Bar and Coke
友人との待ち合わせだった
まだ少し時間があった
ポツポツと雨粒がまぶたに落ちた
雨だ
少しだけれど雨が降る
ひどい顔になるかもしれない
わたしは傘を持っていない
近くに見つけたBarへはいった
カウンターには外国人男性が美味しそうにカクテルを飲んでいる
時間もあまりなかったのでわたしは一杯のカクテルを頂いて帰るつもりだった
喉も渇いていたのでけっこうな勢いで一杯目を飲み干してしまった
隣で美味しそうに飲んでいるカクテルがきになる
褐色のソーダ系、レモンやらが入ってて、爽やか
美味しいに違いない
それとなくその男性に聞いてみる
そのカクテルはなんていうかカクテル?
コーラだよ
え?
コカコーラだよ。知ってるかい?
わたしが入る前には客はその男性1人だったはずだ
1人でバーのカウンターでコーラ
わたしも2杯目においしそうなコーラを頼んだ
次のお客さんが入ってきた
カウンターには計二人のお客
二人ともコーラ
おいしそうなコーラ
でもだれも全客がコーラを飲んでいるとは知りようがない
不思議なbarになってしまっている
なんだか申し訳なくなった
ここはbarだ
瓶詰めの、氷で優しく冷やされたステキなコーラ
カクテルをおいしく作る技術で仕上げられたステキなコーラ
既製品のコーラ、侮ることなかれ
プロの手は魔法を毎日作り続けてる
ロマネコンティだって瓶詰めのワイン
キャビアだって缶詰の魚卵
然るべき人の手で然るべき技術で最後の仕上げ
ステキな世界があるものね
barでコーラを飲んでそれに気づかされる
おつりはいらないわ
本日も【スナック・クリオネ】にお越しいただいき、ありがとうございます。 席料、乾き物、氷、水道水、全て有料でございます(うふふッ) またのご来店、お待ちしております。