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Eagle's Eye 第3節 vs福岡 プレビュー

 第2節の西宮戦を連勝し、通算成績を3勝1敗としたFE名古屋。次節は、ライジングゼファー福岡とホームで対戦します。
 詳しくは後述しますが、福岡はB2では他に見ないような特徴的なバスケットをするチームです。一筋縄ではいかない、どころか、相手の術中にハマってしまうと大敗もありえると思います。そんな福岡との対戦について、見どころをまとめてみました。
(選手名は敬称略で記載します)

ライジングゼファー福岡について

<昨季の成績>
12勝35敗(勝率25.5%)
B2西地区6位(全体17位)

<オフの動き>
 今季の福岡ほど、昨季の成績があてにならないチームはないでしょう。というのも、福岡はこのオフシーズンにほぼ全ての選手を入れ替えました。昨季から残ったのは、加納督大と平良彰吾の2名のみ。チーム名こそ同じであるものの、その中身は丸ごと入れ替わったといっても過言ではありません。
 新たに加入したのは、昨季のB2において各チームの主力として活躍していた選手たち。昨季の所属チームでスターターとして出場した試合数(GS)を見れば、どの選手も確かな実力を持った選手であることが伺えます。また、選手の入れ替えによって若返りに成功したことも、ペップHCが目指す激しいディフェンスを実現するにはプラスに働くと思います。

<チームのスタイル>
 ペップHCが率いるチームのスタイルは、以前に秋田を率いていたときと大きく変わりません。オフェンスからディフェンスへの切り替えをとにかく早くして、外国籍選手まで含めてオールコートでプレッシャーをかけるバスケットです。ギリギリまで身体をぶつけながら両手でボールを追い回し、相手のターンオーバーを誘います。まだ4試合が経過しただけですが、1試合平均のスティール数は11.8本でB2トップ。第2節でこの福岡と対戦した佐賀が同率1位、第1節で対戦した奈良が9.5本で3位となっていますが、それらを除くと第4位の福島が8.5本ですので、ダントツといってもよいでしょう。「Pace」と呼ばれる攻守の切り替えの早さを示す指標でも福岡はB2トップ(89.1)となっています。ちなみにまたも2位は佐賀で3位は奈良。
 その反動で、福岡は自分たちのターンオーバーやファウルが多いチームでもあります。ターンオーバーは1試合平均20.5本でB2最下位。ファウルもB2最下位で、1試合平均34.5回は、FE名古屋の17.8回(第5位)の約2倍。ここまでの4試合の全てで2人以上の退場者を出していることからも、この戦略が諸刃の剣であることがよくわかるかと思います。

<福岡の前節のハイライト>

・第1戦

・第2戦

注目点① ボール運び

 ペップバスケを攻略する上での最初の関門は、ミスなくボールをフロントコートに運べるかです。FE名古屋の場合、昨季の前半はボール運びでミスが目立つシーンがありましたが、昨季途中からは外国籍選手を経由してボール運びを行うスタイルを採用してミスを減らしてきました。ただし、これでミスが減った要因のひとつには、相手の外国籍選手がそれほど積極的にバックコートまで追いかけてこないことがあったと思います。一方、福岡は外国籍選手まで含めて全員がオールコートでプレッシャーをかけてくるので、外国籍選手を経由してボールを運ぶといっても簡単にはやらせてくれないでしょう。横江、杉本、松山といったガード陣がミスなくボールを運べるかにまずは注目したいと思います。
 また、佐賀との試合を見ていると、全員がバックコートからプレッシャーをかける意識を強く持ちすぎていることで、先にフロントコートへ向かって走り出した選手をフリーにしてしまう場面もありました。この辺りは、FE名古屋でいえばシェリフが得意なプレーですので、それにも期待したいですね。

注目点② ピック&ロールのディフェンスへの対応

 福岡は、ボール運びの場面だけでなくハーフコートディフェンスでも激しくプレッシャーをかけてきます。その一例がピック&ロールに対するディフェンスで、スクリナー(スクリーンをかける選手)のディフェンスがダブルチーム(ボールを持っている選手に2人がかりでプレッシャーをかけるプレー)を仕掛けてくることも多いです。FE名古屋としては、ここで潰されてターンオーバーをしてしまわないようにしなければなりません。
 そのためには、ボールを持っている選手(ハンドラー)のスキルももちろんですが、スクリナーの判断力も求められると思います。例えば、スクリーンをかける振りをしてスリップする(スクリーンをやめてゴールに向かって走る)のも1つの選択肢でしょう。もしスクリナーのディフェンスがハンドラーにダブルチームを仕掛けようとしていたら、スリップすることによってフリーでゴール下に走り込むことができるため、そこにパスを出すことで得点の機会を得ることができます。
 逆に、スクリナーのディフェンスが遅れているのであれば、スリップするのではなくしっかりとスクリーンをかける方が効果的な場合もあります。そうすれば、ハンドラーのディフェンスを無力化することができ、ハンドラーにプレッシャーがかかっていない状態で2対1の状況を生み出せるかもしれません。
 なお、スリップについては先程のハイライトの中に参考になりそうな場面がありましたので、紹介しておきます(0:57〜)。

 このプレーでは、スクリナーの中西のディフェンスであるマドゥアバムがダブルチームを仕掛けるタイミングが早すぎたため、スリップした中西が完全にフリーでボールを受けることができました。FE名古屋も、こういう場面を作れると試合を優位に進めることができると思います。

注目点③ 控え選手の使いどころ

 福岡は、一試合通じて激しいディフェンスをし続けるために、ベンチ入りしている選手をフル活用して戦っています。ベンチ入りする12人中10人が平均10分以上出場し、一番出場時間が短い平良でも7.7分出場しています。その結果、一番長く出場しているパーマーでも出場時間を27.0分に抑えることができています。
 一方のFE名古屋は、平均10分以上出場している選手は杉本、横江、鹿野、松山、シェリフ、ティルマン、フィッツジェラルド、ウォルドーの8人のみ。出場時間が7分以下の選手が5人もおり、もっとも出場時間が長い杉本は32.8分出場しています。この32.8分という時間が許容できないほど長いかといわれるとそこまでではないかもしれませんが、その間、福岡の激しいプレッシャーを受け続けると考えると、どうしても試合の終盤には疲労の色が見えてくるのではないかと思います。
 もちろん、試合に勝利することが最大の目標ではあるので、疲れていてもその選手を出し続けるべきときもあるかもしれませんが、試合展開を見ながら休ませられるときは思い切って休ませるなど、バランスの難しい舵取りがコーチ陣には求められそうです。

まとめ

 ディフェンスのプレッシャーの話ばかりになってしまいましたが、福岡戦の個人的な注目ポイントは以上です。ペップHCの下、チーム一丸となって闘志あふれるバスケをしてくるであろう福岡に対して、こちらもチーム一丸となって戦いたいですね。
 なお、最後になりましたが、今節の個人的注目選手としてソウ・シェリフ鹿野洵生を挙げておきます。シェリフには、特に攻守の切り替え(トランジション)の場面での活躍を期待しています。また、鹿野には福岡の激しいプレッシャーをあざ笑うかのようなバックカットや、ダブルチームを受けたハンドラーがパスを出せる位置に顔を出してビッグマンへのパスを中継する渋いプレーに期待したいです。

おまけ

 Nacky先生もプレビュー記事を書いてくれているので、未読の方はそちらもどうぞ!お互いの注目ポイントに大きなズレはなさそうで良かったです(それだけペップHCのバスケはわかりやすく特徴的)。

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