見出し画像

037-令和4年マン管試験 適正化法問49の解説

問題

〔問49〕 マンション管理適正化法に定める管理計画の認定に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

1 都道府県知事は、マンション管理適正化推進計画の策定の有無にかかわらず、管理計画の認定をすることができる。

2 管理計画の認定は、10年ごとにその更新を受けなければ、その期間の経過 によって、その効力を失う。

3 管理計画を認定するためには、長期修繕計画の計画期間が 30 年以上であるか、又は長期修繕計画の残存期間内に大規模修繕工事が2回以上含まれるように設定されていることが必要である。

4 管理計画を認定するためには、管理組合が組合員名簿、居住者名簿を備えていることに加え、1年に1回以上は内容の確認を行っていることが必要である。

解答

解説

管理計画認定制度の認定要件に関する問題です。
この問題は、管理計画認定制度の事務ガイドラインから出題されています。
かなり細かな点まで出題されています。
来年以降も認定要件は出題される可能性が大です。
しっかり覚えましょう。

設問1

1 都道府県知事は、マンション管理適正化推進計画の策定の有無にかかわらず、管理計画の認定をすることができる。

管理計画認定制度はマンション適正化法に定められています。

第三章 管理計画の認定等
(管理計画の認定)
第五条の三 管理組合の管理者等は、国土交通省令で定めるところにより、当該管理組合によるマンションの管理に関する計画(以下「管理計画」という。)を作成し、マンション管理適正化推進計画を作成した都道府県等の長(以下「計画作成都道府県知事等」という。)の認定を申請することができる。

適正化法5条

条文から管理計画の認定にはマンション管理適正化推進計画の条例化が必要なことがわかります。

以上のことより、設問の答えは✖です。

設問2

2 管理計画の認定は、10年ごとにその更新を受けなければ、その期間の経過によって、その効力を失う。

認定は5年毎に更新が必要になります。
長期修繕計画のガイドラインの改定により長期修繕計画の見直しについて次のようなコメントがあります。

◆長期修繕計画は、作成時点において、計画期間の推定修繕工事の内容等に関して計画を定めるものであり、本文に掲げる不確定な事項を含んでいますので、5年程度ごとに調査 ・診断を行い、その結果に基づいて見直すことが必要です

長期修繕計画ガイドライン

国土交通省の考え方は、長期修繕計画の見直しのタイミングで管理計画の認定の更新を受けることで適正な修繕計画を行えるマンションを把握しておきたいのでしょう。

適正化法には認定の更新について次のように定めています。

(認定の更新)
第五条の六 第五条の四の認定は、五年ごとにその更新を受けなければ、その期間の経過によって、その効力を失う。
 前三条の規定は、前項の認定の更新について準用する。
 第一項の認定の更新の申請があった場合において、同項の期間(以下この項及び次項において「認定の有効期間」という。)の満了の日までにその申請に対する処分がされないときは、従前の認定は、認定の有効期間の満了後もその処分がされるまでの間は、なおその効力を有する。
 前項の場合において、認定の更新がされたときは、その認定の有効期間は、従前の認定の有効期間の満了の日の翌日から起算するものとする。

以上のことより、設問の答えは✖です。

設問3

3 管理計画を認定するためには、長期修繕計画の計画期間が30年以上であるか、又は長期修繕計画の残存期間内に大規模修繕工事が2回以上含まれるように設定されていることが必要である。

この設問の解説に入る前に管理計画の目的について説明します。
管理計画は適正な管理が行われていることを国が認定する制度ですが、国土交通省が求める適正とは修繕が中心であると言うことです。
以下、適正化法の5条2項に定めてある条文です。

 管理計画には、次に掲げる事項を記載しなければならない。
 当該マンションの修繕その他の管理の方法
 当該マンションの修繕その他の管理に係る資金計画
 当該マンションの管理組合の運営の状況
 その他国土交通省令で定める事項

適正化法5条2項

修繕計画と修繕資金計画に重きが置かれていることがわかります。
このことを十分に理解した上で設問を見てみましょう。

管理計画認定制度の事務ガイドラインにある長期修繕計画の認定要件です。

長期修繕計画の実効性を確保するため、計画期間が30年以上で、かつ、残 存期間内に大規模修繕工事が2回以上含まれるように設定されていること

認定制度事務ガイドライン

設問では「かつ」の部分が「又は」になっています。
以上のことより設問の答えは✖です。

先程も記載しましたが、長期修繕計画の認定要件は国土交通省がもっとも重要視する項目です。
是非、この機会に覚えてしまいましょう。

長期修繕計画に認定要件
1、総会の承認を受けていること
2、7年以内の見直された計画であること
3、積立金計画に一時金の徴収がないこと
4、借入金が計画最終年度に完済されている計画であること
5、計画期間が30年以上、その間に大規模修繕工事が2回以上含まれていること
6、修繕積立金の平均額が著しく低くないこと(基準額あり)

以上の6点が長期修繕計画の認定要件です。
覚え方は「承認、7年、一時金無し、完済、30年、2回の工事、平均額以上」と覚えてください。
恐らく、来年の試験にも出題されます。

設問4

4 管理計画を認定するためには、管理組合が組合員名簿、居住者名簿を備えていることに加え、1年に1回以上は内容の確認を行っていることが必要である。

試験問題を見た時、「ここまで出題するのか」と驚いた問題です。
管理計画認定制度の草案が出来た頃から、認定項目して難易度が高い項目とされていた住民名簿になります。
個人情報の観点から名簿の提出は「やりすぎ」ではないかと言われていました。
結果、認定の項目にはなりましたが、名簿の提出までは必要とせず、組合が「表明保証書」を提出することが義務になりました。

事務ガイドラインには次のように記載されています。

認定要件
管理組合がマンションの区分所有者等への平常時における連絡に加え、災害 等の緊急時に迅速な対応を行うため、 組合員名簿、居住者名簿を備えているとともに、1年に1回以上は内容の確認を行っていること

認定申請時の提出種類
組合員名簿(区分所有者 名簿)及び居住者名簿を備えるとともに、年一回 以上更新していることを確認することができる書類(これらの名簿を備え るとともに、年一回以上 更新していることに関する表明保証書等

管理計画事務ガイドライン

以上のことより、設問の答えはです。
問49の答えは「4」になります。


マンション管理士の試験では適正化法は点数が取れる分野です。
特に管理業務主任者の資格がある人は免除される部分になります。
「どうせ試験にでないなら、覚える必要ないよね」と思われますと思います。
実際自分もそう思っていました。

しかし、マンション管理士になって現在の仕事では適正化法が仕事の50%程度を占めています。
是非、免除されるからと言わずに、一通り目を通しておくべきです。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?