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【日本とカンボジア】トヨタの組み立て工場が完成

昨日プノンペン経済特区で、豊田通商の自動車組立工場の完成式典があり、参列してきました。

マネット首相以下多数のカンボジア政府高官や、植野篤志特命全権大使の臨席のもと、式典は盛大に開催されました。首相は「カンボジアの経済発展に大きく寄与する」と評価するとともに「従業員への職業訓練とともに、国内企業からの部品調達を検討してほしい」と裾野産業の広がりにも期待を表明していました。

式典でテープカットをするマネット首相
首相のほか、複数の副首相や閣僚が参加するなど、カンボジア側の期待が窺える


式典の後には工場見学が行われました。投資額は3680万ドルで、生産能力は年間6000台。ピックアップトラックのハイラックスとSUVのフォーチュナーが生産される予定です。現地生産に切り替えられるこれら2車種は、国内販売価格の値下げが予定されており、政府からも税制面の優遇措置等で支援されます。

工場見学をする首相や大使


と、ここで終わりにするつもりでしたが、折角なので、もう少し掘り下げて書いてみます。

今回の投資は、2022年11月12日にプノンペンのソカーホテルでASEAN首脳会議が開催された際、岸田総理とフン・セン首相(当時)の立ち会いのもと、カンボジア政府と豊田通商が締結した「自動車産業の発展に向けた協業に関する覚書」に基づき行われました。首脳会談において、フン・セン首相(当時)は、日系企業によるカンボジアの経済と産業への貢献を高く評価し、日系企業の投資をさらに誘致していきたいとの発言をしています。

2022年 岸田総理とフン・セン首相(当時)の立ち会いのもと、カンボジア政府と豊田通商がMOUを締結

2021年以降、カンボジアではノックダウン形式での自動車組立事業が増加しています。カンボジア政府は改正した投資法やその運用細則で優遇措置を設けており、部品を輸入して組み立てることで、完成車を輸入するよりも関税や特別税を軽減できることが背景にあります。具体的には、2023年6月26日に公布された「投資法の施行に関する政令」の第17条等で、自動車(新車)組み立て事業を行うQIP(適格投資プロジェクト)に対しては、パーツ数や投資資本額、従業員数に応じて、関税、特別税、付加価値税を50~90%引き下げると定めています。

政府は2022年12月に自動車・電子機器分野の発展のためのロードマップを発表するなど、自動車産業を含む高度な組み立て事業の投資奨励による技術向上を期待しています。また日本からの投資によって、中国からの投資による縫製業に産業と雇用が偏っている状況が改善され、業種や投資国が分散されることも期待されます。

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