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アラブの国では、ケバブは「シャワルマ」と言うと知っていましたか?

アラブの国々を訪ねて、まず試すべき食べ物は何だろう? 「シャワルマ」はその有力候補だと思う。

いろいろな呼び名

ひょっとすると「何それ?」と言う人もいるかも知れないが、「ケバブ」と言えば、ご存知の方が多いのでは。肉の塊をぐるぐる回転させて、ナイフでそぎ切って、パンなどにはさんだり、巻いたりして食べる、あのケバブだ。ちなみにトルコでは「ドネルケバブ」、イランでは「ケバブ・トルキー」と呼ばれている。

日本社会にも浸透

日本でも最近、かなりおなじみの食べ物になっている。

先日、東京本郷の、中国出身のイスラム教徒が営む蘭州ラーメン店に行ったら、サウジアラビアからの留学生が来ていて、少し立ち話をしたが、彼は、「ケバブを食べに秋葉原に行っている」と言っていた。彼は、「シャワルマ」とは言わず、「ケバブ」と呼んでいた。このファストフードの呼び名は、どうやら「ケバブ」で統一されつつあるのかも知れない。ケバブ店は、東京の繁華街には、だいたい必ず一軒はみかけるようになった。

ケバブ、つまりシャワルマは、アラブの国々でも最もポピュラーなファストフードだし、どんな街に行っても必ず一軒は見つけられる。店先に取り付けられた円柱状の大きな肉の塊が目印だ。

日本のケバブ店と同様、この肉をナイフでそぎ落として、ホブズ(アラブ式パン)などに野菜などと一緒に巻いて食べる。肉は、羊が多いが、鶏肉、七面鳥などもある。面白いのは、アラブの国々で、シャワルマ・サンドイッチの仕上げ方が微妙に違うことだ。 

エジプト

まず、エジプト。ここでは、ハンバーガーに使う「バンズ」や、日本のいわゆるコッペパンにはさむことも多い。肉のほかには、タヒーナ(ごまペーストをオリープオイルでといたもの。パンにつけて食べる)やキュウリ、トマトのみじん切りなどをはさむ。


パレスチナ

パレスチナ自治区ガザ。パレスチナは本来、いわゆる「シャーム」と呼ばれるシリア・ダマスカスを中心にした東地中海地域に含まれる。シャームのシャワルマは、一般的には薄いナンに肉を春巻きのように巻くのが一般的だ。下の写真はパレスチナの東隣のヨルダン・アンマンのチキン・シャワルマ。野菜はほとんどはいっていない。

パレスチナでは、あの「サブウェイ」のように、店頭にある「サラダバー」から入れたいものを自分で選ぶことができるようになっているところも多い。イスラエルでも、ほぼ同じ形式。

下は、パレスチナ自治区ヨルダン川西岸ラマッラーのシャワルマスタンド。ヒヨコ豆のコロッケ「ファラーフェル」も一緒に売っている。こちらは、直径二十センチほどのホブズに裂け目を入れて、中に野菜と一緒に詰める。現物の写真が見当たらず、申し訳ない。

しかし同じパレスチナでも、エジプトと境界を接するガザ地区のシャワルマはなぜか、厚手で直径四十センチはあろうかという大きなホブズで豪快に巻く。バグダッドのシャワルマと似ているので、私はこれを「イラク式」と名付けた。これも、巻いた状態の写真がなくて申し訳ない。下はガザのシャワルマスタンド。

イラク

さきほど、「イラク式」と紹介したが、イラクのシャワルマは、あらゆるものがともかく豪快。脚立にあがらないと肉がそぎ切れないほど大きなものも、バグダッドでみたことがある。

レバノン

レバノン。さきほど紹介したヨルダンと同じく、薄いパンに巻く「シャーム」型。アラブ料理の「本家」の国とも言われるだけあって、シャワルマが一番うまい国とも言われる。首都ベイルート随一の繁華街ハムラには、シャワルマを売る小規模店があちこちにある。

サウジアラビア

サウジアラビアは、エジプト、シリア、レバノンなど他のアラブ諸国の出稼ぎ者とともに、多様なシャワルマ店が出店している。夏は酷暑の国らしく、ショッピングモールが発達しており、こんなパッケージングされたシャワルマもあるようだ。

シャワルマの値段は、国の物価水準によっていろいろだが、着席してしか食べられないものに比べてさほど高くはなく、手軽に満腹になり、アラブ諸国の旅の頼りになる一品だ。個人的には、青唐辛子の酢漬けが付け合せとして最高だと思う。

ピリッとくる辛さが肉の脂っこさをやわらげてくれる。好みのトッピングで特製シャワルマを作り、店先でサラダバーを直接手でつつきながら(本当はいけないことだけど)、シャワルマをほおばれば「通」。気分はアラブ人?

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