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【詩】仮の夜の月

陽を閉ざした
二人だけの秘密の部屋に

わたしの月が
昇る

欲望がたぎ
仮の

わたしの月は
熱をはら

身を震わせながら
赤くけた姿を
浮かばせる

既に
戒めは破られているのだ。

戒めを破った者にふさわしい
恥辱は
妙なる音色と色彩の渦を起こし

わたしに
あがないの歓びを与える

全てが
倒錯した
秘密の部屋は

真実の調べを奏でる
小宇宙となり

仮の夜の霧をまとう
わたしの月は

ヴェール越しに
慈しみの
眼差しを投げかける


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