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OLD and NEW、驚きのイラン菓子を知るための10皿

中東の人々が、甘いもの好きであることは、この地域を旅したことがある人は、体験的に知っているだろう。

紅茶に砂糖をドバドバ入れて出されることも多いし、お菓子に蜜がたっぷりかかっていることもよくある。中東の国の中でも、イランの人々の甘いもの好きは、かなりハイレベルだと思う。さらにいうと、イランがハイレベルなのは、お菓子の見た目にものすごくこだわるという点だ。

上のヘッダー写真をみても分かると思う。撮影したのは、首都テヘラン北部のなんの変哲もないナッツと菓子を売る小さな店である。ちょっと驚きである。

①顔面ケーキ

イランに住んでいた時、街の菓子屋さんで、いろいろなユニークなデザインのケーキを見かけたが、その中でも印象的だったのは、これ。子どものために買った家族などは、果たして、ちゅうちょなく、顔面にナイフを入れることはできるのか…と、余計なお世話ながら、ちょっと心配になった。

②ピスタチオのクリームコロネ

これも洋菓子だが、イランらしい素材を使ってユニーク。

ピスタチオとバタークリームがよくあう。イランの菓子店では、基本キロ単位での販売。家族が集まって食べるのだろうが、それぞれの食べる数も半端なさそう。

③シュークリーム

シュークリームは和製英語らしい。英語では、cream puffと言われるようだ。イランでは、ペルシャ語で「ヌーン・ハーメイ」と呼ばれている。

一個の大きさはピンポン玉大のものが多いが、これもキロ単位の販売なので、どうしてもたくさん食べることになる。日本の最近のシュークリームよりは皮はかためのものが多いかも知れない。

④ザクロのタルト

イランらしい果物というと、ザクロがある。果肉の中に種があるので、お菓子の素材には不向きだろう、と思ったりもするが、イランのパティシエは頓着しない。

なんだか、イクラか筋子のようでもあるのだが。ザクロのさわやかな酸味は甘いクリームとも合うと思った。

⑤ギャズ

ここからは伝統菓子編。ギャズは、イラン中部の古都イスファハンの銘菓として有名。

ヌガーのような歯にくっつくお菓子。かなり甘いのだが、ピスタチオがアクセントになっていて、意外と飽きがこない。最近は食べたことがないけど。

⑥スハーン

スハーンは、テヘランから南100キロほどのところにあるイスラム教シーア派聖地コムの銘菓。

せんべいのような形状だが、これも甘い。コムの街道ぞいには、缶入りスハーンを山積みにして売る露店が並んでいる。コムのみやげの定番中の定番。これを知らないイラン人はいない。

⑦クルーチェ

クルーチェは、イラン北部ギラン州の銘菓。日本でいうと、「みそパン」に似ているかな、と思う。しっかりした食感の菓子パン、といったところか。中には、ココナッツなどのあんが入っている場合も。

自分で撮った写真が見当たらなかったので、hashira_y さんのものを使わせていただいた。いろいろな大きさ、形状のものがあるようだが、ギラン州では、写真のように、こんがり焼き色がついて、表面に模様が押されているものが一般的だったように記憶している。

⑧綿アメ

パシュマクといい、日本でいうと綿アメ。

首都テヘランでは、スーパーなどでビニール袋に入って売られてもいた。#pashmak というハッシュタグでインスタ検索すると、イラン人あるいはイラン系の人たちがあげた愛犬、愛猫の写真がたくさん出てくる。

確かに、白い犬や猫の毛並みに似ている。

⑨天国アイス

外国人が「ヘブンアイス」と呼んでいる氷菓。食べたことはあると思うが、あまり確かな記憶がない。

コーンスターチで作る細い麺のようなものと、バラ水レモンジュースで作ったシャーベットをまぜあわせたお菓子。米の麺でも代用できるようだ。

⑩伝統アイス

最後は、イランで「バスタニ・ソンナティ」と呼ばれるサフラン入りアイスクリーム。「バスタニ」はアイスクリーム、「ソンナティ」は伝統的という意味。

写真は、日本の横浜にあるイラン料理店「カスピアン」で食べたもの。サフランの着色がしっかりついていて、ユニークな色合い。割とさっぱりとした味で、ここにもピスタチオがトッピングされ、アクセントになっていた。

米トランプ政権との対立がニュースで取り上げられ、キナ臭さが強まっているようにも見えるが、イランは今、外国人観光客誘致にも力を入れていて、人々も概してフレンドリー。一般犯罪という観点では、比較的安全な国といっていい。甘いもの好きならば、紹介したお菓子の数々を食べ歩く旅、というのも、楽しいかも知れない。

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