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【世界トップ1%の「聞く力」】/牧野 克彦

世界トップ1%の「聞く力」

新規性  :★★☆☆☆
有益性  :★★★★☆
おすすめ度:★★★★☆

■この本で解決できること

営業において、お客様が「イエス」と言う(=契約する)までの感情のプラスマイナスを図示し、その段階ごとに必要な聞く力がわかります。この本を読めば聞く力の重要性がわかり、ヒアリング能力が高まるでしょう。

■この本で伝えたいこと

 ●「不平不満」を聞く力

このフェーズで重要なことは、相手が思っていることをすべて外に出してもらうことです。にも関わらず相手の言ったことに反論をしてしまうと、相手の感情はますますマイナスの方向へ傾いてしまいます。

前任者や商品に対する不平不満はしっかりと聞いて受け止めることが必要となります。そうすることで、“あなた”に対する信頼感はUPします。そして、「オノを売りつけに来た営業マン」というイメージから「不平不満を受け止めてくれるよき相談相手」という印象に変わります。

相手の共感を得る具体的な方法としては、以下の3つがあります。
①身振り手振りをマネする
感情を受け止める
大事なのは“感情”です!「昨日ディズニーランドに行って楽しかった」
→×「へぇ、昨日だったんだ」
 〇「そう、楽しかったんだね!」
③価値観に共感する
価値観とは、何が大事で、何が大事でないという優先順位のことです

また、不平不満を聞いているとき、相手は怒っている状態にあることも少なくないでしょう。怒られるというのは非常にストレスとなりますが、人間は1分以上は怒れないという事実を知っておくと、だいぶ楽になるのではないでしょうか。相手はふぅーと息を吐いたら、怒りもすべて吐き出したという証拠です。その瞬間を見逃さずに、そこで初めて共感を示して謝罪をすることが良いでしょう。怒っているときは、何を言われても聞く耳をもてませんので。

それから、最初のあいさつで「すみません」と言ってしまう方は非常に損をしている可能性があります。本来、ビジネスというのは対等な関係にあるはずです。飲食店でも1000円を払って1000円の価値がある食事を食べているという点で、等価交換なのでお客が偉いということは絶対にありません。
この対等な関係を心理的に崩してしまうのが「すみません」という言葉です。

ぜひ「こんにちは、お時間いただきありがとうございます!」と、元気よく振舞ってみましょう。

 ●「何が欲しいか」を聞く力

ここでは、相手が「何に興味があるのか」「何が欲しいの」を見抜く必要があります。そして人は「モノ」ではなく感情的な幸せが欲しいものです。つまり、「あなたは、どうなったら幸せですか?」に対する回答を得られれば、相手に対して「イエス」と言ってもらえる提案ができるのです。

では具体的な手法のお話に移ります。

まず相手のことを聞き出す前にすることは、自己紹介でしょう。
自己紹介は、実績・メリット・目指すところを話します。そしてここではそれに加えて自分の「理念」を伝えるようにしましょう。

理念とは、何のためにこの仕事をしているのかということです。会社や商品のことではなく、「あなた自身」が何者なのかを知ってもらうことで、信頼され相手は聞くモードに入ってくれます。

相手の欲しいものを聞き出すうえで、「相手の気持ちになる」という手法はよく語られていますが、よく考えてみると「相手の気持ち」なんて分からないのが当たり前ではないでしょうか。

そういった前提に立ち、わからないから「聞いてしまえ」という姿勢が重要です。その際に、まずはイエス/ノーで回答できる質問をしましょう。
深く考えることがないため、相手は負担がかからず、感情がマイナス方向に動くことを防げます。そして徐々に「何が必要ですか?」「どう思いますか?」といった考えないと答えられないような質問を織り交ぜていきます。

相手の価値観を認めつつ、本当に選ぶべきものに気づかせる手法があります。それは、選択肢を並べることです。これは結果的に相手が自分の意思で選ぶので、満足度が高くなります。つまりあなたへの印象も良くなります。

聞くことによって相手は自分の欲しいものに気づき、それを手に入れたいという感情も高まります。一方で、「でも…」という「欲しい」気持ちを抑える感情も同時に湧き出てくるものです。
この「欲しい」という気持ちが下がるのには2つの理由があります。
①自分で決断するのが怖い
②失敗するのが怖い

①は、決断を先延ばしにする傾向が強い人によくあるケースです。
これを防ぐには、最悪のリスクを話すことや、自分が先延ばしにして公開したエピソードを話すことが効果的です。

 ●「思考を変える」ための聞く力

人の欲求には「表面に出ている欲求」と「心の奥にある欲求」の2つがあります。ところが、心の奥にある欲求はなかなか表面には表れません。

相手に「イエス」と言ってもらいたいなら、心の中で本当に求めている欲求に気づかせることが重要です。そしてこれは質問を通して気づかせること効果的です。ポイントは、「何が欲しいのか?」ではなく「どうなったら幸せか?」を聞くことです。「お金が欲しい」という人は、そのお金を使って何かがしたいわけです。この場合のお金は、したいこと=目的を実現するための手段にすぎません。

ただし、本当の欲求に気づき「思考が変わった」としても、それを「行動に移す」かどうかは別です。行動に移させるには、表面的な思考だけでなく、聞き方によって心の奥にある欲求まで迫る必要があります。

相手の思考を変える有効な手法としてもう1つ、時間軸をずらすということがあります。これにより「今はいらない」という状態から「将来は必要だ」という状態に思考をシフトさせることで「イエス」を言わせることができます。

また、このフェーズにおける注意点としては、余計な共感をしないということです。心の奥底にある欲求というのは繊細なため、シンプルなあいづちを打つだけにするようにしましょう。

 ●「迷いを結論に導く」ための聞く力

ここまでくれば、相手は90%「イエス」という気分になっています。
そして、興味を持っているからこそ人は迷うのです。

<決断を迷う人の5つの理由と対策>
①今でなくてもいい
→今すぐのほうがよい理由を説明する
②金額が高い
→未来にフォーカスする
③思ったほど効果がない
→「このままにしますか?」と聞く
④他と比べたい
→気が済むまで比べてもう(実際に比べるのは3割)
⑤不安
→解決策を提示する

■この本から得た教訓

気づき

共感を得るうえで、感情にフォーカスするということは確かに重要だと感じた。
ヒアリング能力はまだまだ向上させる余地のあるスキルである。

明日からできること

・否定語を使わない
・「だからこそ」という言葉を使う
・返答は「はい」から始めるようにする

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