効果音を無限に作り出す「OptimizerAI」は本当にすごいのか?
効果音を生成できるOptimizerAIを試してみました。
これを書いている人
YouTubeでローグライク関連の情報を発信しています。サウンドデザイン、フィールドレコーディングをやっています。仕事では音楽制作もやります。
OptimizerAI 公式サイト
とりあえず無料でも生成はできる(ダウンロードできないだけで、ほぼすべての機能は試せる)ので、いろいろ試してみると面白いです。
なかなか良い感じ!
でも実際のゲームとか映画の音と比べると微妙…?と感じる人もいるかもしれません。
なんか違う?と感じる原因
2024年5月の時点ではモノラルで低クオリティのデータが生成されているので、しょぼく聴こえるのは仕方ないです。
どれくらいのクオリティで出力されているのかはわからないですが、「ステレオ44.1kHz出力がこれからできるようになるよ~」ということは現状はサンプルレートがもっと低い可能性はあります。CD以下です。
ゲームの効果音だったらステレオにしなくてもいいけど、Zoomの1万円レコーダーでもっと解像度が高い音が録れることを考えると、OptimizerAIは音質が良いとは言えないです。
サンプルレートとか44.1kHzって何か?はこちらのnoteに書いています。
一応、アップスケールボタンを押すことでクオリティが上がるので、気に入った音をポチポチとアップスケールさせていくのが良いと思います。
使いづらい?
長めの効果音はテイル(尻尾)が切れてしまうので、秒数の設定は大事です。
1秒って指定したら1秒で完結するファイルを作ってくれよって思うけど、そういうところがAIって感じです。
3秒以上で生成するといいのかもしれないが、そうすると今度は空白ができてしまうのでトリミングしたくなる。
結局は人間が修正することに
「生成された音をダウンロードしてから編集する」という手間がかかるので、個人で動画編集・ゲーム制作する人がぱっと使うには課題山積という感じです。この課題っていうのは音質が上がれば解決するとかそういう問題じゃないです。
iZotope RXみたいなオーディオ修復ソフトを合わせて使えるなら、神ツールになれるかもしれません。でもRXとかすでに持ってる人なら余計にOptimizerAIの欠点が目につくと思います。
理想的にはReaperとかCubaseみたいなDAWに取り込んで編集できると、さらに上を目指せます。OptimizerAIで出力した音を重ねて分厚いサウンドを作るとか、さらにエフェクトをかけるとかできます。そこまでやるなら人間がゼロから作ったほうが早いような…?
フィールドレコーディングはやっぱり苦手
これは不公平かもしれませんが、自然音は生の録音には敵わないです。
プロンプト:静かな水の流れ、山、鳥の声(アップスケールしてある)
自分で録った音
まだ人間の仕事が残されている分野だなと思う反面、もうちょっとどうにかならないのかと、頭が痛くなる。
また、出力できるのが10秒までなので、ループする長い素材を作るのも難しいと思う。
OptimizerAIの正直な感想
ゴミです。音楽・効果音の知識がある人が他のツールと組み合わせて使うなら、商用クオリティのサウンドが作れるかもしれない。
得意分野は偏っています。マイクで録った音はそう簡単に超えられない。
1か月だけ課金していろいろ実験してみると面白そうではある。
音楽生成AIが出てきたときそうでしたが、音楽の経験がないウェブライターが大げさに騒いで持ち上げているだけで、それと同じ流れが効果音生成AIでも起こるんだと思います。
AIで0から1を作り出せると勘違いしている初心者
AIをユーティリティ系のツールとしてとらえている上位層
無関心な中間層
みたいな感じで、
PCを使って誰でも録音・音楽制作ができるようになり、プロとアマチュアの境目があいまいになってきた…かと思いきや、AIの登場によってむしろ格差は広がっていく可能性もありますね。
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