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発達支援教育の経済効果「5000億」!

日本は、OECD加盟国の中で、GDPに占める教育支出の割合が最も低い下位25%の国に入る。

OECD報告書「図表で見る教育2021年版」

利益・顧客数・売り上げ。
__資本主義では数値的成果が全てです。
ではそんな社会で「教育の成果」とは何でしょうか。

いくら優しい人間に育っても、、
いくら協調性が上がっても、、

目に見えない道徳性はビジネス社会から目も当てられません。
だからこそ日本で教育費の割合は低く見積もられます。

しかし、

発達支援教育の利益:年間5000億円

__このような数値的成果が認識されたらどうでしょうか。

今日は特別支援教育の経済効果について現実的に考えたいと思います。

反省以前の非行少年

「ケーキの切れない非行少年たち」という本が流行りました。

グレーゾーンで虐待を受けた子たち。
社会から支援を忘れられた子たち。
そのような子が犯罪にはしる詳細が書かれています。

多くの非行少年は「反省以前の問題」
筆者は少年院での体験を著書の中で紹介しています。

Q:犯罪を犯した非行少年への質問「自分はどのような人間ですか?」
A:約8割の子「自分は優しい人間です。」

ケーキの切れない非行少年たち

勉強以前に認知機能の教育が必要なのです。
特に見落とされがちなグレーゾーンの子たち。
適切な発達支援教育をしなければいけません。

流行りから生まれる誤解

私はこの本の流行りを「危ないな。」と思いました。

発達支援の環境を整える

犯罪者が減る

これは一歩間違えれば
発達障害者 = 犯罪者
という間違った認識になります。

しかし、筆者は少年院で多くの「ケーキの切れない子」を見てきた結果、
発達支援教育の大切さを唱えています。

リアルな現場の情報を私たちも受け止めなければいけません。
他の調査でも示されています。

児童養護施設調査(横谷・田部・内藤・髙橋:2012)では,調査対象の 11施設の合計の就学児童 477人中 124人・26.0%に発達障害の診断・判定があり, 4 人に 1 人以上がLD,ADHD,PDD,知的障害いずれかの診 断・判定を受けていることが明らかになった。

少年院における発達障害等の特別な配慮を要する少年の実態と支援に関する調査研究


ただ、安易な流行りで誤解せぬよう気をつけなければいけません。

「発達障害者」= 犯罪者
ではなく
「支援されない」発達障害者 = 犯罪者
になるリスクが高いということです。


発達支援教育の経済効果

話を戻します。

発達障害者に適切な教育環境を整える

犯罪者が減る

という仮説。
この仮説の成果が本文最後に書かれています。

日本は受刑者を養うのに年間3,000,000円かかっています。(−300万)
その受刑者を納税者に変えることで
年間1,000,000円の納税額をもたらすことになります。(+100万)

ケーキの切れない非行少年たち


「−300万円」

「+100万」
↓ 
あわせて「400万」


これが新たに増える日本の経済効果です。

平成29年(少し古いデータですが)
日本の受刑者は5万6000人です。

400万 × 5万6000人→2240億円の経済効果

さらに 筆者は被害者の損失額含めると年間5000億を越すといいます。

犯罪者を減らすことは日本の国力を上げるために重要です。
発達障害への理解ある社会が日本に年間5000億円の経済効果をもたらします。


以上、ややネガティブですが特別支援教育の成果を紹介しました。

何度も言いますが
発達障害者=犯罪者なのではありません。
支援されない発達障害者 = 犯罪者
になるリスクが多いだけです。

利益というより「損失を減らす」考えです。
しかし、
日本という資本主義の巨大社会。
ときに現実的数値が社会を動かすには必要です。

社会の角度を一度でも変えられるよう私も発信したいと思います。
最後までご覧くださりありがとうございました。




参考
・「ケーキの切れない非行少年たち」(新潮新書) 宮口 幸治 (著)

・OECD報告書「図表で見る教育2021年版」

・「少年院における発達障害等の特別な配慮を要する少年の実態と支援に関する調査研究 : 全国少年院職員調査を通して」 https://core.ac.uk/download/pdf/33468016.pdf


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