黒ダンダーンを遊ぼう!


『黒ダンダーン』とは

 『《ダンダーン》は青のクリーチャーでは?』と思われる方、その通りです。では黒いダンダーンとは何でしょう? 黒ダンダーンは、海外サイト reddit で『青以外の4色のクリーチャー』を軸にそれぞれをダンダーンと同じ遊び方をするデッキが公開されたうちの1つです。
 今回、その『黒い』ダンダーンについて、採用カードを参考に全く新しい指定クリーチャーでリストを作成し、調整したものを紹介します。カードが入手可能な方はぜひ遊んでみてください。

バリアントルールについて

 先手後手による有利さや《ダンダーン》の代替クリーチャーの特性、デッキ構成によるゲーム展開などを理由として、元祖ダンダーンからルールを追加したり削除したりする場合があります。

 黒ダンダーンのゲームルール変更点として、統率領域に1枚カードを置き『機能させた』状態でゲームを行います。
 また、構築ルールの変更点として、ライブラリー修復手段としてアーティファクトが1種類採用されています。土地スロットにおいても無色マナが出る土地が1種類採用されています。
 
 ダンダーンの基本ルールについては『ダンダーンを遊ぼう!』の記事をお読みください。

さっそくデッキリストをどうぞ

エンチャント(統率領域):1
1 厳粛

クリーチャー: 10
10 奈落に住まう騙し屋

インスタント: 18
8 打ち砕く希望
4 闇の裏切り
2 死体焼却
2 胆汁病
2 闇の試み

ソーサリー:18
2 夜霞
2 惨めな食事
2 強迫
2 殺人衝動
2 ドローガーの再生
2 大災厄
2 遺跡の碑文
2 魔女の復讐
2 血占い

アーティファクト:2
2 頭蓋書庫

土地: 32
18 沼
2 やせた原野
2 汚染されたぬかるみ
2 栄光の砂漠
2 愚蒙の記念像
2 隠された死滅都市
2 ドロス窟
2 荒廃した湿原

カードの投入数と理由とか

 それでは、さっそくですが各カードを見てみましょう。

1枚 厳粛

なんだこれは???

 《厳粛》です。黒くもないしエンチャントだし。そもそもこのデッキは白マナ出ないし。「こんなカードを何に使うのか」といえば、先ほどルールの変更で書きましたが、これが『統率領域において機能させる』カードです。
 様々な方法で「カウンター」を置かせない、得られない能力。このデッキでどのような効果を及ぼすのかは、次のカードをみてもらえればわかると思います。

10枚 奈落に住まう騙し屋

裏切り者はどいつだ!?

 2マナ4/3、不死能力持ちとなればどんな環境でも席捲して回れる強さのカードでしょう。このクリーチャーが持っている1番目の能力さえなければ。
 このクリーチャーは墓地から戦場に出るとき、コントロールが対戦相手に移ります。簡単に説明すると、死亡する→不死で戻る→+1/+1カウンターを乗せる→相手がコントロールを得る、となります。そして相手のコントロールで死亡すると不死能力は働かずそのまま墓地に送られます。
 ……そういえば、先ほどカウンターを「ほにゃほにゃ」するカードを説明した気がします。《厳粛》環境下ではどのような挙動となるでしょうか?
 自分のコントロール下で死亡する→不死で戻る→カウンターを得られない→相手がコントロールを得る→死亡する→不死で戻るカウンターを得られない→自分がコントロールを得る……。最初にもどりましたね?
 なんと、《厳粛》があるだけでこのクリーチャーは自分と相手のコントロールを行ったり来たりするとてもめんどくさい面白いクリーチャーとなるのです。

8枚 打ち砕く希望

あなたの希望は3回まで

 このデッキの8枚不確定カウンター枠は《打ち砕く希望》です。黒いのに打ち消し呪文。ただし、相手がライフ5点を支払ったら効果は発しません。
 ダンダーンにおいて4の倍数ではないライフ変動は『美しくない』のですが、5点のライフ変動はサイコロでライフを数える際にあまり問題となりません。

《打ち砕く希望》0回+《奈落に住まう騙し屋》4回=ライフ残4(1回)
《打ち砕く希望》1回+《奈落に住まう騙し屋》3回=ライフ残3(1回)
《打ち砕く希望》2回+《奈落に住まう騙し屋》2回=ライフ残2(1回)
《打ち砕く希望》3回+《奈落に住まう騙し屋》1回=ライフ残1(1回)

 要するに《打ち砕く希望》でのライフ支払回数+《奈落に住まう騙し屋》からのダメージ回数= 5 で負けとなるわけです。この際、《打ち砕く希望》を4回支払えないことにだけ注意しておいてください。

4枚 闇の裏切り

一般攻撃魔法

 スペル4枚枠は《闇の裏切り》です。デッキ内最軽量&インスタントの除去は1マナ残した状態であればいつでも飛んでくるプレッシャーをかけることができます。
 このゲームにおける除去は、相手の攻撃クリーチャーが1体減るだけでなく、自分の防御クリーチャーが1体増えることを意味します。戦闘中だけでなく、あらゆるタイミングでチャンスを見つけて仕掛けましょう。

2枚 死体焼却

見た目はただのキャントリップだけど……

 墓地から回収する呪文はなく《頭蓋書庫》によるライブラリー修復があるのみのデッキで、この《死体焼却》はただのキャントリップに過ぎないと思うことでしょう。
 しかし、このゲームでは《死体焼却》に重要な仕事が任されています。それは《騙し屋》を不死誘発にスタックして唱えることで追放するという仕事です。これによって相手のコントロールになってしまう《騙し屋》を取り除き優位に立つことができます。

2枚 胆汁病

2マナ・インスタントの全除去

 このゲームで盤面のクリーチャーを一掃できる2マナのインスタントなんて強すぎて許されない、と思うでしょう。しかし、いざゲームを進めてみるとこのカードの使い時を見つける難しさを実感するでしょう。
 《胆汁病》は戦場にある《騙し屋》を全て倒してしまいます。その結果、自分のコントロールしていた《騙し屋》は相手に、相手のコントロールしていた《騙し屋》は自分の元にやってきます。相手にすべての《騙し屋》を奪われたとき、このカードが真価を発揮することでしょう。

2枚 闇の試み

真価はコンバットで発揮される

 相手のピン除去に対してこのカードを使うのは一般的ですが、この場合は1体のクリーチャーを守っただけの結果となります。それに対し、戦闘でクリーチャーがぶつかったときに使用すれば、結果として相手のクリーチャーを討ち取って自分のものにすることができます。
 しかもこのカードには魔巧の能力があり、複数体の戦闘においても全ての自分のクリーチャーを守ることができ、ぶつかった相手のクリーチャーを全て奪うことができます。このデッキで真に強いカードはこれかもしれません。

2枚 夜霞

最後の一押し枠の「沼渡り」

 各デッキに1種類準備されている「あと一押し」枠は沼渡りを付与する《夜霞》です。クリーチャーが盤面からなくならず膠着しやすいこのデッキにおいて、沼渡りによる攻撃回避は相手にとって脅威となりえます。うまく《打ち砕く希望》でライフを支払わせ、あと一押しまでもっていきましょう。

2枚 惨めな食事

色々条件あるけど気にしない

 なんか色々条件が書いてありますが、《騙し屋》を破壊すると読み替えて問題ありません。1マナソーサリーでの除去枠としてこのカードが準備されました。
 《騙し屋》どうしのにらみ合いが発生したとき、軽コストのカードで除去をしてダメージを通しにいくのは重要な戦術です。倒した《騙し屋》はアンタップ状態でこちらにいるため、相手の攻撃に対してブロックすることができるようになります。

2枚 強迫

まず撃って、それから考える

 黒といえば手札破壊、定番の呪文を入れることでダンダーンもその色の特色を持つことができるようになります。《強迫》は1マナで相手の手札を見ることができ、その中から使用されて困る呪文を捨てさせることができます。このデッキにおいてよく捨てさせられるのは2種類の全体除去や不死ギミックを壊すカードです。

2枚 殺人衝動

使いにくいので工夫が必要

 2マナ、タップ状態という除去呪文。今までに紹介した除去に比べて明らかに使いにくいカードですが、こんなカードもデッキに入っている以上引いたら使わないといけません。
 戦闘によるすれ違いが発生している場合は比較的使いやすく、にらみ合った場合には使いにくい特性があります。

2枚 ドローガーの再生

隙あらばアドバンテージ源

 2マナになる代わりに、インスタントで2体まで回収できる可能性を秘めた《死者再生》。このデッキならクリーチャータイプは合致するので墓地に2枚あれば必ず拾えるのが強い。
 ですが、このカードのこのデッキでの真の強さはインスタントであること。最大限に活用して相手に嫌な顔をされてください。

2枚 大災厄

除去とハンデス

 除去とハンデスのモードが選べる呪文です。3マナと重いですが、そのどちらも「追放」であることに価値があります。《厳粛》による輪廻の輪に飲まれた《騙し屋》を盤面から救えるのはこのカードのみです。
 手札破壊のモードにおいても、戦場に出る前の《騙し屋》を間引くことができますし、全体除去を使わせずに処理することができます。自分がアクションを起こす前の安全確認にもちょうど良いカードです。

2枚 遺跡の碑文

どのモードも有用です

 3つのモード全てが噛み合う、このデッキのためにあるような呪文です。キッカーを支払うと7マナと重いですが、効果はそれに見合うだけのものがあります。
 通常はこれを温存し、キッカーが支払える終盤に逆転のために使うのが良いでしょう。相手のクリーチャーが1体減り、こちらのクリーチャーが2体増え、相手の手札が2枚減った状態であれば押し切る盤面を作っていけるでしょう。

2枚 魔女の復讐

全除去? 本当に?

 《胆汁病》と同じ全体除去です。両者にらみ合っている状態で撃っても意味はなく、相手に《騙し屋》のコントロールを全て奪われた状態からの逆転に使うのが良いという特性も同じです。
 3マナソーサリーと《胆汁病》に比べて取り回しが重いですが、全除去なんて元来そういうものなので我慢して使いましょう。《胆汁病》がこのデッキに噛み合いすぎているだけです。

2枚 血占い

命の価値はカード3枚

 このデッキの『3枚引く』枠はこのカードです。大量ドローが苦手な黒らしく、4マナソーサリーで生け贄が必要という重さでは使いにくいのも仕方ありません。そして生け贄にした《騙し屋》は相手にいってしまいます。
 このカードをうまく使うコツは、相手に《騙し屋》がいっても困らない状況を作っておくことです。相手にわたった《騙し屋》ごと《胆汁病》《魔女の復讐》で流してコントロールを取り返すとか、不死スタックで《死体焼却》するとか、一工夫こらしてみてください。

2枚 頭蓋書庫

定番になる山札修復カード

 このデッキのライブラリー修復枠はこの《頭蓋書庫》です。黒にはライブラリーを修復できるカードがないため、アーティファクトでキャントリップ付きという使いやすいものを選んでいます。
 墓地をライブラリーに混ぜて切り直す効果は、このデッキにおいて、ライブラリー修復の他にも役に立つ瞬間があります。ここまでのカード解説を読まれた方はもうおわかりでしょう。アレです、アレ。

18枚 沼

お好きなイラストでどうぞ

 土地枚数が合計32枚になるように18枚入っています。

2枚 やせた原野


2枚 汚染されたぬかるみ


2枚 栄光の砂漠

おなじみサイクリング三兄弟

 サイクリング三兄弟は黒でも健在。このデッキにはライブラリー操作がないので重要度は低め。

2枚 愚蒙の記念像

あまり墓地にはいないけど

 墓地からクリーチャー・カードを1枚引っ張れる土地。この効果、このデッキではとても重要。

2枚 隠された死滅都市

頼りたくはないが、念のため……

 土地6枚タップで発見4。コストが重たいのがネック。

2枚 ドロス窟

ドロー土地も定番品に

 3枚タップで1ドロー。これもライブラリー操作がないこのデッキでは重要度低めです。

2枚 荒廃した湿原

たまに役立つありがたさ

 デッキに入っている唯一の無色マナ土地。これのせいで《騙し屋》に必要なマナが出ないことがたまに起こります。とはいえ、クリーチャー除去は貴重です。

黒ダンダーンの戦略とテクニック

 他色ダンダーンは、そのクリーチャー選択と付随するカードの選択によって、元祖とは全く異なるプレイ感覚の新しいゲームになります。そのため、今回は黒ダンダーンをプレイするに際し知っておくと得をする戦略とちょっとしたテクニックをご紹介します。

序盤は押せる手札なら押してもいい

 序盤戦、《騙し屋》が2マナなこともあり、除去を構えて3マナ辺りからクリーチャーを用いた攻防が開始されます。このデッキでダメージを入れることができるのは《騙し屋》と《打ち砕く希望》。この辺りが多い手札であれば序盤からダメージレースを優位に進めることができます。

中盤は《奈落に住まう騙し屋》の枚数に注目

 中盤は戦場にある《騙し屋》をいかに奪って攻撃につなぐかの勝負となります。各種回収系呪文、追放系呪文を使い戦場にある自他の《騙し屋》枚数をうまくコントロールしましょう。
 怖いのは除去のネタ切れ。ブロッカーのつもりで残した《騙し屋》を除去られ、相手の元に全部いってしまう状況は避けなければなりません。そんなときのために《胆汁病》系の全除去を1枚手元に残しておければ安心です。

終盤は《打ち砕く希望》が確定カウンターになるので注意

 《騙し屋》《打ち砕く希望》によってダメージが累積してくると、最終的に《打ち砕く希望》にライフを支払う余裕がなくなってしまいます。絶対に通さなければならない呪文に対して《打ち砕く希望》を当てられないように、相手から釣り出すことを考えてプレイしましょう。

戦略に応じて《奈落に住まう騙し屋》の数を調整しよう

 戦場に《騙し屋》を出しすぎると両プレイヤーともに盤面のコントロールが難しくなります。いくつかのカードは戦闘処理で複数体のクリーチャーが墓地に置かれる(そして不死誘発で戻る前)タイミングで強い効果を持つものが存在します。
 そのようなカードを自分が持っているなら、盤面の《騙し屋》を増やして相手の対応を迫りましょう。そうでないなら、盤面に《騙し屋》を追加せず手札の充実を図るのがよいでしょう。

他色のダンダーンもあるよ

 ここまで黒ダンダーンのデッキと解説を行ってきました。これで白、青、黒のダンダーンが出そろったことになります。次回は赤ダンダーンを紹介予定です。

<ダンダーンのまとめ>
白:《ヨツンの兵卒》 … 紹介済み
青:《ダンダーン》 … 紹介済み
黒:《奈落に住まう騙し屋》 … この記事で紹介
赤:(近日公開) … 次回紹介の予定
緑:(近日公開)
マルチ:(近日公開)
アーティファクト:(近日公開)

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