見出し画像

辞書の生き物            #3 反芻:はんすう

反芻動物

 言葉や記憶などを繰り返して味わう意味で使われますが、元はウシなどの反芻動物が、飲み下した食べ物をもう一度口に戻して噛むことです。ウシやヒツジの映像で、彼らが口をもぐもぐしているのを見たことがあると思いますが、反芻動物であるキリンも同様に反芻します。動物園に行ったらキリンの首をじっくり観察してみてください。反芻する食べ物が長い首を上下するのが見えると思います。草を食べる反芻動物は4つの胃袋を持っており、食道につながる第一胃が一番大きく、ここで食べた草を微生物により発酵させますが、草を細かく砕くために口に戻してモグモグします。4番目の胃袋がヒトと同じく消化酵素を出してタンパク質を分解します。反芻動物は食べるものからすると草食動物ですが、最終的には微生物を消化してタンパク質(アミノ酸)を摂取する肉食動物と考えてよいのではないかと思います。 

偶蹄類・奇蹄類

 反芻動物には、ウシの他に、ヒツジ・キリン・ラクダなどがいます。これらの動物は足の指が2本の偶蹄類に属します。2本指ですが、人間でいうと中指と薬指で立っていることになります。ちなみに奇蹄類のウマは中指1本で立っています。これは進化の過程で、足の5本指の外側から無くなっていったと考えられています。まず親指がなくなって4本となり、次に小指がなくなり3本、そして人差し指が消えて2本、そして薬指がなくなり中指だけが残ったウマに行きついたということです。指の数ではウマが一番進化した哺乳類になるでしょうか。

自己紹介

親子三代の獣医師

 我が家は祖父が陸軍の獣医師で、父と私も獣医師免許を取得しています。日本で親子三代にわたって獣医師免許を持っている家系は少ないのではと思います。我が家の庭には犬猫に限らず、ウサギ、タヌキ、ウズラ、キジ、ジュウシマツ、サツマドリ(鹿児島の闘鶏用のニワトリ)、などがいましたが、野生のイノシシが紛れ込んできたこともありました。飼っている生き物の面倒を見るのは私の当番で、朝晩のエサやりは大変でした。こういう環境でしたので、小さいころから動物には興味があり、辞書をめくって動物由来の言葉を探すのが好きでした。当時はインターネットがない時代で、紙の辞書が友達でした。
 辞書にでてくる動物関係の言葉は多く、それだけ日本人の生活に身近なところにいろいろな動物がいたことがわかります。これまで調べてきた動物由来の言葉を順番に紹介していきたいと思います。由来については諸説ありのものもありますので、うんちくの一つとして楽しんでください。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?