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I was there

Tele-(or not tele-)port

飲み物とヘッドホンを入れた普段より軽いリュックサックに、期待と恐怖とほんのちょびっとの罪悪感を詰め込んで、石橋阪大前駅14時11分発の普通大阪梅田行に飛び乗った。ミッフィー列車だった。
終点の大阪梅田駅に着いた時、ドアが開くまでのあの感じは、ちょうどウマ娘がスターティングゲートが開くのを待っているのと同じだと思う。

阪急梅田の3階改札は横一列に並んだ自動改札の数が日本で一番多い場所らしいが、今回の経路はそっちじゃない。二階改札へ続く階段を駆け下り、成城石井の前を駆け抜け……たい気持ちを抑えて歩いた。時間に余裕はたくさんある。

前に青い羽根と四つ星の描かれた鞄を見かけて心が躍る。

大阪駅の構造ってわかりにくいですよね。いや、内部に入ってしまえば簡単なんですけど、改札の場所がわからずさまよってました。え、そんなことない?ごめんなさい……

環状線に飛び乗って5駅通過した後、反対方向に乗ってしまったことに気が付き引き返した。別に一周回ってもよかったけど……
西九条で両扉を開いて待ち構えていた電車に乗り換える。スーツケースを抱えた人、デートに向かうカップル、ねぎの入った買い物袋を持った人。

目的地の最寄りはJRゆめ咲線(桜島線)終着駅・桜島駅。ちょうどユニバーサルシティ駅の一つ向こう側に当たる。多くの人がユニバーサルシティ駅で降りると、残ったのはPathfinderのジャケットを着た人や、Acaciaのトレーナーを着た人、はたまた私みたいななないろの色のパーカーを着た人。

別々の場所から同じ場所へ向かって、私たちは集まってきた。

Orbit, Satellite, and Planet

桜島駅には改札が1か所しかない。その真正面には大阪湾が見える。といっても、様々なものが邪魔で見えないけど。
出てすぐの場所にある信号を渡って、さっき来た(北)方向へしばらく歩く。セブンイレブンを通り過ぎて、ローソンがある交差点に差し掛かった時、人の列が見え始めた。

グッズ販売待機列。

LINEの画面に表示された996番の文字。ただ自分の番号が呼ばれるまでひたすら待った。暇。まあしょうがないよね。
2,30分のちに、「1000番までの方!前のほうへお進みください!」というアナウンス。

数分後、私の手に抱えられていたのは!

  • サイドバッグ

  • Auroraのトレーナー

  • SouvenirのTシャツ

  • ニコルのアクリルスタンド

  • Silver Jubileeのタオル

  • ラバーキーホルダー

  • グッドラック(通常盤)

  • Acacia/Gravity(アカシア盤)

お金が……お金が……
ライブTというものは初めて購入したので、この後、すぐに着ちゃいました。
じつはこれで当時入手可能だった全てのCDを揃えました。ほくほくですね。もったいぶってBURA-BURA GIRLを聴いたのはだいぶ後になりましたが。

いっぱい買ってホクホクしながら(ほくほく)、ローソンの脇を抜けて、JRの線路の上の公園に上りました。柵の向こう側で少しだけ頭を出すUSJのクリスマスツリーと、アトラクションの看板の裏側。そういえば友人がここで働いてるって言ってたな。

The Most Longer Three Hours in the World

お楽しみは、これからだ。
とはいえ、まだ15時過ぎ。開場の18時まであと3時間ある。なにしよう……?

付近を散策した。特に意味もなく桜島駅の写真を数枚とり、適当に散歩していたら駐車場に迷い込んだのでやめた。
特にすることもなかったので、グッズの写真を撮って、後は歌ってた。

私は人生のほとんど(言いすぎか?)の期間をBUMPを聴いて育ったので、というか単にお金がなくほかのアーティストはほとんど追っていないこと、Youtubeであまり音楽を聴かないことも相まって、スマホにはBUMPの曲が(正確には当時発表されていた曲のうち、BURA-BURA GIRLを除く)すべて入っていた。シャッフル再生で流れてきたいくつかの曲を藤君と一緒に歌う。なんでもない日常で、でもとても幸せな時間。

11月の西日を眺めながら、期待と不安と、今まで経験したことのない高揚感を鞄に詰めて、近くのセブンイレブンに足を運んだ。
ゆで卵と600円くらいの高級?コンビニ麺を買う。近くで食べる。
秋になると暗くなるのが早くなりますよね、夏だったらこんなに明るいのに……(注:この部分は2023年7月に書いています)

ゆで卵の殻をむいているときって、何も考えず、ただ「殻をむく」ことだけに集中できて結構好きなんですよね。

大阪湾の向こう側で赤く燃える空を見送って、さっき見たような列にまた並ぶ。そういえばこっちに越してきて「海」には近くなったはずなのに、あまり「海」を感じたことがないな。海水浴に行きたい。泳げないけど。

光るものは暗くなると映えるので、撮影スポットのきらきらしたエンブレム(の翼の部分)はきらきらしてました。

人が多い。よくわからないがそれっぽい場所にいておこう。

B-Rブロック 79番

多分前のほう。いい席だといいな。

後から分かったのですが、この時点で荷物って最小限になっているべきだったんですね(ライブハウス初心者だったので許してください)。

特に意味もなくTwitterでつぶやく。なんかだんだん不安が大きくなってきた。ちゃんと楽しめるかな、マナー違反の厄介オタクみたくなってたりしないかな。というかライブ初参戦で一人なのは結構怖い。藤君コロナだったらしいけど本当に大丈夫かな……

そうこうしているうちに私(とその前後の人)が呼ばれるターンに。

席の奪い合い。

おいそこの空席に鞄置いてんじゃねぇ!

とまではなりませんでしたが、ドリンク第500円をあらかじめ納めたりして、なるべく早く入場できる?ように頑張ってたのも事実です。どれくらい意味があったかはわかりませんが……

入場。

目の前にある巨大なBUMPのエンブレム。こっちにはちゃんと盾形もある。

結構前のほう、じゃなくてかなり前でした。

YOUR

ライブハウス内は人が多いことも手伝って、電波の入りはとても悪かったです。Twitterしようにも重たい。

隣の人にちょっと話しかけてみました。社会人の方でした。社会人になってもこんな風に現地参戦したいな。

Twitterが今の私の気持ちを共有するためのツールなら、Twitterに共有しないこの私の気持ちは、少なくとも今だけは私だけのもの。

スピーカーが近いので、楽器のサウンドテスト(?)の音にびっくりしていました。もともと大きな音は苦手なので……でもまあ良くも悪くも、この後流れる音の大きさを予期できたのでよかったです。

後から知ったのですが、ライブ用の耳栓というものがあるんですね。高いですが……

私は洋楽に疎いので誰のどういう曲が流れているのかはよくわかりませんでしたが、ずっと流れていたので、ライブってこういうものなんだなって思いました。

19時を回り、スタッフさんのアナウンスが入り、「開演までしばらく待つ」。

バックで流れていた洋楽がフェードアウトしていく。

ああ、ついに。

The Most Shortest Two Hours in the World

聴こえてきたのはアカシアのイントロ部分。徐々に出てくるメンバー。掲げられるギター。何度も見た。何度も夢見た。何度も聴いた。生まれて初めて見た。一番最初に見た夢のような現実。そして今ここで生まれる、私たちだけの、私だけの、彼らだけの、まだ聞いたことのない音楽。

BUMP OF CHICKEN ライブハウスツアー「Silver jubilee」2022.11.14 Zepp Osaka Bayside Day 1が始まった。

曲のセトリやMCの内容はほかの方々もいっぱい書いているし、そちらを見てもらえればいいと思うが、セトリくらいは書いておくか。

01. アカシア
02. グロリアスレボリューション
03. 天体観測
04. なないろ
05. 宝石になった日
06. Small world
07. (please) forgive
08. クロノスタシス
09. ハルジオン
10. SOUVENIR
11. 話がしたいよ
12. カルマ
13. Aurora
14. ray
(アンコール)
15. スノースマイル
16. ダイヤモンド

2曲目にグロリアスレボリューションがいきなり飛んできたのはかなり驚いた。アカシアや天体観測、rayでいつものように藤くんが空けてくれていた「私たちのパート」に鳴り響いた無音が、何よりもうれしくて何よりもつらかった。

SOUVENIRで鳴り響くクラップ音。

即興で演奏された「藤くんが鼻をかむテーマ」は、あの場にいた私たちだけのものです。でも自分たちのためだけにしておくのはちょっともったいないのでCD化してほしい気持ちもあり。

観客席の光の海の中で、彼らにはどう見えているのか少しだけ気になった。
青く伸びる光線。友人。流れ星。屈折。地雷原。雨。世界。飛行機。町。花。夕焼け。記憶。運命。意志。光。雪。血。そして私たち。

手拍子を煽るチャマも、要領を得ているのかいないのかよくわからないMCをするヒロも、アンコールの時にみんなから紹介される升くんも、なんであの細い体からあんなに力強い声が出せるのかわからない藤くんも、

画面の中の小さな人影じゃなくて、眼前十数メートルにいる、大きな夢と意思を持った日本を代表するロックバンド、BUMP OF CHICKENでした。

rayで泣きそうになってしまいました。実際ちょっと泣いてたかも。
生きるのは最高だ……たとえどんなに辛くても、少なくとも今だけは「生きるのは最高だ」。

アンコール。

思い出の中でも降らなかった雪が、この狭い箱の中で、確かに降り積もっていくのを感じました。そう思ったんだ。

音楽の力って存在すると思っていて、まあ音楽に限らず芸術一般に存在すると思っているんですが、「雪」を降らせることさえできるのは本当にすごいなと思います。

ガラスのブルースは生で一回聴いてみたいと思っていたのですが、でも「観客が一緒に歌う」ガラスのブルースも見たかったという気持ちもあり、

コロナ許せない

「一つだけ 一つだけ その腕でぎゅっと抱えて離すな
世の中に一つだけ かけがえのない生きている自分」
彼らにそういわれると、なんだか妙に説得力というか、いやまだちょっと納得できてない部分があったりはするんですけど、でも「そうなんだろうな」という気持ちになります。不思議ですね……

そして別れ際にも体調を心配してくれる藤くん。いやあなただってコロナにかかってたでしょう……って自分で突っ込んじゃうのそれ……でもうれしかった。

また会えるよねって思ったから、また会いに来るよって思った。また会いに来たいと思った。また会ってほしいなって思った。

MY

写真を撮って規制退場の後、タオルをなくしてスタッフさんのお世話になったのはまた別の話です。ご迷惑をおかけしてごめんなさい。

ちょっと「出待ち」してみたい気分になったけど、頑張って踏みとどまった。迷惑だし。でもしてもよかったなら全然する。会いたいもん。

もういい加減人もまばらになった22時の道を歩いて、桜島駅へ向かう。当然当駅発の電車に乗って、また日常へ近づいていく。

You were hereってちょうど今の私の唄なんだ。ちょうど今の私の唄だし、ちょうど今の彼らの唄なんだ。

全て越えて会いに行くよ。また。


あのとき、藤くんは「またここに帰ってきて」って言った。

じゃあ、この駅の改札を通って戻ってきた日常に向けて、あの会場に向けて、あるいは私自身に向けて。

「行ってきます。」





















23:00

実はこれは大学の講義を途中で抜けて(出席だけ書きました)、部室に荷物を置いていったのですが、その荷物を回収しに行ったときに。

(……あれ?なんか電気がついてないのに鍵が開いてるな……?)←当時は扉の外に南京錠で施錠していたため鍵が開いているかがすぐにわかる
(まあ、入るか、ガチャ……ん?)

???「!!!!まって誰かいるんだけど~~!??!?」


先輩がホラーゲームの実況(の収録)をしてました。なんか驚かせちゃった。(まあほかの人たちも電話をかけたりしてたらしいし、いいよね♪)

ほうき星

PixMobは、今も私のカバンの中に入っています。このあとbe thereに2回参戦したのですが、その時のものと一緒に。これ、カラオケで振るとライブごっこができて楽しい。

BUMPのライブに行くのは私の(当時)6年来の夢だったわけですが、どういうわけか一度行くともっと行きたくなってしまうみたいです、ライブって恐ろしいですね。

大丈夫だ、この光の始まりには君がいる。だからこの光を追っていけばいつかまた君に会えるよね。

余談ですが、このNote、書きかけで8か月くらい放置してました。でもタイトルは割と最初から「I was there」としていて、次のツアーが「be there」に決まった時に、勝手にシンパシーを感じてました。


僕らはそこにいた。 君たちもずっとここにいた。 ずっとここにいる。

ここにいるまま、ちょっとずつでも前に進むんだ。

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