白い箱

触れると壊れてしまいそうなので、箱に収めてしまいこんだ。誰にも見せない宝物はいつも美しくて、いつだって触れると壊れてしまいそうだった。尖ったものを刺せば破裂する薄い膜のように、精巧で繊細なガラス細工のよう、あるいは蛹のように。そんなふうに壊れてしまいそうだった。私はいつも壊すので、だから大切にしたくて、しまい込んだ。一つくらい綺麗な思い出があっても許される気がした。

もう綺麗な思い出でいっぱいになってしまった。壊したくないものを壊してしまうなんて、本当に悲しいことだ。

ただ祈るしかないような真っ暗な夜に、足元を照らすような月や星があれば、迷わずにまっすぐ歩いていけるのだろうか。ずっと昔におのれが問うた声が今ここに響いている。

愚かな私は目をつむって微笑みながら細い糸の上をたどる。
この先のことはほとんど決まっている。

だから、もっと、          。