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「残念です」の使用はTPOをわきまえて

「残念です」

この言葉はどういう時に使うものか。

本やネットでよくある指南で、相手に直して欲しいことを伝える際、
相手の悪いところを非難しても相手は聞く耳を持たないので、まずは自分がどう感じたかを伝えるのが良い、というのをよく見たことがある。

「あなたは〜(こういうところがダメ)」
じゃなくて
「私は〜(そう言われて悲しかった)」
といった感じ。"YOU"じゃなくて"I"で話す、『"I"メッセージ』で伝えましょう、という指南。

なるほど、と思って自分の中にその手法を受け入れていた。

しかし「この手法間違ってないか?」と思ったことがあった。

それが今話題のバッハ会長のコメントである。

1都3県で開かれる東京オリンピックの競技が無観客となったことについて、IOC(=国際オリンピック委員会)のバッハ会長は「残念だ」と述べた。

東京オリンピックの無観客が決定されたことに対するバッハ会長のコメントは、この"I"メッセージだった。

でも、私はこのコメントを見て正直ムカっとした。

私は東京都民で、今いろんな我慢もしている。ワクチンも接種券は届いているのにワクチンが不足しているせいで予約も取れない。実家にももう一年半以上帰れていない。
商業施設が休業したり、短縮営業したりで生活用品を買うのも四苦八苦した時期もあった。お気に入りの飲食店も閉店してしまったところもある。そして実はオリンピックの観戦チケットも当選していた。

オリンピックの選手の人達程ではないが、私も色々色々色々今も引き続き辛抱している。耐えている。

そんな中でオリンピックを実施するのは、もうどう自分を納得させればいいかわからないけど、やらなければいけない責任を背負っている人達のことも慮って、目を瞑って受け入れようとしていた。

そこへ、、

この今の日本や東京で過ごしたこともなく、今の日本や東京の状況を詳しく調べもしていない、海外の人から言われる『残念です』という言葉の破壊力たるや。

『あんたなんかよりこっちの方が色々沢山残念に感じとるわ!』
と思ってイラっとしてしまった。

これが、『"I"メッセージ』で伝えるのは違うんじゃ?と思ったことのひとつであった。

『Iメッセージ』は使う場所を間違えると
「あんたがいうな」
「あんたの気持ちなんか知らんがな」
になってしまうということがよくわかった。

そして、同じようにTPOを間違えた「残念です」に遭遇したことがもうひとつあった。

先日上司から、説明が全く無く物凄くわかりにくい仕事の指示が来たので、聞きたいことや自分の思うところをその上司に伝えた。

するとその私のレスが痛いところをついていたのであろう、上司からの返事が

「○○さん(←私)なら、察してくれると思ってました。残念です」
と来た。

察してくれると期待してたのに、それに応えてくれなかったので「残念です」とな?

いやいやいや、上司が部下にそういうこというかね。
自分の指示が伝わらないのは部下が悪いと。自分の指示の出し方や伝え方は悪くないと。
いやいやいや…

仕事なんだから「残念です」とかいう感情伝えるよりも、指示をちゃんと伝えなきゃいけないんじゃないのかね。
仕事のディスカッションしてる中で、感情伝えるだけって、、それで話終わっちゃうじゃん。

この2つの出来事があってから、私は『"I"メッセージ』はTPOをちゃんと見極めて使わないと、意図していたのとは真逆な効果を生み出してしまう危険性を持っているものであることがわかった。
何にでも使える万能手法では無いと。

ホント気をつけよう


ちなみに、先程のバッハ会長のコメント、ちょっと落ち着いてから「これ、和訳されてるんだよな。原文の英語では何て言ってたんだ?」と思ったので、確認してみた。

バッハ会長は冒頭で「We all regret this decision〜」
と言っている。使われている単語は"regret"。
"regret"とは

〔~を〕残念[遺憾・気の毒]に思う、後悔する、悔しく思う、残念ながら~する
(英辞郎より)

あ、やっぱり『残念』て言ってるのね。。
ただ、"We all"と言っている。"I"ではない。

これについてはコメント全部を見るとわかる。

NHKではコメントのだいたい全部を網羅してるのかな?

これを読むと"We all"の意味がわかる。
そしてコメント全部を確認すると、そこまで悪い印象のものでは無いように思う。
何より"I"じゃ無かった、"We"だった。選手向けメッセージだったから選手側に立ったWeだった。

もし、こちら↓のニュースの最初のタイトルと日本語字幕だけを見ていたら悪い印象だけを受けてしまうかもしれない。
少なくとも私は"I"だと思いこんでしまっていた。

自分で調べるって大事だと思った。
報道をなんでも鵜呑みにしてはいけない。
そして、やっぱり英語を勉強しようとあらためて思った。


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