業の秘剣 第二片 死刑執行

太陽と砂の国へと帰還した将軍キケウスは凛々しい鉄の剣、鉄剣に思いをはしていた。

摩訶不思議な力を使って太陽と砂の国への侵略を繰り返してきた鉄仮面の軍将の事だ、この鉄剣にも何かの秘密があるのかもしれない。それにこの鉄剣からは何か魔力のようなものも感じる。

キケウスは軍官であるとともに貴族だ。屋敷には多くの奴隷たちを従えている。その中でも高級奴隷たちを一度密室に呼んでみた。

キケウスが奴隷たちに尋ねる。

「どうだ?この鉄剣から何か力を感じぬか?」

高級奴隷たちが答える。

「遠くでみているだけでは何も感じませぬ。」

キケウスが言う。

「そうか、それではこれではどうだ?」

キケウスは鉄剣を鞘からだし、刃先を喉元に向けてみた。すると、高級奴隷が答えた。

「何か剣先から引き寄せられる力を感じます。それも心臓を狙われるような。」

キケウスは嬉しそうに話した。

「私からも感じるぞ、この鉄剣がお主の心臓を求めている事を…きっとこの鉄剣は心臓に反応するのだな。それははっきりわかった。しかし、この鉄剣を心臓に一突きしたらどうなるのか?その答えを知るのはまだ早いか。」

キケウスはふっと考える。そして再び口を開く。

「今度、我が国の王家の罪人が死刑になるはずだ。その死刑執行に加わらせてもらおうじゃないか。死刑執行、死刑執行とはいえ、殺す事が目的ではない。首を釣らせたり、槍を幾千も突いたりして、耐えれば無罪、まあようするに常人なら死ぬはずの残虐な刑を受けさせる事がそもそもの目的だ。このなにや力を秘めてそうな鉄剣、この鉄剣を心臓に刺したら果たしたらどうなるかな?何が起こるか皆目見当は付かないが、生えある王族の死刑執行でこの剣の秘めた力を試そうじゃないか?」

キケウスは微笑して高級奴隷に命じる。

「この事はここだけの話にしておくれよ。私に一つ楽しみが増えたのでね。」

キケウスは高級奴隷に去れと命じ、自らも部屋を後にした。

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