらみ合ったとき、追加の戦力として2枚目の《ダンダーン》を投入したくなると思います。その際、相手の手札に《幻視の魔除け》《命令の光》があるとクリーチャーが2体とも討ち取られてしまいます。相手の《ダンダーン》は《変態》《海賊の魔除け》《水晶のスプレー》などで捌き、また相手が唱えた《ダンダーン》は《記憶の欠落》で打ち消すなど、盤面に定着させないことが殴りきるときのポイントとなります。

他色のバリエーションもあるよ

 ここまで、ダンダーンのゲームルールとデッキ内容について説明してきました。この『青い』ダンダーンだけでも十分に楽しんでもらえると思っていますが、海外 reddit では他の色によるバリエーションデッキが提案されています。
 私も「白」「黒」「赤」「緑」「アーティファクト」「多色」のダンダーンデッキを作っています。今後の note にて他の色のダンダーン記事も書いていきたいと考えています。

 長々と『ダンダーン』の紹介記事を書かせていただきました。ここまで読んでいただきありがとうございました。あなたが『ダンダーン』を遊びたい、デッキを組もうと思えるような一助となれば幸いです。

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