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「やまと絵展」いにしえをリアルに感じる

国宝と重文が目白押し、という評判に釣られて行ってきました。
源氏物語絵巻と鳥獣戯画は、以前混雑で諦めたことがあったので、今回四大絵巻集結ということで一度に見られて良かったです。
鳥獣戯画はやっぱり人気やっぱり可愛い、みていてホクホクしました。
面白いものが沢山ありましたが、特に心を掴まれたものを記しておきます。

No.47 平家納経 分別功徳品 第十七
平安時代 長寛二年(1164)奉納 広島・嚴島神社
料紙装飾の美極まれり。重層的に描かれたモチーフに散らされた金銀の豪華な空気感。夢の中にいるようです。

No.100 佐竹本三十六歌仙絵 小野小町
鎌倉時代 十三世紀
二期までの展示なので、見れて良かったです。(小町かっけー)と心のつぶやき。感動すると言葉が貧しくなります。他の三十六歌仙とは一線を画す洗練度で、一人だけ絵からデザイン意匠の領域に入っているよう。

No.193 法楽歌仙連歌懐紙
室町時代 応永三十年(1423) 愛知・熱田神宮
No.195 大原野千句連歌懐紙 第十帖
細川藤孝 筆
室町時代 元亀二年(1571) 京都・勝持寺
この展覧会で連歌の懐紙に注目する人は少数派かもしれませんが、連句を嗜む人にとっては大変興味深いものだと思います。私は事前にXでこの展示のことを知り、楽しみにして来ました。


この記事を読んで実は私は初めて「懐紙の裏」を知ったのです。
連句の章立てである「表」「裏」「名残の表」「名残の裏」という言い方が、そもそもは歌を懐紙の表と裏に書きつけたことから、というのは知識としてあったのですが、(懐紙の裏に書いたら裏写りするんじゃ?)と疑問だったのです。懐紙を横に折っていたんですね!
私はnoteで独吟連句を細々と展開している連句愛好者の末端の末端にぶら下がる者としてやっとこんなことを知れたことを恥ずかしくも嬉しく思いました。

「やまと絵展」というタイトルはあんまりそそらない感じで実は私も最初興味がありませんでした。やまと絵という言葉に、あまり洗練されてないイメージを抱いていたかも知れません。
今回の展示を観て、ざっくりとした印象として、余白だ侘び寂びだと言い出す日本画になる前の、もっとエネルギッシュでおかしみ、たのしみのあるもの、鳥獣戯画が言われているように、日本の漫画アニメに繋がっていく流れの元にあるものと感じました。
そして、生き生きと描き分けられた人物たちの表情、ソフトではなくハードとして実在する古今和歌集、藤原定家の直筆、本人に似せた柿本人麻呂像などから、平安〜室町時代の歴史上の存在が、生身の存在として身近に感じられました。


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