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【カンボジアニュース】金融機関の不良債権増加に危険信号


カンボジア信用機構(CBC)は、四半期毎の消費者信用指標(2023年Q4)を発表しました。CBCは中央銀行や銀行協会、マイクロファイナンス協会の協力によって設立された組織です。金融機関から集めた信用情報を集積し、その情報は各金融機関の貸付審査等に利用されています。

今回の四半期報告(2023年10月〜12月)において、消費者信用申請は対前期比で件数は+5%、金額は-10%となりました。クレジットカード消費と不動産取引の減退から、景気の低迷が窺えます。内訳は以下の通りです。

個人向け貸付 件数+7%、金額-11%
住宅ローン 件数-7%、金額-1%
クレジットカード 件数-14%、金額-6%

さて、注目すべき不良債権比率の変移は以下の通りです。ここで言う不良債権とは、30+DPD(30日以上返済が遅延していること)を指します。

2020年(Q1-4) 1.61%→2.64%→2.42%→1.91%
2021年(Q1-4) 2.24%→2.57%→2.56%→2.03%
2022年(Q1-4) 2.35%→2.47%→2.60%→2.51%
2023年(Q1-4) 3.28%→3.96%→4.71%→5.14%

不良債権比率は、上記の通り推移しています。カンボジアでは、政府の肝入りによるコロナ禍の返済猶予等の措置が2022年6月末で終了しましたが、その後も2022年後半は不良債権の比率はあまり上昇していませんでした。しかしながら中国経済の失速に伴い、不動産を中心に景気が低迷し、2023年に入ってからは不良債権比率が上昇しています。今回の第4四半期発表では、不良債権比率はついに5%を超えて、警戒水域に入ったと言えます。

新規貸付需要は新型コロナの国内感染の拡大を受けて、2022年まではほぼ横ばい状態でした。2023年は第1四半期に大幅増があったものの、その後は不動産向けの落ち込みが足を引っ張っています。以前より懸念されていた不動産向けの貸付需要の減退が、景気の低迷とともに顕在化してきたと思われます。


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