みかんがある日常

 昨日、田舎からみかんが届いた。
 熊本から送られてきた段ボールには、傷が少々ついたみかんがたくさん詰まっている。熊本から毎年たくさんのみかんを送ってきてくれるおかげで、自分でみかんを買おうと思ったことがない。そもそも我が家でみかんを買っていない気がする。スーパーに行ってもみかんを買おうとは思わない。
 友達が言うに、みかんはとても高いものらしい。とても、とまではいかにものらしいが他の果物よりも高くて、一人暮らしにはなかなか手を出しにくいらしい。
 正月が近づいてくると、毎日のようにみかんが詰まった段ボールが一箱二箱と宅配されてくる。みかんは美味しいが、一人暮らしの家にそれだけ大量のみかんが来てしまうと、腐らせてしまう。何回かは、段ボールの下の方のみかんは緑にさせてしまった。みかんを料理に使ってみたり、スイーツにしてみたりと頑張るが段々と肌が黄色くなってくる。美味しいのだが、みかん地獄なのは間違いない。

「タダで食べられるってだけで、お得か」

 その日一日、大学の講義は耳に入らず、あのみかんをどうしようと考えていた。

「みかん、料理、簡単」

 ググればそれなりに出てくるが、一人で最後までやり遂げられるのかが不安になってくる。
 試しに「みかん」とだけ調べてみる。
 みかん、とは。
 ミカン科の常緑小高木。高さ約三メートル。茎にはとげがない。葉は長卵形または披針形で翼をもつ柄がある。初夏、白い五弁花が咲く。果実は扁球形で黄色に熟し、芳香を放ち甘酸っぱい味がして生食される。古くから栽培されウンシュウミカン・キシュウミカンなど種類が多い。

「みかんの花って白いんだ」

 実は見たことがあるが、花は見たことがなかった。
 少し細長い花弁が五枚、黄色いボタンを守るようについている。
 みかんの花言葉は「純粋」「愛らしさ」。
 みかんの木の花言葉は「寛大」「気前の良さ」。
 みかんの実の花言葉は「美しさ」「優しさ」。
「みかんって、花言葉がたくさんあるのね」
 それぞれに花言葉がついた物はいくつものある。
 いくつも花言葉を持つ植物の中でも、薔薇は有名だろう。
 薔薇全般の花言葉は「愛」「美」。
 赤い薔薇の花言葉は「あなたを愛してます」「愛情」「美」「情熱」「熱烈な恋」。
 白い薔薇の花言葉は「純潔」「私はあなたにふさわしい」「深い尊敬」。
 ピンクの薔薇の花言葉は「しとやか」「上品」「感銘」。
 青い薔薇の花言葉は「夢かなう」「不可能」「奇跡」「神の祝福」。
 黄色い薔薇の花言葉は「愛情の薄らぎ」「嫉妬」「友情」。
 赤い薔薇のつぼみの花言葉は「純粋と愛らしさ」「純粋な愛に染まる」。
 白い薔薇のつぼみの花言葉は「恋をするには若すぎる」「少女時代」。
 薔薇のトゲの花言葉は「不幸中の幸い」。
 相手に送る本数や色で、意味がガラリと変わってしまう。だから、渡せばいい、と言うわけではないのだ。
 プロポーズをしているのに、薔薇の本数が13本だったら「永遠の友情」を意味してしまう。男性は要注意だ。

「今日はみかん風呂だな」

 みかんを食べたい数、湯船に浮かべてお風呂の中で食べる。我が家の冬の醍醐味だ。ふやけて白い筋も簡単に取れるし、あったかくなったみかんも我が家では人気だ。

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