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気密測定器とは?

興味のある方が少ないかもしれませんが、あまりネット上にも具体的な説明がないので、住宅のすき間(C値)を測定する気密測定器についてご説明します。
気密測定器は、住宅のすき間の大きさを測定する機器です。
住宅のすき間の大きさは直接測ることができないため、気密測定器という機器を使って相当隙間面積(C値)を測定・計算します。

気密測定器の構成は以下のようになっています。

気密測定器

基本的な構成は、送風機、送風機の風量(通気量)を測定するセンサ、内外の圧力差を測定するセンサ、外気・室内温度を測定するセンサ、そしてこれらのセンサからデータを収集し計算するコンピュータとなります。

まず送風機と風量センサなどを窓やドアに設置します。
圧力差を測定するホースの一つを外に設置します。
各センサやホースを本体に接続します。

気密測定には減圧法加圧法という二つの測定方法があります。
通常は減圧法で測定します。
減圧法は住宅内の空気を外に出して測定します。
送風機を回すと住宅内の空気が外に出て行きます。
そうしますと、住宅の中と外で圧力差が生じます。
すき間が大きいと、いくら送風機で空気を外に出しても、すき間からどんどんまた空気が入ってきますので、内外の圧力差が小さいままです。
それに対しすき間が小さいと、送風機で空気を外に出すと、外から空気が入って来づらいため、圧力差が大きくなります。
気密測定器はこの原理を利用して測定します。
温度センサは気密測定時の温度補正のために使用します。

気密測定は圧力差を変えて通常5点の圧力差と通気量を測定します。
気密測定器は5点の圧力差と通気量の関係から計算で総相当隙間面積(αA)を求めます。
αAを住宅の延べ床面積で割った値が相当隙間面積(C値)です。

気密測定器はいくつかのメーカーから出ていますし、海外の気密測定器を輸入している会社もあります。
気密測定についてはJISに規定がありますので、まずJIS A 2201に対応している必要があります。
気密測定方法はJISで規定されていますので、基本的な測定方法、計算方法に差はありません。
気密測定器の性能の差は、センサなどの測定精度です。

圧力差センサについてはセンサ自体の性能が影響しますが、通気量測定についてはいくつかの要因が影響します。
通気量のセンサにはオリフィスピトー管、その他センサを使用したものがあります。
一概には言えませんが、精度的には整流筒を使用してピトー管での測定が精度が高くなります。
整流筒を使用することで空気の流れが一定になって安定しますし、風の影響も受けづらくなります。
ただ単に整流筒とピトー管の組み合わせで精度が上がるわけではなく、正しい通気量を測定するためには検定装置や様々なノウハウが必要なので、実績のあるメーカーのものが安心です。

また気密測定器は耐久性も重要です。
気密測定器は高価ですが10~20年くらい使われるものが多く、20年以上使われている気密測定器も多くあります。
安いセンサは精度が悪いだけでなく、経年変化しやすく精度が悪くなるものがあります。
また、長年使用していると故障しやすくなるものもあります。
送風機や整流筒などが変形すると測定精度に影響することがあります。
気密測定器は長年使用されることが多いので、長期間精度よく測定できることも重要です。

もう一つ非常に重要なのは、気密測定器が定期的に校正されているかということです。
気密測定器にかかわらず測定器は定期的にセンサの精度が保たれているかを確認する必要があります。
気密測定器も定期的な校正でセンサに狂いがないかチェックしなければなりません。
せっかく気密測定してもセンサが狂っていては、正しいC値が測定できません。


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