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仏像と私~出会い編④~

思わず、出会い編だけで4回目…。

お付き合いくださっている方、ありがとうございます!

前回に引き続き、社会人になって初の「仏旅」後編をお送りします。

初めての奈良、です。

※トップの画像は「かいくうさんによる写真ACからの写真」です。

1、仏像の新たな形を知る~興味を持つに至った思い出・社会人編後編
2、今、そしてこれから

1、仏像の新たな形を知る~興味を持つに至った思い出・社会人編後編

初日は嵯峨野の二寺院を回り、制限時間いっぱい。弾丸ツアーは残り一日(移動の時間を考慮すると、実質半日もないくらい)です!2日目は気合いを入れて午前6時に起床し、朝食もそこそこにチェックアウト。

京都駅から向かうは奈良の都です。

初めての奈良旅は近鉄線を利用しました。

実は、電車文化のない県に住んでいるので、初めての路線に乗るときはちょっぴりドキドキだったんですよ。(今はもちろん、回数重ねていますからそんなことはありませんが…)

有名な観光名所でいうと、近鉄線は途中、伏見稲荷の最寄り駅も通過しますが、今回は何しろ時間がありません。時間の節約と途中下車したくなる欲望をごまかすのも兼ねて、特急で一路、奈良は「西ノ京」駅へ。

というわけで、奈良です。

日本有数の歴史ある観光地でありながら、観光客であふれかえることのないのんびりとした雰囲気。この旅は十年以上前のこと(年齢がばれそう…(笑))なので、奈良駅の方も商業施設が少なかったですね。

(今はス〇バさんとか、有名チェーン店も軒を並べています。でものんびりしているのは変わらないのが、奈良の大好きなところです♪)

さて今回なぜ「西ノ京」駅に直行してきたかと言いますと、一番の目的地が「唐招提寺」だからなのです。

またまたシブ目路線を突いてしまいますが。

唐招提寺の開祖は鑑真和上。正しい戒律を授けることのできる高僧を、という日本からの求めに応じ、中国・唐から渡日を決意しました。ところが渡日を嫌がった弟子の密告や嵐で船が難破するなどの苦難に五度も見舞われます。その間に両眼の光を失いながらも六度目にしてついに日本の地を踏んだのです。その不屈の物語を子どものころに読んで以来、これまたずっと憧れていた人物です。

本物の鑑真和上像を一目見てみたい!という抑えきれぬ思いが、初奈良の旅の最初に唐招提寺に導いた、というわけです。

西ノ京駅からは650mほどとのことなので、もちろん歩きます。京都や奈良は、気候にも寄りますが、ぜひ徒歩で回られることをおススメします。ちょっとした路地にすてきなお店を発見したり、地元の方の生活が肌で感じられたりと、よりその土地を訪れた実感が湧くと思います。

さあ、唐招提寺に到着です。カメラを片手にゆったりと歩く熟年のご夫婦がすでに何組がいらっしゃいましたが、敷地内は心地よい静謐に満ちています。

鑑真和上像を目的に来ましたが、金堂(国宝)内にも本尊・盧舎那仏坐像をはじめ、薬師如来立像、千手観音立像、四天王像や梵天・帝釈天立像(いずれも国宝)も見逃せません。すっと長く引かれた眉、細くすずやかでありながら、深い智慧を宿す両眼。やや丸みを帯びた体躯にゆったりとかかる衣のひだ。いかめしい四天王ですら、勇猛さと気品が同居した稀有な雰囲気を備えています。いずれもおおらかな天平文化をしのばせる美仏です。

待ちに待った鑑真和上像との対面は御影堂。刻まれたしわ、開くことはない両眼にはゆるぎない意志と慈愛が感じられます。像高は80.1㎝。彩色も思ったより残されています。脱活乾漆と呼ばれる張り子技法で制作されており、柔らかみを残した質感が実に見事です。日本最古の肖像彫刻といわれる像は、じっとただひたすら像と向き合うと、不思議と何事にも立ち向かう勇気が湧いてくる温かみのある像でした。

この鑑真和上像ですが、近年、お身代わりの像が制作される過程で、新発見がありました。制作したのは仏師ではなく、唐から付き従ってきたお弟子さんたち。脱活乾漆の特異性を存分に生かし、指で細部を仕上げていった痕跡が発見されたのだそうです。師への深い尊敬と愛情が、この像を時代を経ても愛される「宝」にしたのかもしれません。

ちなみに、御影堂は現在、平成大修復(時代は令和に移り変わっておりますが)の途上です(~2022年3月予定)。鑑真和上像は新宝蔵にて拝観できるようです。

さて、各旅のお土産の話も今後はちょこちょこと載せていけたらと思っております。

今回は、この唐招提寺のお香です✨二種類ありますが、私のおススメは「天平香・沈香」。沈香はやや癖のある香りで好みが分かれますが、こちらの沈香は苦み・渋みのようなものが少なく、涼やかさと荘厳さが相備わった逸品です。もう長く足を運んでいないのですが、あの香りにも出会いに、また訪ねたいと思います。

鑑真和上像や金堂の美仏、おみやげについても公式ホームページをどうぞ。


唐招提寺でだいぶ長居し過ぎたため時間が厳しくなってきました。でも、わずか5、600m先の「薬師寺」までは何とかして…!かの有名な、「凍れる音楽」と称された東塔を眺め、金堂で国宝の本尊「薬師三尊像」と薬師如来様の座する台座「宣字形台座(せんじがただいざ)」(ギリシャ由来と伝わる葡萄唐草文様、ペルシャ由来の蓮華文様や四神など美しい意匠に彩られた白鳳時代の名品です)を堪能。西洋から東洋を渡ってきた悠久の風に吹かれつつ駆け足の初奈良探訪は終わりを告げました。

薬師寺についても公式ホームページをご案内しておきますね!


2、今、そしてこれから

だいぶ長文ばかりになって読みづらくなってしまった「出会い編」でした…。

今はなかなかイベントごとも開催しづらく、旅行もなかなか出掛けづらい時ではありますが、対策を考えながら、県内また近県からでも「仏旅」を再開できるよう摸索したいと思います。

「仏像と私」シリーズは、今後は私のお気に入りの仏像たちを、旅の思い出や各地のおススメしたいお土産情報(マニアックなものもありますが)を交えつつ、書いていきたいと思います。

良かったら、またのぞきに来てくださいね♪

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