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シトロエンDS3(走行660kmの新車)

 今回はDS3(走行660kmの新車)に乗る機会があったので、早速裏山のワインディングへと試乗に出掛けることにした。

 走り出すその前にフードを開け、パワートレーンをチェック。日本ではプジョー208で先にデビューしている、1.2L 3気筒エンジンだが、DS3ではシリンダヘッドをガソリン直噴化して、ハネウェル製のターボと空冷式インタークーラーを追加している。ベースのEB1型(1.0L)エンジンと同じく、吸排気連続バルブタイミング可変機構や、油中タイミングベルトなどはキャリオーバされている。ターボのコントロール用ウエストゲートは一般的な負圧式だが、過給圧リリーフバルブは電磁ソレノイド式で軽負荷時の排気温の低下とエンジンレスポンスの悪化を防いでいる。ターボチャージャーのコンプレッサーハウジングはかなり小さく、軽用のRHF2.5(IHI製の場合)と同等サイズと見え、高圧力比で出力を出すのではなく、レスポンスと実用性を狙った物と予想される。
 トランスミッションは、バッテリーの下に隠れて見えないので良く分からなかったが、外見上ソレノイドが見えないのと、オイルウォーマーが有るので、おそらくDCTではなくA/Tの様だ。

 さて早速乗ってみると、まず気になるのがドライビングポジションだ。RHD化にする為のの弊害で、アクセルペダルを踏み込むとホイールハウスにつかえてしまう為、ペダルを前に出していると見え、ペダルに合わせるとステアリングを随分手前にセットしなければならならず、ステアリング位置が低めが好みの自分にはしっくりこない。ステアリング位置を決めてからシートを合わせ様とすると、太腿がシートから浮いてしまい、大柄なシートがコーナーでさっぱりホールドせず、やむをえずステアリングホィールを不自然に高く手前に合わせざるを得なかった。

 エンジンはというと、3気筒特有のフィーリングは感じるが、回転1次バランサーシャフトが付いている事もあり、振動が良く抑えられている。また、小型のコンプレッサー&タービンの効果で、ターボラグも殆ど感じられずあたかも1.8Lクラスのエンジンが載っているかの様であり狙い通りと言えよう。但し反面、一生懸命回しても所詮小型ターボでは能力(過給するエアの流量)が足らず、出力は頭打ちになってしまう。
 この車にはアイドリングストップが付いているが、始動時のクランキング音が小さく、また始動も早いので煩わしさが無いのが良い。恐らくクランク角で2回転以内で掛かっているのではないだろうか⁈

 トランスミッションの出来も良く、シフトアップのフィーリングはまるでDCTの様で、引きづる様なもっさりした所が感じられない。マニュアル操作でもそれは変わらず、シフトアップ時などでも引き摺る感じが無いので、ワインディングでも興醒めせず楽しむ事が出来た。
総じて良いクルマだし山道を飛ばしても結構速く、スタイルも洒落ていて良いのだが、先に述べたドライブポジションと共に路面フィーリングをイマイチ伝えて来ないステアリングが残念なところだ。

 人に勧められるかと云うと、ショックは良く抑えられているものの、路面の段差やうねりを忠実に拾う落ち着きの無い乗り心地など何か中途半端な感じで微妙なところ。ひょっとしたら、EU仕様のLHDモデルは、この辺りがもっと良いのかもしれない。デザインも魅力的でパワートレーンの仕上がりが良いだけに、個人的にはちょっと惜しいクルマでした。

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