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空振りする対ロ経済制裁 余裕のプーチン大統領の秘密は”幽霊船団”?!

現在ウクライナ侵攻への制裁措置としてロシアの石油輸出が制限されています。ドイツをはじめ欧州各国もロシア産石油への依存を断ち切る決断をし、実行に移していますが、当のロシアは何故か慌てる様子がありません。骨抜きになった経済制裁の背景には”幽霊船団”と呼ばれるグレーゾーンすれすれの輸出ルートの存在がありました。

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◎”Shadow Fleet”(影の船団)

ロシアの石油輸出に対する経済制裁がこれほどまでに効果がでない展開を誰が予想できたでしょうか。制裁の実施が甘い運用の問題もありますが、結局は制裁をかいくぐって中国やインドの大口需要国に対して輸出が継続している事が主な原因です。

こうしたグレーゾーンの輸出ルートを担うのが”幽霊船団”と呼ばれるタンカーです。これらのタンカーに共通する特徴は、その多くがUAEや中国籍であり複雑な権利関係により正体がはっきりしないという事があります。さらに建造から15年経過し老朽化した(①decrepit /老朽化した)ものが多いにも関わらず、整備が不充分な状態のままロシアの石油輸出を継続させています。

昨年度もこうした”幽霊船団”が英国海峡を当たり前のように(400回!)通過していますが、そのリスクは極めて大きなものです。
これら”幽霊船団”は整備状況が悪いため他の船に比べ事故が起こりやすいわけですが、その損害を補償する保険に加入状況は充分なものではありません。まともな保険会社は経済制裁に抵触する可能性のある船舶を相手にせず、仮に付保されていたとしても補償金支払事の調査で経済制裁に抵触していると判断されれば補償が無効化される(② be rendered void /無効とされる)事が予測されます。つまり何かあれば石油の除去費用を含め航路沿岸の国々にとっては泣き寝入りとなります。

昨年は実際にこうした”幽霊船団”の一隻がデンマーク海峡で6時間にわたって操作不能な状態となり大事故寸前の事態となりました。後々の調査によれば緊急動力システムの不具合(③glitch /不具合)を含め11件もの整備不良が発見されました。”幽霊船団”の脅威は現実のものなのです。

海洋法における国際連合条約では加盟国が海外船籍の船が自国の海岸に対して危険をもたらす明白な証拠がある場合において当該船舶を拘束する権限を認めています。また、議会はドーバー海峡を航行するタンカーに付保状況の証明を提出する事を法制化し英国の海岸を保護する動きを取るべきでしょう。

□本日のポイント■■■

①decrepit /老朽化した

人や建造物が古くなってガタが来ているという事です。これもフランス語にルーツがある言葉です。

🔳 Russia’s decrepit oil tankers pose an enduring threat to British waters

(試訳)ロシアの老朽化した石油タンカーは英国領海への継続的な脅威だ

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