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エフェクチュエーション実践講座④「消費者向け商品告知」の分野でのエフェクチュエーション

はじめに

 顧客接点領域でもエフェクチュエーションは有効です。どの会社でもやりたいのは商品告知の分野でしょう。この領域でエフェクチュエーションを活用する場合、基本原則を念頭に置きつつ、現在持っている資源や可能性を最大限に生かす戦略を立てることが重要です。

エフェクチュエーションを活用した商品告知の進め方

1. 「Bird in Hand Principle」を活用
  自社の持つ資源、例えば既存の顧客基盤、SNSフォロワー、製品の特徴を明確にし、これらを最大限活用して商品の認知を高めます。例えば、SNSフォロワーに対して製品の特別なプレビューを提供し、彼らを製品のアンバサダーに変える戦略が考えられます。

2. 「Affordable Loss Principle」に基づいたリスク管理
  新たなマーケティング施策を試す際には、失っても良いリソースの範囲内で行動します。例えば、小規模なターゲットグループに対する製品サンプル提供を実施し、反応を見てから全規模に展開するなどのアプローチが有効です。

3. 「Crazy Quilt Principle」を用いた協力関係の構築
  他の企業やインフルエンサーとのパートナーシップを積極的に模索し、共同でプロモーション活動を行うことで、より広い顧客層にアプローチできます。例えば、互いの製品をクロスプロモーションすることで、新たな顧客層の獲得を目指します。

4. 「Lemonade Principle」を利用した柔軟な戦略
  市場反応や競合の動きなど、予期せぬ状況に柔軟に対応し、それを機会として捉え直します。例えば、競合製品の登場を機に、自社製品の独自性や優位性を再強調するキャンペーンを展開することが可能です。

5. 「Pilot in the Plane Principle」に基づく主体的な未来創造
  自社の行動が市場に与える影響を意識し、積極的に市場を形成していく姿勢が求められます。製品の利点や価値を明確に伝え、積極的な情報発信を通じて市場の認識を形成します。

エフェクチュエーションを商品認知に活かす3つのポイント

①強みを活かした差別化戦略
  自社の強みや製品のユニークな特徴を明確にし、それを前面に出したプロモーションを展開します。消費者が製品を選択する際の決定的な要因を提供することが重要です。

②顧客とのエンゲージメントを深める

  顧客とのコミュニケーションを重視し、SNSやメールマガジンなどを通じて、製品情報だけでなく、製品を使ったライフスタイルや価値観を共有します。顧客が製品に対して感じる親近感や信頼感を高めることが目標です。

③データを活用したフィードバックループの構築
  マーケティング活動の結果を定量的に分析し、そのデータをもとに戦略を継続的に最適化していきます。顧客からのフィードバックを製品開発や次のプロモーション活動に活かすことで、商品認知の向上と製品の改善を同時に進めることができます。

地酒という商品の認知領域での事例

 特定の地域の伝統的な酒造りの技を活かす事例を紹介します。小規模ながら熱心なファンを持つ地酒メーカーが、限られた資源を駆使して商品認知を高める戦術です。

 最初に「Bird in Hand Principle」に基づき、このメーカーは自社の持つ強みとして伝統的な酒造りの技術、地元産の高品質な米、地域社会との強固な関係性を使います。地域の祭りやイベントに参加し、地酒の無料試飲会を実施することで、地元の人々と直接繋がり、口コミを通じて商品認知を広げます。

 次に、「Affordable Loss Principle」を活用して、SNSや地域のウェブサイトを通じたデジタルマーケティングを行います。失敗しても大きなダメージにならない範囲であれば、さまざまな宣伝方法を試せます。特に、地酒を使った料理レシピや、酒造りの裏話を含むコンテンツを投稿し、フォロワーとのエンゲージメントを深める戦略が有効です。

 また「Crazy Quilt Principle」に従い、地元のレストランやバーと協力し、メニューに地酒を取り入れてもらうことで、新たな顧客層にアプローチします。共同でイベントを開催し、地酒のペアリングディナーを提供するなど、協力関係を築きます。

まとめ

 エフェクチュエーションを使うと地酒メーカーは限られた資源を活かしながらも、地域社会との関係を深め、デジタルマーケティングを駆使して商品認知を高めることが可能です。最終的には、地元からの強力な支持を受け、徐々にその魅力を全国、さらには海外の顧客にも広げていくことができると思います。リスクが少なく上手くいくと大化けする方法。これもエフェクチュエーションの良いところです。

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