凡人のカフェ開業 ~天才のカフェ経営を真似てはいけない~ 開業前①-1

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開業前①-1

2015/3/27 Fri

『紗季さんがここに来るのも今日が最後なんですねー』

コーヒーサーバーからカップに直接注ぎながら『加賀 彩』は話し出す

『あれ?あたしコーヒーお替りなんて言ってないけど』

『餞別ですよ、餞別。あー寂しいー』


麻布十番4番出口を出て商店街抜けていき
『きみちゃん像』先の十字路を左に曲がって1分ほど
淡いグレーのビルの4階に
紗季が4年お世話になった『ASAmeshi』のオフィスがある。

『ASAmeshi』とは
『朝7:30のシンデレラ』をコンセプトにした
働く若い女性向けの外食専門の朝ごはんサポートサービスだ。

家で朝ごはんをとることができないことを前提に
東京を中心に神奈川・千葉・埼玉で
朝ごはんをとることができるお店の紹介や
各店舗のMAPでまとめたりしている。

『朝7:30のシンデレラ』のコンセプトの通り
『そこで朝ごはんを食べるとテンションがあがる』
ところしか紹介しない。

朝早くからやっているベーカリーショップや
シアトル系コーヒーチェーンのアッパーブランド
と言った定番時短系朝ごはんはもちろん
東京駅地下立食い蕎麦 嵯峨山の朝のセット
『山菜ゆずそばかしわ飯付き』といった
なかなか女性が入りにくいけど、行きたそうなお店を紹介したり
朝ごはんをしながらのミーティングに使えるシティホテルのラウンジをまとめたりしている。

なので、キャリア志向の女性はもちろん
最近は同じようなキャリア志向の男性の利用者も増加しており
その集めたリストで広告主を探したり
タイアップイベントを企画したりして営業は好調だ。

その『ASAmeshi』が入っているテナントビルの
斜め向かいのビル1階に『ベーカリースタンドWAOWAO』はある。
朝早くから焼き続けているパン工房の香りに誘われて
ガラス張りのドアを抜けると
広くない店内に所せましとパンが並べてある。

ベーカリースタンド、と銘打っている通り
小さいながらもイートインもできる場所があり、
コーヒーとミルクコーヒーのみドリンクもある。

彩はそこの店長兼接客担当だ。
ちなみに店長ではあるが、オーナーではない。

『紗季さん、ここに通い始めて4年でしょー?

あーあ!あたしも年取るわけだ』

紗季さん、と呼んでいるが
年齢は彩のほうが上だ。
紗季はちゃんづけでいいよ、と言っているのだが
彩はさんづけをやめない

『最初に会ったときはまだ学生だったもんね・・・』

そう。
4年間お世話になった、とさっき書いたが
始めの2年はインターン。
そのまま『ASAmeshi』就職。
半年もたたないうちにアプリの調整から
SNS発信企画からスケジュールまで
WEB関連の仕事を任されていた。

なので普段はオフィスにこもりきりだが
現場を知らずに運営ができるはずがない、という
勝山瑞樹CEOの方針で店舗取材にもちょくちょく参加。
その時取材した文京区のカフェ『トラノコ』との出会いが
紗季をカフェ開業に駆り立てる強い動機になった。

さらに付け加えるなら
紗季がコミュニティマネージャーを務めた
オンラインサロン『てらみやサロン』の存在。
これが大きい。

紗季が主催の『寺林瑠衣』『宮畑ありす』から頼りされ
0からコミュニティ作りに携わり
サロンメンバーから慕われ
『ASAmeshi』以上に居場所に感じたこのサロン。

ここで苦労し作りあげたコミュニティがあったから
カフェをだすことを決断したのだ

そしてこのサロンでの輝かしい成功体験が
後で『SAKIcafe』の開業準備時に
致命的な誤ちを犯してしまう要因になることを
この時の紗季が知る由もなかった。

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カフェ開業小説 『凡人のカフェ開業』

この小説はフィクションです。 でてくる人名・店名・団体は架空のものです。 ただ仕事上の体験をもとに作成していますので カフェを開業する際のリアルを感じでいただければな、と思います。

コメント2件

最初から読みました!現場を知ってる方ならではのリアルさがすごく面白いです!この後、どうなっていくのか続き楽しみにしています。
うさこさんありがとうございます😊そこそこ長めな小説なのでのんびり楽しんでもらえたら嬉しいです😊
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