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治療の道のり(⑤マインドフルネス編)

発症後の体調の変化や、どんな道のりをたどって治療に取り組んできたかについてのまとめです。今回はマインドフルネスで発作を軽減した話。①内科・心療内科編 ②整体編 ③栄養療法編 ④腸活編 の続きです。

試そうと気になっている方の参考になるかもしれないので、なるべく細かく書いておきます。ただ、日本の現代医学で広く認められている方法ばかりではないことや、個人差があることはご注意ください。あくまでも私の場合についての記録であり、信頼できる方々の助言を頂きながら判断してきたことです。もし何か質問があれば、いつでも聞いて下さいね。

時系列は、腸活に取り組み始めたのとほぼ同時期のお話です。腸活編に引き続き、こちらも現在進行形で試行錯誤中です。


⑨連鎖的に起こる発作を改善したくて、マインドフルネスの本を読む(発症1年後)

過敏性腸症候群(IBS)や月経前症候群(PMS)といった症状が強くなりはじめた頃、誰かにSOSを出すような発作が月数回ペースで起こっていました。段々具合が悪くなる場合は頓服で悪化を防げますが、急な発作では慌てて薬を飲んでも効くまで待つ時間が本当に苦しいです。「発作がいつ起こるか分からない」という不安がある以上外に出る気にもなれないし、一人暮らしである私にとっては発作が何よりも怖い。ということで、少しでも発作を抑えたくて、改善に取り組むことにしました。

発作が起こるとき、引き金となる最初の症状は様々ですが(急な腹痛・下痢・吐き気など)、急に不調が襲ってきた恐怖と苦痛から精神的な由来の症状(震え・動悸・呼吸困難・冷や汗・火照りなど)が連鎖的に起こって重症化してしまうことが多いことに気が付きました(もちろんいきなり精神的症状が襲ってくるタイプの発作もありますが)。

例えば夜中に一人で家にいるときなら「もうみんな寝てるし、誰にも助けてもらえない。薬を飲みたいけど身体が自力で動かない。どうしよう。救急車にだけはお世話にならないように頑張らないと…」と思いながら痛みなどに耐えているうちに、どんどん震えや動悸といった症状が追い打ちをかけてきて、結局自力では対処できないレベルまでに悪化させてしまう、というような感じです。またこの精神的な追い打ちが始まると、私の場合は身体が動かせなくなったりのどが狭くなって薬が飲み込めなくなることが多く、いくら症状を和らげる薬を常備していても太刀打ちできないんですね。

もちろん、引き金となる最初の不調自体を防げればベスト。そのために私は現在も整体・栄養療法・腸活や様々なお薬などで改善を図っています。ですが、せめて最初の不調が来てしまった時に、せめてそれをどんどん連鎖的に悪化させてしまうのを食い止められないかな?と思い、引き続きお世話になっているクリニックで相談しました。先生が最初に提案してくれたのがマインドフルネスや呼吸法でした。正直なところ、「いや~もっと確実な方法じゃなきゃこんなの治らないよ…そんな簡単な話じゃねえよ…」と思ってしまって。(笑)

私の思い込みの一つに「自分を治してくれるのは外部(病院・薬・医者・環境・周囲の人など)、答えは自分の中にはない」という勘違いがあって、先生が仰々しく何かを施してくれるような受け身の姿勢でしか、治療を考えていなかった節があったんです。手術を受けるとか、投薬するとか…病気ってそういう「受け身で治療されるもの」だと思っていたんですね。これは裏を返せば、「○○がこうしてくれれば私は良くなるのに」「○○がああしたせいで私は病気になった」という考え方が私の中にあったということです。実際、発作で苦しむたびに私は「近所に家族がいてくれさえすれば悪化せず済むのに」とか「休日に病院が開いててくれないせいで不安感が募って悪化する」とか、変えられない外部のことを憂いていました。(この話もいつか記事にまとめたいな)

だからマインドフルネスや呼吸法のような「自分でやる」方法には、あまりやる気が出ませんでした。だけど確かに発作時の自分のメンタルをコントロールできれば、連鎖的な不調を食い止められる可能性はあるかぁ…と、何となく頭の片隅にひっかかっていました。そして少し経った頃、通販サイトを物色していた時に、関連商品に出てきたマインドフルネスの本が妙に気になって購入。私は普段何かを買う前に徹底的に評価やレビューを見て、失敗しない確信が持てたら買うような人間なのですが、この時はただ直感に従って買ってみました。

私が出会ったのは、『からだの痛みを和らげるマインドフルネス 充実した生活を取り戻す8週間のプログラム』という本です。著者の一人はイギリスでマインドフルネスのプログラムを提供する組織の設立者であるヴィディヤマラ・パーチ、もう一人は作家・ジャーナリストのダニー・ペンマンという方で、それぞれが大きな事故によって耐えがたい痛みを経験してきています。そして2人ともマインドフルネスで苦しみから解放される道を見出すことができた方々です。この本が信頼に値すると思った理由の1つ目は、彼らが私以上の苦しみを実際に経験した上で克服していること。

そして信頼できた2つ目の理由は、ただ主観的な内容ではなくて、非常に客観的・科学的に説明されていることです。「マインドフルネスはなんか怪しそうだし効果なんて人それぞれでは?」と思っていた左脳的な私でしたが、この本では「なぜマインドフルネスで身体の苦痛が減るのか」を論理的に解明していて、正直めちゃめちゃ感動。科学では説明できないことだと思っていたのですが、メカニズムがしっかり理解できて大いに納得しました。(かなり教科書的な内容もあるので、そういう論拠に興味がない人には逆に少し退屈かも?)

この本はまず苦痛の仕組みやマインドフルネスに関する説明などがあり、その後1週間×8週のプログラムが構成されています。1週間の単元ごとに、取り組むテーマが1つあり、そのテーマに即したマインドフルネス瞑想の種類が1つ設定されていて、さらにその週の「習慣を手放す」方法(空を観察する・やかんのお湯が沸くのを観察する・・・など日常生活に取り入れるもの)が1つ紹介されている形式です。付録のCDを使ってその週の瞑想を毎日行いながら、一週間ごとにテーマをクリアしていき、最後の「本来の自分を生きる」というテーマまで進んでいきます。

私もまだこの本で紹介されたすべての瞑想を自分のものに出来てる訳ではないし、まだまだ瞑想に集中しきれないこともあります。が、私の場合はこの本の序盤で説明されている「一次的苦痛と二次的苦痛」という概念を理解したことで、発作時の連鎖的な不調をどうしたら引き起こさずに済むかが少~しずつ分かってきて、発作が起きた場合も重症化せず落ち着かせることが大分できるようになってきました。

一次的苦痛は、身体に実際に起こる不快な症状。私で言えば、過敏性腸症候群による腹痛とかですね。そして二次的苦痛は、一次的苦痛に関するストレスや不安・心配・落ち込みなどを指します。私たちが実際に感じる痛みや苦しみは、一次的苦痛と二次的苦痛が入り混じったもので、マインドフルネスは特にこの二次的苦痛に対してアプローチしていきます。

「いや、不安とか落ち込みにアプローチするだけかい。身体の不快感が問題なんじゃい。」と最初読んでて思ったのですが、実はこういった不安や落ち込みなどのストレスを感じ続けていると、どんどん痛みや苦しみを敏感に感じるようなモードに、本能的に入ってしまうらしいんですね(ここの科学的な説明すごく面白かった)。二次的苦痛が拡声器のような働きをしてしまうから、ますます一次的苦痛がひどくなっていく。

じゃあこの二次的苦痛を抑えたいよねということで、マインドフルネスの出番になるわけです。不安や心配・落ち込み・絶望…といった感情がどうして沸くのかといえば、それは過去や未来に意識が向いているから。「きっとこのまま死ぬんだ」「この後こうなったらどうしよう」「前はこうなって色んな人に迷惑を掛けた」「いつになったら楽になるんだろう」などと考えているうちに、どんどん不安が増大して苦痛が大きくなってしまいます。だからこそ、マインドフルネスは過去や未来ではなく「いま、ここ」を大事にしていて、呼吸に集中したり瞑想することで「この瞬間」へ意識を向けるようにします。すごーく簡単に言えばそんな感じかな。

今では、発作的に一次的苦痛が起こるとすぐに呼吸だけに集中するようにして、(たとえ出先でも)なるべく自分を瞑想状態に近づけるようにしています。まだ自力で集中するのが難しいので、すぐに付録のCDをかけて指示通りに呼吸するうちに、段々現在だけに集中できるようになる感じ。身体が苦しい時は「いま、ここ」に集中するのも苦しい(だって現在進行形で一次的苦痛に襲われているから。笑)ですが、確かに二次的苦痛を生まないで済ませることができるんです。発作時特有の「どんどん悪くなっていく」感覚がなくて、着実に落ち着いていく感じ。これは私にとって本当に心強くて、たとえ発作が起こっても一人で乗り越えられる!という自信がすごく頼もしいです。


…書き終わった~~~!(笑)私が約2年で経てきた治療のまとめ、一旦これでおしまいです。とっても長かったのに、読んで下さってありがとうございました。今後も治療については書き続けていきたいと思います。

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