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#39-防火と耐火って何が違うの?(2)

前回は防火と耐火の違いについて、耐火構造、耐火性能(不燃物の性能)について説明しました。
今回は防火性能です。


防火性能とは

防火は延焼を発生させないための構造(設備)です。
延焼の発生は建物の内部の火災が他の家に燃え移ることです。
耐火構造であれば、家の中に炎を閉じ込めることが出来ますが、隙間があれば炎は表にでます。
そのため、防火性能は開口部と外壁(外側)の性能になります。
*木造の場合、屋根と壁の間には隙間(軒下、軒裏)があります。そのため屋根と壁が一体になっていない建物では隙間も防火性能に含みます。

周囲からの延焼についての性能

周囲で発生した火災の延焼を受けないため、外壁(軒裏)に防火性のある材料を使用しすることが求めれます。
その性能は、30分間の加熱でも支障のある変形や破壊を生じることがなく、またその素材の裏面が出火に至る危険温度とならないことが要件となります。
30分とは消防が駆け付け、外壁の放水を始める時間としては十分な時間と言えます。

延焼は30分の遮熱性と覚えます。

周囲との距離と防火設備

建物の距離によって延焼の起きやすさは異なることは感覚的には理解できるはずです。
隣の建物と30cmの距離と10mの距離では当然、10mの方が延焼は発生しにくいと言えます。
建築基準法では、距離と延焼の関係を2つ定義しています。
道路に面した部分の距離と隣地に面した部分の距離です。

道路との距離

道路に面した建物の面の延焼ラインは道路の中心線から1階部で3m、2階部分以上で5mです。
1階より2階の方が延焼の可能性が高いと言うことです。

隣地との距離

隣地も基本的には同じです。
隣地境界線から1階部で3m、2階部分以上で5mです。

覚えることは延焼ラインは基準線から1階で3m、2階以上で5m。
隣地の基準線は隣地境界線、道路の境界線は道路の中心です。

では、延焼ラインの範囲にある場合、防火をどのようにするかが重要になります。
マンションの場合、多くは壁は不燃性のコンクリートやタイルです。
30分の遮熱性はあります。
とすると火が建物内部に入り込む場所は・・・開口部になります。

外壁の開口部について

外壁にある開口部と言えば玄関、通用口、通気口(排気口)、窓などを思い出しますよね。
そこに防火性を持たせる必要があり、これが防火設備になります。

玄関は大きな開口部ですが、ガラス等で仕切られています。
マンションの規模にもよりますが、玄関に防火シャッターや防火扉が設置することで防火性を高めます。

防火扉の特徴は鉄で重い。
マンションで・・重い扉と思ったら大体、防火扉です。

次に窓があります。
窓にもガラス(サッシ)がはめ込まれています。
防火性能を持たせるために網入りガラスや防火ガラスを設置するのが一般的です。(網入りガラスは防犯ではありません。覚えていますよね)

これ以外の開口部は通気口、換気口、排気口があります。
マンションの外壁におわん型の金属がたくさん設置されているマンションをみたことがあるはずです。(がらり・・と言います)
あれひとつひとつが防火設備になります。

また、ダクトがある排気口には防火ダンパーが設置されています。
このようにマンションの開口部にはそれぞれの役目にあった防火設備が設置され延焼を受けない構造になっています。

ところで、耐火構造にも延焼を発生させない性能は必要でしたね。

外壁の開口部は外部の炎を防ぐだけでなく、内部で発生した火災の炎を外に出さない役目も担っています。
耐火の基本は避難、消火までの倒壊の防止、防火の基本は火を取込まない、表に出さない性能であると覚えてください。

もうひとつ重要なことがあります。
耐火構造には用いる材料に遮炎性が求められることです。
内部の火災は開口部を塞ぐことで外部に炎を出しませんが、もし耐火構造の材料が変形、破損により隙間ができたらその間から炎が表に出ます。
そこで、耐火性には屋外に炎を出すほどの損傷を生じない性能が求められます。これは不燃性、準不燃性、難燃性とは別な性能です。耐火構造では最長1時間の火炎に耐えることが条件とされています。

防火と耐火の違い、それぞれに求められる性能が理解出来たら、次は防火地域と耐火地域について理解しましょう。

都市部は住宅が密集しています。
先程の隣地境界線と延焼の関係から考えると都市部はすべてが延焼の可能性があることわかると思います。
そこで、住宅が密集する地域では建築物に対して耐火構造、防火構造で建築物を建築する義務を定めています。

次回は防火地域と耐火地域についてです。

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