ティムポ神のお導きのままに
ムラムラしています。
君を見ているとムラムラします。
とは言えないので、行動で示します。
日本人は昔から、「Yes,Noマクラ」という発明を利活用しています。
あれはすごくいいと思うんですよね。だって、自動的に今夜はアレしますよってことが物言わず伝わるわけじゃないですか?すごくないですか?ぼくはすごいと思うなあ。人類の叡智の結晶だと思うなあ。
ぼくは大きいおっぱいが好きです。
あ、大きいお尻も、太ももも、厚ぼったい唇も、何ならだらしなく垂れた腹回りのお肉も「大好き」です。
なんだか、言っててムラムラしてきたんですが。ちょっとトイレ行ってきていいですか?
ええと、なんでしたっけ?
ああ、そうだ。ぼくはですね、妻がだるんとしたTシャツを着て、前屈みになったときに必ず谷間をガン見します。ふくよかなおっぱいは、ぼくの胸をいっぱいにしてくれます。おっぱいで、いっぱいにしてくれます。くそ真面目に人生について悩んでいたとしても、そんなこと蚊帳の外に追いやって、脳のストレージ9分9厘が桃色の血潮で満たされます。ぼくの脳は、おっぱいを見た途端、「( ^ω^)おっッッッぱい!」という4文字でミチミチになります。ちょっと脳汁として漏れ出してしまうかもしれません。
今すぐにルパンダイブして、その谷間に飛び込んでいきたい。
とは、できません。
ぼくの脳の残り1厘が理性としてストップをかけるんですね。子どもの前だぞ?さっき喧嘩したばかりだろう?いいのか、あした早番だろう?このまま妻に威厳を見せれず、快楽に身をゆだねるというのか?
本当に様々な理性が、たった1厘のリソースに多大な圧力をかけてきます。
そんなこと言ったって、たった脳1厘のくそみそメモリで理知的な判断ができるわけがないじゃあないか!?そんなこと言ったって、母さん!!
だから、こうなったらもう理性を抑えられるわけないので?
今すぐにでも野生に還ることを必死で静止して、せめて行動で示して、何となくアレしてもいい的な空気を作り出したいんですよ。ムラムラしたら理性の1厘との真剣の斬り合いなわけなんですよ。脳内で。もう毎日しっちゃかめっちゃか。
だってずるいじゃん!そっちがそんなだるんとしたTシャツ着てくるんだから、こっちだって股間がバキューンってなるに決まってるじゃない!くそっそんな色気もくそもない服で、おれの童貞を殺してきやがって!
でもそんな、犬みたいに尻尾振っちゃって、恥ずかしいじゃないですかッッッ?毎日そうなんだから!病気じゃん!
こうなったら、人類の叡智の結晶に身を預けるしかないですよね。
だもんで昨夜、「Yes,Noマクラ」ならぬ「Yes,Noマスク」をつけて帰宅しました。
Noって書くの面倒だし、どうせ使い切りなので、使いまわすことはなかろうと、見える側に「Yes」と書きました。黒のマジックペンででかでかと。あ、違う。「イエス」と書きました。片仮名。
きっとこれを見た妻は、わたしの意図を察してくれるだろう。
そうイメージし、意気揚々とただいま戻りました、と告げる。
え、ちょ、何ッ。 まったく、男ってほんと下半身にしか脳がないのね。 どこからそれつけてきたの、はずかしい(*ノωノ) ご近所さんに見られてないわよね? もぉ、まだ子どもが起きてるから、あ・と・で・ね?♡
やってやりましたよ人類。
あなた方の叡智が、わたしの家庭の性生活を救いましたよ。
見てください、この、妻の慌てふためいて頬を赤らめた姿を。
すべてはティムポ。
ティムポ神がお導きくださった。
全人類が信奉してやまないティムポ神が。
ありがとうティムポ!
ありがとう人類!
わたしはこれほどまでに人という種に感謝したことはない。
わたしはきっとこの日を記念日とするだろう。
そう、今日と言う日は「イエス・ティムポ生誕記念日」だ!
妻「え、なに、神にでもなったつもり?」
心臓を握りつぶさんとする冷酷な瞳が、ぼくを見ていた。妻の眼だった。
妻「どうでもいいけど、今日晩ご飯つくる暇ないほど子どもに手を焼いたから、早く風呂に入れてくれる?」
はあ疲れた、と腰を上げながら谷間をちらつかせる妻。
なぜだか、まったくと言っていいほど、ムラムラがしぼんでいた。
おかしいな?すぐさま尻尾振りたくなるほど、ふっくらした丘陵なのにな?おれのティムポ様が反応おわしめさないんだけれども?いつからぼくは夢を見ていたのかな?
「あっ、スー。」
ぼくは洗面台の前でイエス・マスクを外した。
片仮名なのがいけなかったかなあ。
コツコツ書いてます。ボドゲ、ブログ、ノベル書きます。気にしてくださると励みになります🤗