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「SouthXChangeを活用しLNのルーティングで年利8%を実現」ビットコイナー・赤かぶと氏 2/3

ビットコイナーでLightning Networkのルーティングにも取り組む赤かぶと氏に、ルーティングをどのように学んだかなどについて伺いました。

赤かぶと氏 プロフィール

2016年参入のビットコイナー。2021年からはLightning Networkのルーティングにも取り組む。古参ではありません。

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取材実施日

2023年7月21日

Diamond HandsのコミュニティでLNについて教わる

ーーLightning Networkに興味を持ったのはいつからでしょうか。

2021年の正月明け頃ですね。LNの驚異的な取引処理の速さを知り、関心を持ちました。

それで同じ年の6月頃にDiamond Handsというコミュニティの存在を知って、そこでより興味を持ちました。

本格的に触りはじめたのは2021年の7月頃でした。

参考:目指せトップLightning Networkノード。Diamond Handsプロジェクト始動

ーーその後、LNとはどのように携わっていったのでしょうか。

まずはDiamond Handsのテレグラムに参加し、ビットコインのノードを立てるためにラズベリーパイを買いました。

自作PCは作ったことがあったのでラズパイを組み立てること自体は苦じゃなかったんですが、その後のLinuxの操作とか、何もわかりませんでした。

当時は詳細なチュートリアルもありませんでしたし、私の本業はあくまで薬剤師であり、エンジニアではないので。

でも、既にいる人たちはみんな楽しそうにやっていて、これはまずいところに来ちゃったなと思いました。

みんなUmbrelの操作を楽しく話すので当時の自分からはとてもハイレベルに見えたんですね。

でも2万円ほどで一式買っちゃったし、面白そうだし、分からないところはとりあえず質問してみようと。それでDiamond Handsのテレグラムで質問したら、みんな丁寧に教えてくれるんですね。

「買ったものを全部教えてください」「具体的にどこがおかしいのか教えてください」「どの手順でやってますか?」「参考にしたサイトをなぞって悪い箇所を探しましょう」などなど。

病院で薬剤師として働いていた私からすると、エンジニアのトラブルシューティングははじめてで、すごく新鮮でした。

それでとりあえずノードは立てられたのですが、インバウンドキャパシティ、アウトバウンドキャパシティ、チャネル、HTLCなどなど、概念自体は全くわかっていませんでした。

参考:DHコミュニティへの参加方法

LNはなぜこんなに早く送金できるのかということが不思議で仕方がなかった

ーーそのような状態からどのように情報収集しましたか。

まず、LNはなぜこんなに早く送金できるのかということが不思議で仕方がなかったんですね。

その時時点で調べられる情報は全て目を通したのですが、いくら調べてもチャネルの開き方や手数料の設定などはわかっても、本命のルーティングが発生する方法は全く理解できず。

「やっていることは台帳の書き換えであり、銀行と同じことをやっている」という書き込みも見たのですが、「銀行とやっていることが同じ」というのはどういうことなんだろうと。

あくまでもビットコイン上での台帳の書き換えじゃないですか。銀行はビットコイン上で操作を行っているわけではありません。

オンチェーンのルールがそのままオフチェーンのLNに移る形なのでビットコイン上での台帳の書き換えが他の台帳の書き換えとは意味が違うと理解するまで、結構時間がかかりました。

知的好奇心でルーティングを始める

ーールーティングについてはいかがでしたか。

Diamond Handsには早くから参加していたのに、ルーティングがスムーズに行えるようになるまで約10ヶ月もかかりました。それまでは1ヶ月に2件、ひどい時は1件もルーティングできないという状況でした。

しかし、自分がビットコインのノードを持っているということに満足していたので、挫折感はなかったですね。

ーールーティングをやってみようと思ったのはなぜでしょうか。

FXやテクニカル分析、ビットコインを始めたのと同じで、知的好奇心ですね。とりあえずやってみようと。

毎回そうなんですが、後になってハマっちゃうんですね。それでルーティング面白いじゃんって思ったのが1年経ってからでした。

それまでモチベーションが続いたのはDiamond Handsというコミュニティのおかげだと思います。

コミュニティに、同じようにルーティングが発生しない、似た状況のノードランナーがいると、自分だけじゃないんだと安心できるんですね。

逆に、トップランナーもDiamond Hands内にいたので、自分のノードと何が違うのか比較分析しながらコツコツと勉強させてもらっていました。

身近に参考にできる優良なプレイヤーがいるというのは大事なことだと思います。

ノンカストディアルであってもカストディアルと遜色ない使い勝手の良さが発揮されていて嬉しかった

ーー丸二年間携わられて、あらためてLNやルーティングの面白さはなんでしょうか。

LNはオンチェーンより送金速度が上がる点がメリットですが、他のノードにチャネルを繋ぎに行くときは、自分のビットコインの現物がないと繋げないんです。

1ビットコインで誰かのノードにチャネルを繋ぎに行くと、この人は本当に1ビットコインあったからこそ1ビットコインのチャネルを開けたという証明になるんですよね。

BTCを利用した資産の証明と担保として、活用できるのではと考えています。

例えば、ノードを立てた私とXの二人がいたとします。

私がXからお金を借りたいとして、担保としてXに1ビットコインでチャネルを開いて、さらにその1ビットコイン分のキャパシティのバランスを一気にX側に移してしまうと、お金を借りる担保になり得るのではないかと思います。

私が返済を拒んだら、X側はLNで開いたチャネルを閉めてしまえば貸したビットコインを回収できる。

キャパシティのバランス次第によるのですが、このようにLNの仕組みは送金用途以外、例えば担保にも活用できると思います。

ーー興味深いです。

現物のビットコインを保有する人が銀行からお金を借りたいとき、キャパシティバランスを99対1にすれば、その99に見合ったフィアットを借りられる。

返済時は利子と合わせて返すと同時に、99対1になっているキャパシティバランスを98対2、95対5と少しずつ担保も返してもらう、ということも可能です。

あと、送金の速度は本当に速いですね。自分のノードから他の人のウォレットに送金したことがありますが、Wallet of Satoshiとほぼ変わらない速度で支払えました。

ノンカストディアルであってもカストディアルと遜色ない使い勝手の良さが既に発揮されている。それがすごく嬉しかったです。

なので、できればみんな自分でノードを持って、それこそVPNを使った高速決済を体験してもらいたいですね。

ーーちなみに赤かぶとさんはどのようなウォレットを使っていますか。

私はZeus LNとTailescaleとUmbrelの組み合わせでLNのノンカストディアルウォレットを形成しています。ノードランナーの人はこの組み合わせを用いている人が多いと思います。

ルーティングの収支、コストについて

ーールーティングによる収支、コストについて教えてください。

自分なりに見つけたやり方があって、2022年の後半はすごく収益が上がりました。

単純に年利計算で8%ぐらい。ルーティングは基本的に儲かりませんので、年利8%はかなり高い数字です。

なぜかと言うと、ルーティングのチャネルを開くときは1,000sats、2,000sats程度使うのですが、それで収益を出すというのはなかなか難しいんです。

1回のルーティングで得られる収入が安くて10sats程度なので、100件対応してようやく回収できるくらい。簡単に儲けはでません。

手数料収入が10satsより下がることもあり、そうなると数百件以上ルーティングしないとチャネル開設の原資が回収できません。

ーーそのような中で、2022年の後半に収益が上がったのはなぜでしょうか。

LOOPというサービスを用いてLN上のBTCをオンチェーンに戻すという方法で、1ヶ月で30万sats、最大で150万sats稼げたんです。

その時の手数料が2,000ppm前後なのでこれはかなり高い部類です。

とあるルートを発見しルーティングの収支を改善

ーー内容について具体的に教えてください。

LOOPにチャネルを開いてオンチェーンに戻すサービスを利用すると手数料収入が入るのですが、チャネルを開くためにはオンチェーンのBTCが必要です。

しかしチャネルを開く度にオンチェーンのBTCをLNに移動させればオンチェーンのBTCが枯渇します。

そこで何とかしてLNのBTCを別の方法で回収できればと考えました。

それで、SouthXChangeというLNに対応したアルゼンチンの取引所にLNで送金し、一定程度BTCが貯まったらまとめてオンチェーンで自分のウォレットへ出金するという方法を見つけました。

この方法でLOOPに何回もチャネルを開くことができるようになり、収益は50倍と極端に改善しました。

LOOP(LN)→SouthXChange→Umbrel(オンチェーン)→LOOP(LN)、をガンガン回すのですが、回し過ぎて取引所の出金制限に引っかかったこともあります。

SouthXChangeからの出金手数料が50,000sats固定だったのでこれは素晴らしいと思いました。

ーーその手法は今でも通用するんでしょうか。

それが実は2023年に入ったくらいから私のノードと口座だけは突如送金できなくなったんです。

あくまで推測ですが、おそらく私がやりすぎたのでSouthXChange側で恣意的に私の口座が停止されたのでしょう。

実際、私以外にも同じ手法を使ってる人はいるんですが、その人たちは今でも普通に使えているそうです。

まあ仕方ないです。

もしまた新しい口座を作ってやるのであれば、今でも同じことができると思います。

ただ、1週間で10万ドル以上は出金できないっていうルールがあるんですよね。1ヶ月の合計出金額もドル換算で制限があって、何度も中抜きをするためには、かなりの出金額になってしまいます。

1ヶ月で例えば10ビットコインとか20ビットコインとかになっちゃうんですよね。

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全3記事の赤かぶと氏のインタビュー、最後の3記事目に続きます。

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