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あれもこれも一人では 〜嗚呼、職人の絶望日記〜

アウトドア漆器ブランド立ち上げ記。
2016年8月。

父に教えてもらう漆塗りと、独学の木工を組み合わせて、なんとかアウトドア漆器試作品の第一弾が仕上がった。

しかし、ブランドのデビューにはまだほど遠い。
職人としてのスタートが27歳と遅いこともあり、のんびり修行をしていては様々な好機を逃してしまいそうな気もする。

モノづくりの腕もなかなか上がらない状況で、ロゴマークを作ったり、ブランディングなどできるのか。

自分が一人旅の中で感じたブランドのイメージは明確に持っていたが、デザインの知識も経験も無い。

それだけでなく、試作品を商品にまでもっていき、パッケージ作りや営業活動もしなければいけない。

道のりは果てしなく思えた。
どう考えたって、オリジナルの漆器ブランドを実現させるのに5年以上はかかりそうだった。

この先どうしようかと思いながら、いつもの場所で夕陽を見ていた時にふと思い出した言葉があった。

会社勤めをしていた時の先輩に、言われたことだった。

「なんでも一人でやろうとしすぎないように。
アキラ(僕のこと)なら、絶対に協力してくれる人がいるから。」

また悪いクセが出て、一人であがいていることに気がついた。
2年前くらいにもらった言葉が、今さらになってしみた。

心当たりのある人がいた。
知り合ったばかりで、まともに話したこともなかったが、デザイン畑出身の方だと小耳にはさんでいた。

京都の産業支援を行う機関の方である。

先輩の言葉を忘れないうちにメールをしてみた。

「ご相談したいことがあります。」

そして、業界に入って半年のワカゾーが妄想していたアウトドア漆器ブランドの話は急展開を迎えはじめた。


つづく。

みなさまのご支援で伝統の技が未来に、いや、僕の生活に希望が生まれます。