業の秘剣 第七片 青い鳥

第一章


(あっ、あつい…苦しい…焼かれる…


手が、いくつもの手が迫ってくる。この心臓を求めているのか?


な、なんだ?胸が引き裂かれる。


火!?火だ!日が近づいてくる。逃げなくては…逃げなくては…


駄目だ。脚を掴まれた。


このまま、火と心臓、火と心臓、手、手、手…)


「はっ…!」


青年ルイはハンモックの上で芽を覚ました。身体中から汗が吹き出している。


(夢か…)


――ドスン――


ルイは地面に落下した。

痛みを感じつつ上体を起こし、目を開けると今度は心臓が止まりそうになった。


(うあっ!!!何だこれは?)


そこには顔があった。ルイが後ずさると顔はよりくっきりとしてきた。


(顔じゃない…?鳥?)


大きなオウムのような青い鳥がハンモックの下の台に脚を乗せてルイをじっと見つめていた。


(気味が悪いな…脅かしてやろう。)


ルイは左手を振りかぶって握り拳にし、青い鳥に向って殴る素振りをして威嚇しようとした。


(待て!)


ルイは驚いて動きを止めた。


(なんだ?変だな?)


(つまらない話でもどうかね?)


(えっ?)


(誰か近くにいるのか!?)


(こっちを見ろ!この青い鳥だ!)


(なんだって!?)


(頭の中がぐちゃぐちゃする…)


(そのとおり…私はお前の心に直前語りかけている。よろしくなルイ。私のことはライズと呼んでくれ。)


(気味が悪い…悪過ぎる…止めろ…


止めろ!


俺の頭から出ていけ!)


ルイは頭を両手で覆いつつ、青い鳥の乗っている台を蹴り倒そうとした。


――ギィイイイイイイ――


しかし頭に突如不快なノイズが押し寄せ、勢いを失い、尻もちを着いて転倒した。

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