体重減少と悪性腫瘍のリスク

体重減少は内科外来でそれなりによく診る主訴の1つであるが, その重要な鑑別に悪性腫瘍がある.
実際, どの程度リスクがあるのか, を前向きコホートで調査した報告がJAMAより発表されたのでまとめてみたい.

(JAMA. 2024;331(4):318-328. doi:10.1001/jama.2023.25869)

40歳以上の男女を対象とした前向きCohortを解析し
過去2年以内の体重減少とその後12ヶ月以内の悪性腫瘍診断リスクを評価した

・体重減少は, 意図したものかどうかを

 High: 運動量の増加, 食事の調節の双方あり
 
Medium: 上記のどちらか1つあり
 
Low: 双方なし の3つに分類した.

・患者は157474例を評価.

・女性Cohortは1978-2016年, 男性Cohortは1988-2016年フォロー

・このうち悪性腫瘍は15809例で診断された(164万人年)
 
 964件/10万人年の頻度. およそ1%弱

体重減少の程度(2年間における)と, 意図レベル別の悪性腫瘍診断頻度・リスク(頻度は/10万人年)

・過去2年で>10%の体重減少を認める群では,
 悪性腫瘍診断率は1362/10万人年
 vs 体重減少(-)群では869/10万人年
 
 差は495/10万人年[391-594]と有意差あり.
・特に意図していない体重減少(low群)ではリスクも高い

>10%の体重減少患者群における各悪性腫瘍リスク (vs. 体重減少無し)

・主に消化管腫瘍のリスクが高い.

60歳以上の患者群における体重減少と悪性腫瘍リスク

・意図していても, 2年間で>10%の体重減少があると要注意.
・意図しない場合は5%以上の減少で注意が必要である.
・さらに70歳以上, 男性はリスク因子であり, 意図しない70歳以上の男性例の体重減少は, その後1年以内に4.0%の症例で悪性腫瘍が診断される.

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