暖房の効率が悪い住宅

住宅に断熱材を入れると暖冷房により室内を適温に保つことができます。
ただし単に断熱材を入れればいいというわけではありません。
断熱材を入れても熱が逃げやすい場所があったり、室内が適温でも体感温度が低かったりするとせっかくの断熱材の効果が低くなります。
断熱材の効率を下げる主な原因には以下のものがあります。

断熱材の途切れ

断熱材は途切れなく連続で入ることが理想です。
断熱材が途切れると途切れたところから熱は逃げやすくなります。
熱の逃げやすい場所を熱橋と言います。
充填断熱の場合はどうしても柱などで断熱材が途切れます。
胴差を断熱しない場合も、階間部分などで断熱材が途切れます。
また、外張断熱でも外壁と屋根・床で断熱材が途切れることがあります。
そのためできるだけ熱橋を少なくし断熱材が連続で施工されるように工夫することが必要です。

すき間

断熱材でいくら断熱しても、住宅にすき間があれば熱はそこから外に逃げてしまいます。
そのため断熱する場合はすき間を少なくすることも重要です。
昔の木造住宅はすき間が大きく断熱材を入れてもあまり効果がありませんでした。
そこで高気密住宅が考案されました。
高気密住宅は従来の住宅よりもすき間が非常に小さくなり、断熱材の効果がより高くなりました。

壁内気流

暖房によって室温が上昇しますと壁の中の温度も高くなります。
そうしますと壁の中の温められた空気は上昇します。
この空気が天井に抜けて外に出ていくと熱も逃げて室温が上がりづらくなります。
また、壁の中に上昇気流が発生すると壁の下から冷たい空気が入ってきます。
このように気流を止めないとせっかくの暖めた空気が天井から外にどんどんに逃げていってしまいます。

体感温度

人は室温だけで温度を感じるのではなく、湿度や風、放射などの影響もあります。
これらも含めた人が感じる温度のことを体感温度と言います。
湿度や風が体感温度に影響するのはイメージしやすいのですが、放射の影響とは何でしょうか。
室内にいると壁や天井、床に囲まれます。
このとき壁などの表面温度が体感温度に影響します。
室温が適温でも壁や天井、床の表面温度が低いと放射の関係で人は寒く感じます。
つまり人が適温に感じるためには暖房で室温を上げるだけではだめで、壁などの表面温度を上げる必要があります。
表面温度を上げるためには断熱が必要です。
ちなみに床暖房が暖かく感じるのは、床全体の表面温度が高くなり放射温度が上がることも影響しています。

上記は冬の話ですが、夏は日中に日射が当たった天井(または屋根)や外壁の表面温度が高くなり室温よりも暑く感じます。
また、窓から入った日射が床や壁に当たると表面温度が上がりこれも暑く感じる原因です。


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