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馬齢を重ねる:ばれいをかさねる #86 辞書の生き物

 三代目の獣医師「ぼっけもん」が生き物に由来する言葉やことわざを紹介します。辞書には生き物の名前が付いていたり、生き物に由来する言い回しが多く残っていたりと、日本人と生き物の強いつながりを示しています。
 今日も馬にまつわることわざです。 

馬齢を重ねる

 これといったこともせずに、いたずらに年を重ねることを謙遜して言う表現です。自分のことをへりくだって言う言葉ですので、相手に対して使うのは失礼に当たります。注意しましょう。

 語源は中国の三国志の中心人物「曹操」の子どもで詩人の曹植の詩の「犬馬徒増:けんばとぞう」に由来します。馬の歯がいたずらに伸びてくる様子を、自分が何もなさないまま年を取ることに重ねていたようです。
 とはいえ、馬は戦力としても農耕や運搬でも役に立っていたはずですので、無駄には生きていなかったと思います。馬自身にとっては、もっと有意義な生き方があったのかもしれませんが。

馬の年齢

 馬の年齢は歯である程度判断できます。馬の歯は人間と同じように生え変わり、5歳くらいまでには全て永久歯になります。また前歯のすり減り具合でもおよその年齢がわかります。

生き馬の目を抜く

 昔の馬の売買では、馬の歯を見て年齢を判断していたようです。売主が若い馬だと言っても実は年取っていたということもあったそうで、「生き馬の目を抜く:note #77 」ような商売が横行していたのかもしれません。


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