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暑いですね、こんばんは。

用事を済ませ、コンビニエンスストアから出ると、店の前に広がるちょっと広めの駐車場で、ぼくからみて左側にとまった大きな黒いバン。

そのバンの脇で若い男が4人。お菓子を食べたり、スマートフォンを片手に持ち、その画面と仲間たちの顔を交互に見たり、煙草を吸ったりしていた。

大きな声でもっておしゃべりをしていて、その声は夕空まで反響して、ぼくにふりそそぎ、コンビニ袋にカサカサ降りかかる。

その若い男たちの内の誰かが「俺たちの現実世界にゾンビ出てきたらヤバくね?」と言ったのを、ぼくは彼らの脇を通り過ぎる時に耳にした。

きっと、海の向こうのドラマ、あるいはビデオゲームの話をしているのだな。と思った。

なんとなく脳に残ったそのフレーズは翌日、仕事場へ向かう道すがら、また脳に蘇った。

「現実世界にゾンビ出てきたらヤバくね?」
で、伝わる筈なのに、なぜ
「俺たちの現実世界にゾンビ出てきたらヤバくね?」
でなくてはならなかったのか。

何か理由があるのか考えてしまった。

俺たちの現実世界かあ。俺たちのじゃない現実世界ってどんな現実世界なのかな。

つまり、“俺たちの現実世界“というのは彼ら仲良し4人組の世界のことであって、仮にゾンビが登場するのなら、俺たち4人組の前に登場することが大前提として彼の頭にあったんだろうなあ。って思った。

“心変わりの相手はぼくに決めなよ“

じゃないけど、ゾンビに遭遇する仲間は俺たちに決めていたんだ。

と合点がいき、夕空の下、20台は駐車出来そうな広いセブンイレブンの駐車場で黒いバンにもたれかかり、煙草を吸っていた・もしくはお菓子をかじっていたかもしれない4人組の中の誰かは、非常に仲間想いで、仲間意識の高い男だったんだなあ。と、そのギャップがなんだか愛おしく思えた。

「グーニーズ」や「スタンド・バイ・ミー」を観た後のような余韻にひたりながら職場へ向かう。


ペットショップ・ボーイズの『West End Girls』に、Spotifyのランダム再生の荒野で出会った。

なんだか、ローファイなシンセポップ(ローファイの使い方あってるかしら。そもそもシンセにローファイもへったくれもあるのだろうか)で元気なのか元気じゃないのか分からない熱量でうなるようなボーカルが大変に心地よく、何遍でも聴きたくなる中毒性のある曲だった。

すぐにミュージックビデオをチェックしてみると、ミュージックビデオも元気なのか元気じゃないのか分からない程よい具合の映像がこれまた心地よかった。

てな具合に(どんな具合?ハウ具合ユー?)
『West End Girls』を聴きながら歩いていた。
ペットショップ・ボーイズって昔から知ってるグループ名だよな。
とふと思う。

でも、ペットショップ・ボーイズがどんな歌を歌っているのか知らなかったし、知ろうとせずにここまでやって来た。

なぜペットショップ・ボーイズの曲やグループについて考える機会がなかったのか?

それはきっと、グループ名の所為だ。そう思ったのです。

ペットショップ・ボーイズほど、グッと来ないグループ名ってないなあ。と思う。
元気なのか元気じゃないのか、だとかグッと来ないとか言っているけど、それは貶している訳じゃなくて、良い意味合いで申し上げてます。

ミュージックビデオを見て初めて、バンドじゃないんだ。と知ったくらいだ。
ペットショップ・ボーイズは、バンドじゃなくて、音楽デュオなんだ。
と。

ペットショップ・ボーイズと聞いて思い浮かぶのは、白く塗られた細い木の板がきちんと並んだ壁と、ショーウィンドウの向こう側に並ぶ大きな檻と、その中からこちらを見ているダルメシアン犬。日差し。丸みを帯びた赤いつるんとした文字で店名を書かれた看板。と、自分じゃ絶対につけないネーミングだなあ。という感想。

そんな感じ。グループ名の由来も、ペットショップで一緒に働いていた仲間と組んだ音楽デュオだから。
だとぼんやり推測する。


Wikipediaで調べてみると、共通の友人がペットショップで働いていたからという理由らしい。

もし、その共通の友人が勤めていたのが、スーパーマーケットだったら、彼らのグループ名はスーパーマーケット・ボーイズになっていたのかな?

動物園なら、ズー・ボーイズ?
美容師なら、バーバー・ボーイズ?

そんなまさか。とは思うけど、ペットショップ・ボーイズというネーミングもそんなまさか。の範疇を超えない。

それくらい肩の力が抜いてグループ名を決めれるくらい屈託がないからこそポップ・デュオとして成功出来たのかな?
それから、デュオって言葉、なかなか身近に感じられない言葉だなと思う。
これまた調べてみると、語源はギリシア語にあって、2を意味するらしい。人間が組織で活動する最小単位とのこと。Wikipediaより!

たらればを言ってもキリはないのだけれど、もし彼らのグループ名が、ペットショップ・ボーイズではなく、例えば、ラズテッド・チェイン・クルーなんて名前だったら、もっと早くぼくは『West End Girls』に出会えていたかもしれない。いや、なんだろう。
ラステッド・チェイン・クルーって。ひどいネーミングだ。

ネーミングってのは本当に難しい。正解はどこにもない。

ネーミングといえば、ぼくの中で1番かっこいいと思う名前を聞いて欲しい。それはタリア・シャイアだ。

タリア・シャイアは『ゴッド・ファーザー』を撮ったフランシス・F・コッポラの妹であり、『ロッキー』でエイドリアンを演じた女優の名前だ。

実際に口にしたくなるいい名前だと思う。
特にシャワーを浴びる時なんかは頭の中で「タリア・シャイア、タリア・シャイア」と唱えていることがある。
口にしてないな。

なぜ気持ちいいかって、これを書いてて気がついたのだけれど、韻を踏んでいるのだ。

それはともかく、フランシス・F・コッポラの作品で1番好きな作品は『カンバセーション...盗聴...』なのです。

それでは今日はこの辺で。
読んでくれてありがとうございます!架空より。