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小難しいことは置いといて

昨日は沖縄慰霊の日だったらしい。

「だったらしい。」というのは、「だった。」と言うには私はあまりにも何もしていなくて、どこか遠い国の、逸話のようにも思えてしまうくらい、実感としての"慰霊"が分からないからだ。2019年、戦争を知る世代は2割に満たない。2割に満たない戦争体験世代も、あと30年もしたら現実的にいなくなってしまう。恐怖を、景色を、匂いを、温度を、生で見ているか見ていないかは天と地ほどの差がある。

どうするんだろう。
無責任にも自分たちの生きる未来に、不安を抱いてしまう。


戦争はしない方がいいと思ってる戦争を知らない私

戦争はしない方がいいと思う。
好きな人が死ぬのが嫌だから。そして、何かに怯えながら生きることを良いとは思わないからだ。実にシンプルである。
22歳、戦争があった時代に戦力として動員された世代の中でも中心となる、もしくはそれよりも少し上の歳。私は私の愛する人たちが自分の意思に反して殺されるなんて想像もしたくない。同時に、私を大事にしてくれる人がいる限り、私もそう簡単に誰かに命を奪われるわけにはいかない。

誰かを愛す人も、誰かに愛される人も、同じように愛を受けて愛を与える人から殺されることなんてあってはならない。人を殺めることがあってはならない。

だが少なからず、その全てを無視して日本は74年前まで人を武器に変えてまで戦争をしていた事実がある。世界を見てみても、今も人の手によって命が奪われるリスクと隣り合わせで生きていかざるを得ない国や地域がいくつかある。生きていく過程で思想が変わってしまうことはあっても、生まれてただ生きていく中で人を殺したい・殺されたいなんて思う人はほとんどいないはずなのに、どうして戦争が起こってしまうのか。どうして続いてしまうのか。


「大人になった」とは違う何か

毎日はいっぱいいっぱい。
画面の奥のニュースに心を痛めることはあっても、だからといって何をするでもない。ただ今は自分の人生を自分の面倒を見ながら生きるので精一杯だ。いや、自分の面倒さえみれているか怪しい。

日本だって戦争こそ無いけれど、平和かどうかなんて分かったもんじゃない。平和は比較からは生まれない。

私は戦争を知らない。
だから、戦争について見聞きし、知識を得ることはできても、戦争が何かという本質的なものはきっと分からない。どんなに心を寄せて鎮魂を祈ったって、どんなに多くの人の話を聞いたって、私は1997年に生まれていて、2019年を生きている。充分すぎるほど、守られて生きている。

でもなぜだろう、ここ数年、そんな守られて愛されて他者からの攻撃に怯えることも無いこの日本に生きていることが、時々すごく不安になるのだ。知っていることが増えたから?大人になったから?そんなものとは違う、本能的な何かが、私の心をざわつかせる。


子どもに幸せを語れるということ

平和
なのだろうか。
着るものも食べるものも眠る家もある。学校にだって通えるし、大体の場所は夜道だってひとりで歩ける。宗教も制限されていないし、私のような一般人は何を発言したって咎められない。

沖縄慰霊の日の式典の様子をTwitterで見た。
安倍総理が話していた。昨年となんら変わらない、テンプレートの文らしい。
たくさんの野次が飛んでいた。何も知らない私から見たら、野次を飛ばしていた人たちの理由なんて知らないから、「わざわざ野次るために来たのかな」なんて思ってしまう。
安倍がどうとか、9条がどうとか、分かるけど、分かりたいけど、今私たちが命の危険を感じることなく生きていられるこの現象は戦争で命を落とした多くの人の上に成り立っていて、その人たちに想いを馳せるための慰霊の日の式典ではないのだろうか。私には分からない。

「お金持ちになることや 有名になることが幸せではない 未来に夢を持つことこそが 最高の幸せだ」

糸満市立兼城小6年生、山内玲奈さんの詩の一部。11歳のこの子が大人になった時、同じ言葉を自分の子どもに伝えられるような社会を作ること。それこそが、日本のためにと命を落とした人たちの魂を救うための唯一の方法だとしか私は考えられない。


何者でもない私たちが

平和ボケなんて言葉は死語だろうか。
平和なんて置かれた状況の入れ物にしか過ぎない。現状を平和という箱に入れてしまえばそれはもうれっきとした平和だし、「こんな状態で平和なんて。」と言って違う箱に入れてしまえば現状はそう捉えることもできる。ひとつの物差しでは物事を図ることができないからこそ、私は折に触れて考えてしまうのだ。

「ありったけの地獄を一か所に集めた」
とまで言わしめた沖縄戦が終わってから74年。

何者でもない私たちが何者でもないままいられる今があることに、感謝と敬意を持って慰霊の念を送りたい。

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