進む勇気
氷上に立っている
昔は何の躊躇もなく
無心で滑っていた
そのことを思い出すと
少し悔しくて情けない気持ちになる
私のそれよりもずっと薄い刃で氷上に立ち
両手を繋いで滑り方を教えてくれた
手を繋がなくても滑れるようになった
鬼ごっこのように追いかけ合ったり
本気で競争して何周も離されたり
そのうち一人で滑るようになった
転んで泣くと心配そうな顔で
だけど笑い飛ばしてくれて
転んでも大丈夫なんだと
自分で立ち上がってまた滑り出すようになった
上手に滑ることができたり
楽しくて嬉しくて
振り返ると嬉しそうに笑っている顔があった
その顔が見ると嬉しくて
滑ることに夢中になった
一人で滑っている真剣な横顔を見て
自分もそういうものになりたいと思ったんだ
真剣に生きるものになりたかった
ずっとわからなくてごめんなさい
だけどもうわかった
あの時間の中に溢れていた愛
ただ氷を踏みしめて
まっすぐ滑り出す