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登-15 物権がなくなることはあるの?

不動産の物権は登記登録をすることで第三者に対抗することを説明しました。また、登記をしなくても第三者に対抗できる場合についても説明しました。

では物権がなくなるとはどのようなことでしょうか。

物権のおさらい

物権は登記によりその権利を公にすることが出来る権利は4つでした。

  • 新しい不動産の登記(表題登記)

  • 新しい不動産の所有権登記(所有権の保存登記)

  • 不動産の権利の変更登記(所有権の移転登記)

  • 不動産の滅失の登記(滅失の登記)

新規に不動産を登録する表題登録、その物権の権利を登録する保存登録、権利を譲渡した際に行う移転登録、物権が滅失した時に行う滅失の登記です。

登記の基本です。
必ず、マスターしてください。

物権が無くなる時とは

不動産の滅失

不動産の建替え、災害、火災によりその存在が無くなった時は物権もなくなります。
このような時は、物件の所有権者は滅失の登記を行います。
*建替えは滅失の登記を行った後に、新しく表題部登録を行います。
増改築はあくまでも延べ床面積の変更になります。この場合は滅失の登記でではなく、増築登記を行います。
増築の登記は建物表題部変更登記のことです。

時効が成立した時

時効の成立は所有権の移転登録を行います。
登記の原則は共同申請ですが、時効の成立で自分の物権を失う側の協力が得られると考えにくく、一般手には時効権利者は処分禁止の仮処分で権利を確定させた後、所有権移転登記手続請求訴訟を起こし裁判の判決を得ます

共同申請の例外は裁判の判決と相続でした。
裁判判決により単独で移転登録が出来ることになります。

物権所有者がその権利を放棄した時

民法の共同所有で学んだと思いますが、物権を放棄した時、所有者の物権は消失します。
「これ要らない」と意思表示をすると物権はなくなると覚えておきましょう。
単独所有であれば、欲しい人が登記移転登録を行うことで第三者に対抗する権利を得ます。(共同申請から放棄をした人の同意は必要になります。)
共同所有であれば、他の所有者が物権を譲渡されることになります。

公用徴収(収用)された時

不動産(主に土地)は時に国や公共団体が特定の公益事業の用に供するために、特定の財産権を強制的に取得されることがあります。
このような時も不動産の物権は譲渡されなくなります。
ただし、無償で国や自治体に取られるわけではありません。
金銭的な補充はされます。

混同による物権の消失

不動産の混同は、1つの不動産に所有権とその他の権利が設定された時に起きます。
1、賃貸借権と所有権
2、地上権と所有権

建物を借りていた人がその物権を購入した時、賃貸借権は無意味になります。
同様に地上権を持っていた人が土地の所有者から土地を購入した場合は、地上権は無意味になります。

このような場合を混同、あるいは物権の混同と言います。
(これ以外にも債権の混同もありますが、考え方は同じです)

混同の注意点
混同で注意することは、混同により消える権利が第三者に影響する場合は混同はできません。

先程の例でBが所有権と地上権の両方を所有することは不合理ですが、地上権に抵当権が設定されていた場合、混同による地上権の消失が起きるとCの抵当権は不利益を被ることになります。
このような場合は混同は発生しません。

以上が物権がなくなるケースについての説明です。

特に混同は重要です。
各権利の帰属が誰なのかを考えれば、混同が生じるかどうかはわかります。
その時に第三者に不利益を与える場合は、混同は発生しないと覚えるとわかると思います。

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