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木材の断熱性能は高い?

一般的には木材は断熱性能が高いと思われています。
前回熱伝導率について説明しましたので、木材の熱伝導率を調べてみましょう。

天然木材の熱伝導率は0.12W/mKです。
ちなみにグラスウール断熱材16Kの熱伝導率は0.045W/mKです。
0.12÷0.045=2.66…で、木材はグラスウールよりも2.7倍熱を通しやすいということがわかります。

確かに木材は金属やコンクリートに比べれば断熱性能は高いのですが、断熱材と比較すると性能が低いのです。
多くの住宅で採用されている断熱方法に充填断熱という方法があります。
充填断熱は壁の中に断熱材を入れますが、このとき柱と柱の間に断熱材が入る形になります。
つまり壁の構造としては柱の部位と断熱材の部位があり、柱が断熱材を貫通している形状になります。
下図は外壁を真上から見たときの簡略化した断面図です。

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断熱材は断熱性能が高いため熱を通しづらいのですが、柱は木材なので断熱材よりも熱を通しやすくなります。

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そうしますと、柱は熱が通りやすい場所(木材熱橋)となってしまい、断熱性能的には足を引っ張る存在です。
昔の断熱材が入っていない住宅や断熱材が不十分な住宅では、木材の熱橋は問題になりませんでしたが、断熱材がしっかり入った住宅では柱からの熱損失は無視できなくなりました。
実際、省エネルギー基準(省エネ基準)で住宅の断熱性能(外皮平均熱貫流率(UA値))を計算する場合は、木材の熱橋を考慮して計算することになっています。



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