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今年の北海道

ここのところ、ぽちぽちと仕事をいただいてがんばっていた。
それというのも、すべては北海道に遊びに行くためであった。

北海道の中でも、羊蹄山周辺の町のひとつである喜茂別が大好きだ。
というか、喜茂別にある雪月花廊という廃校を改装したライダーハウスが大好きなのだ。
(ライダーハウスとは、旅人のための安宿。素泊まりなら一泊数百円くらいで泊まれる。)

5年前、自転車で日本一周をしている時に訪れて以来、幾度となく遊びに行っている場所だ。

絶望的に低収入の生活を送ってきた私であるが、今年もこの場所に滞在すべく決意を固めたのが3月。
行くならお客さんも少なく、爽やかな初夏の雰囲気を味わえる6月がいい。それまでに渡航費と滞在費を稼ぐのだ!

するとどうだ。仕事がぽつぽつと舞い込み、みるみる6月の北海道行きが現実のものとなってきた。
むしろ、旅費は稼げたが時間の確保が怪しいというまさかの展開に。

「いつ行くんだ!?今しかない!!」と、目の前の仕事を終わらすや、残りの仕事を思い切って後ろ倒しにした。
八尾市でのイベント出店があったの2日後の月曜日、ついに私は北海道行きのフェリーターミナルへとバイクを走らせた。

私だけかもしれないが、長めの旅行に行く時というのはいつも、「いいのか?ホントににいいのか?行っちゃっても大丈夫?」と少し不安感が伴う。
この瞬間を楽しみにしてきたのに、残してきたあれやこれやに後ろ髪をひかれるような感覚がある。
そんな気持ちも出発して1時間も経てば薄れるのだが。

夕方に家を出て夕日が沈んだころ、北海道行きの船が出ている舞鶴港へと到着した。
やはり船はいい。飛行機で行くよりも、旅立ちの感慨が深くてたまらない。

京都・舞鶴港から北海道・小樽港行きのフェリーは、出航が23時50分頃で、到着が翌20時30分頃。
たっぷり20時間以上を船の上で過ごさねばならない。

若干の船酔いも手伝って寝たり起きたりを繰り返しているうちに小樽港へ到着。
中途半端な時間に降ろされるので、夜の過ごし方にいつも迷う。

その晩、小樽は雨が降っていた。なので夜の小樽運河を散歩できず、一直線にウィスキーで有名なお隣の余市の道の駅まで走って野宿をした。
余市は雨が降っていなかった様子で、到着してから少し散歩をする。

空気の中に若干、肥やしの香りが混じっている。
「おぉ!これぞ北海道カントリーサイド!」と懐かしさでいっぱいになる。
匂いと記憶は密接にかかわっているといのはホントらしい。

翌朝、早起きして一目散に雪月花廊を目指す。
いつもは自転車で来ている道が、バイクだとあっという間だ。

朝6時、「日本一美しい村」を謳う赤井川を経由して朝食をとる。
じつに美しい。

本州ではこんな爽やかな空気間はなかなか味わえない。
湿度は低くサラッとしていて、白樺の林など北国ならではの植物に囲まれているからだろうか。

そして9時頃、待望の宿に到着した。
たっぷり数日間の滞在である。


つづく。

みなさまのご支援で伝統の技が未来に、いや、僕の生活に希望が生まれます。