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魔法の言葉

「うん。バートンさんなら、大丈夫だよ」


 これは、私がガンと宣告され、手術のために

入院先の病院に行ったときの話。


 私が病室に入って荷物を解いていると、

看護師長さんがやってきて、声をかけてくれました。


看護師長さん:こんにちは。今日から入院?

      よろしくお願いしますね。

バートン:はい。そうです。よろしくお願いします。

看護師長さん:バートンさんは、どんな具合でしたっけ?

バートン:私の病状ですか?私の病状は。。。です。

看護師長さん:あ〜そうなのね。

(看護師長さんがジーと私の顔を見ていて)

看護師長さん:うん!バートンさんなら、大丈夫だよ。

      退院したら何したい?


 この言葉をもらった時、私は

「そうか!私は、大丈夫なんだ!」

と、とても安心したことを覚えています。


 一昨年に父親をガンで亡くした当時。

私の中で「ガン=死」と捉え、

途方に暮れていました。


・子どもが4歳と1歳。私の事を、

覚えていてくれるかな。。。

・(妻に)本当に申し訳ないな

・(母や妹に)父に継いで私まで。ごめん


など、浮かぶ思いは「死ぬ前提」の事ばかり。



ところが、看護師長さんが言ってくれたのです。

「バートンさんなら、大丈夫」だと。



 多くのガン患者さんを診てこられた看護師長さんが、

笑顔で「大丈夫」と言ってくれた。


 この言葉が、どれほど私を勇気づけてくれたことか。


 もちろん、家族や友人にも、同じように言われました。

でも、私の心には響かなかった。


 それらは、「同情や励まし」にしか聞こえませんでした。

(思いを受け止められなくて、ごめんなさい。。。。)


 ただなぜか、看護師長さんの言葉は違ったのです。


 おそらくですが、看護師長さんが、

今日から新たに入院してくる患者の情報を

まったく知らない、ということはないのかなと思います。


 それなのに、あえて私に「病状を話す機会」をくれた。

まず、これで私の「現在地」を、私が認識できた。


 その上で、経験豊富な看護師長さんが「大丈夫」という

声をかけてくれた。


 その結果、心がフッと軽くなり、安心できた。


こんなイメージ(笑)



 この言葉のおかげで、私の入院生活は

「退院後の楽しみ」に向けて、ワクワク過ごせました。


 この言葉があったから、その後の再発(3回)も、

「(再発したけど)私は、大丈夫♬」と思えました。


 この言葉で「人生やり直しスイッチ」を押せて、

今に至るその後の人生を、ガンになる以前より

”楽しく、自分の気持ちを大切に”

生きられるようになりました。


 看護師長さんには、本当に、感謝しかありません。


 言葉には、本当に「その人の想いが込められる」のだなと、

強く感じました。


 私が師と仰ぐマツダミヒロさんがよく言われているのですが、

「目の前の人を喜ばせるには、どうしたら良いだろう?」

という魔法の質問あります。


 この言葉、何かをやってあげることも良いのですが、

私は、

・どんな言葉をかけたら、喜んでくれるだろう?

と、「言葉を贈る」ことも、同じように、

とっても素敵なことだなって思います。


 言葉なら、時間もお金も用意する必要はありません。

「自分の想い1つ」あれば、伝えられます。


 ぜひみなさんも、自分に関わってくれる周りの人に、

「魔法の言葉」。伝えてみてください。



ちなみに、前出した看護師長さん。

退院後、半年くらい経ってから病院でバッタリ会いまして、

当時の嬉しかった話を添えてお礼を言いました。


 すると、看護師長さんが笑顔で

「私。バートンさんの顔。超タイプなの。

死んじゃったら、もう会えなくなるでしょ?

だから、大丈夫!て言ったのよ。

また会えて、本当に嬉しいな!」と


 えっ?そんな理由?



 何とも「ミーハーな理由」で発せられた言葉で、

救われたバートンなのでした(笑)


最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

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