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借りた金を返さない人の思考回路

 莫大で到底返済不可能な金額でもない限り、借金をなかなか返済しない人は「金を返したくない」という心理を少なからず持っていると思います。そんな偏見をいっそう強く確信したのはこちらのTwitter漫画。

 Twitter上では「あり得ない」「どうかしている」という風に非難ごうごうの嵐でした。ちゃんと漫画の中でそもそも金の貸し借りは止めておこうと釘を刺しているにもかかわらず。恐らく、このような「金を返したくない」という感情が発生すること自体が許しがたく不愉快だし道徳的に悪だと断罪したくなるのでしょう。だから生理反応のように反射的に反発してしまう。

 私は純粋に、借りた金を返したくない心理にとても興味があります。なぜなら過去に友人へ金を貸した経験があり、10年近く経つも未だに返済してもらえず、絶縁状態にあるからです。彼は非公開のSNSアカウントで実名を晒しながら金くれ金くれとうるさい、と愚痴っていました。彼は当時、生活に困窮していたそうであり、だから金を貸したわけで、具体的な期限を設けたわけではなく、しかし友達だから何回か遊んでいるうちにいずれ返してくれるだろうという甘い気持ちでいました。しかし彼はゲームを1000時間以上もプレイする時間はあるのに、数万円程度の金を返す余裕はないのです。書いてて腹が立ってきたのでこの話は止めておきます。

 ここで問題にしたいのは、借りた金を「返せない」のではなく、「返したくない」と思ってしまう心理です。これは憶測ですが、借金を踏み倒す人間にとって、その過去は債務というより自分の一部(既成事実・既得権益)になっているのではないでしょうか。つまり、経緯は何であれ自分が現に獲得している利益を手放したくないという思考です。これは、債務を背負っているということへの心理的プレッシャーや、自分を道徳的に悪だと認めてしまうことへの恐怖から逃げたい気持ちも働いているように思えます。人間はどんなに悲惨な状態になっても、自分を正当化する理屈にだけは事欠きません。自殺する場合ですら、そうでしょう。借金は原則、借りた人間に負の義務があり、貸した人間に絶対的な正当性があります。だからこそ、その正当性を不用意に振りかざしてしまうと、相手を追い詰めて思わぬ暴走を促してしまう。だからこそ、親しい間柄で貸し借りはすべきでないのです。

 貸した側も、私自身そうでしたが、「たかが数万」と感じてしまうものです。貸した当初も、相手を信頼しているから、別に返済期限にはそれほどこだわらなかったりします。相手から必ず返済するという誠意や、困っている相手を助けてあげられたという満足感を代わりにいただいているからです。ですが、そうした感情も消費期限(?)があるので、時間がたつとだんだん不愉快な気持ちが募ります。「遊んでいる暇・金があるなら、なぜ最優先で自分に返してくれないのか」と。これは結局、金だけの問題ではなく、貸した人の信頼も奪っている行為と受け取られます。仮にすぐ返済できなかったとしても、少しずつ返済していく計画を立てたり実行すると、そうはならないでしょう。問題は、上記の思考回路にはまって「返したがらない」行動を債務者が取り出した時です。債務者も自分が悪いのは承知ですから、なるべく債権者とコミュニケーションを取ろうとせず疎遠になり、結局、「借りたもん勝ち」でケツをまくって逃げてしまう。

 それだけならまだしも(全くよくないが)、自分に負い目を感じたくないので、「あいつはいつまでも金くれ(本来は返せなのだが、都合よく誤変換している)とうるさい」などと筋違いの非難を始めるのです。こうなると債権者もヒートアップして反撃を始めるでしょう。私は思いとどまっているのでよいですが、noteに書いて憂さ晴らしをしたくなるくらいにはストレスがたまっています。働く人にとって、金は「命より重い」とさえ言えます。実際に命(生命力)を削って日々稼いでいるのですから。安易に貸し借りをするのは絶対にやめましょう。

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