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010-駐車場利用者へ管理費の加算は可能か

問題

機械駐車場を所有するマンションで、駐車場の利用機会を理由として管理費に差を付ける定めを規約にさだめることはできるか?

前回の問題で昇降機の利用機会の違いで管理費に差を付けることはできるかを説明しました。
これに影響されたのでしょうね。
今回はできると解答した方が多かったようです。

解答

できない

解説

ではなぜ出来ないのでしょうか。

管理規約

昇降機の場合は電気代の違いを基に管理費に差をつけることはできるとしました。
同じ共有所有である駐車場ではなぜできないか。
それは標準管理規約に定められているためです。

(駐車場の使用)
第15条 管理組合は、別添の図に示す駐車場について、特定の区分所有者 に駐車場使用契約により使用させることができる。
2 前項により駐車場を使用している者は、別に定めるところにより、管理 組合に駐車場使用料を納入しなければならない
3 区分所有者がその所有する専有部分を、他の区分所有者又は第三者に譲 渡又は貸与したときは、その区分所有者の駐車場使用契約は効力を失う。

標準管理規約

駐車場は機械駐車場、自走式駐車場に関わらず管理規約に定められています。

駐車場はマンションの資産

駐車場の需要が少なくなったと言え駐車場があるマンションは区分所有者にとって資産です。
昇降機と同じようにマンションに付加価値になります。

そのため、利用するしない関わらず、マンション所有者が全員で資産の保持のために修繕積立金を支払います。

これとは別に、規約に定めることで利用者からは使用料の徴収を義務付けています。
使用料には日常の管理上必要な修繕費も含まれ、利用することで一部を負担する額が含まれています。

その上、期毎に使用料は修繕積立金として積立てられます。

以上の理由から利用機会を理由に管理費に差を付ける定めはできないが正解になります。

駐車場以外にに管理規約では一階に面する庭についても使用料の徴収を義務にしています。

また独自に屋上テラスやサービスバルコニーなどについても使用料の徴収を定めている場合があります。

(バルコニー等の専用使用権)
第14条 区分所有者は、別表第4に掲げるバルコニー、玄関扉、窓枠、窓 ガラス、一階に面する庭及び屋上テラス(以下この条、第21条第1項及 び別表第4において「バルコニー等」という。)について、同表に掲げる とおり、専用使用権を有することを承認する。
一階に面する庭について専用使用権を有している者は、別に定めるとこ ろにより、管理組合に専用使用料を納入しなければならない。
3 区分所有者から専有部分の貸与を受けた者は、その区分所有者が専用使 用権を有しているバルコニー等を使用することができる。

標準管理規約

もし管理規約に定めが無ければ

駐車場の使用料について管理規約に定めが無ければ管理費に差を付けることは可能だと思います。
*その意味では問題文の説明不足と言われても仕方がありませんね。

同様に、管理規約に使用料を定めていない施設で専用使用権が認められて施設については利用者の管理費を高くすることは可能です。

管理規約は指針です。
法律、公序良俗に違反しなければ管理組合が自由に設定することができます。
ただし、規約に使用料を定めている以上、それ以外に使用者の不利益になるような定めはできないと覚えてください。




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